1977年 日活
監督:加藤彰 主演:木之内みどり、小池朝雄、高岡健二、桑山正一、藤岡重慶
この映画がなかなか傑作ではない事は有名な話である。私的には、木之内みどりの唯一の映画出演作として貴重なフィルムだと思っている。公開は昨日書いた「巨人軍物語 進め!!栄光へ」と同じ日である。プロ野球もそれなりに盛り上がっている中で、日活もヒットを狙ったのだろうが、惨敗だった記憶がある。ちなみに併営は「嗚呼!!花の応援団 男涙の親衛隊」で、こちらもシリーズがこれで打ち切りになったわけです。野球ファンとしての見どころは、まだ南海ホークス時代の野村克也氏の出演だろうか?原作者の水島伸司氏との交友関係もあったのだろうが、今となっては貴重なワンシーンである。しかし、木之内みどり、カワイイ!!
東京メッツは最終戦で岩田鉄五郎(小池)が大量失点の惨敗。その岩田は引退撤回、来季も200勝めざすという。来季の補強が絶対必要の中、スカウトの尻間(谷啓)が隠し玉をもってくる。ドラフト会議で指名順位ビリのメッツはその隠し玉、水原勇気(木之内)を指名。マスコミは「誰だ」と岩田たちを追いかける。指名2位の帯刀は入団を決めるが、水原が女としって意志を撤回する。水原も山に逃げる。そこに岩田がやってきて、説得し、一度球場で投げさせる。そして、水原の気持ちもゆらぎ、プロのバッターに投げた後入団を決める。また、それを観ていた帯刀も納得して入団、メッツの来季に光が見える。だが、問題は野球協約で女子は登録できないとなっていることであった。水原は寮に入る。そこで、一軍と二軍をいききする武藤にあうのだった。水原に必要なのは木目玉だった。武藤がイメージする「ドリームボール」を練習させるが、木之内は壁にぶつかる。母校に帰り、何かをつかみ復帰。そして、オープン戦で岩田は賭けに出る。総裁の前で南海の野村と水原を対決させたのだ。見事に打ちとり、協約は替えられた。無事、水原のデビューが決まるが、武藤は広島にトレードになる。そんな厳しさを知る中で、開幕戦。岩田が撃たれた後、リリーフで出た水原も打たれながらも抑える。そして、ラストバッター、一打で逆転もという場面に水原は帯刀に「ドリームボールを使わせて下さい!」というのだった。ボールは変化するがフライをあげられる。なんとかアウト。それは岩田の200勝でもあった。
日活は「花の応援団」でヒットをあて、一般映画も確実に作って行こうとしていた時期に企画された映画だ。だから、あわよくばシリーズ化を狙っていたのであまり話が進まない。そして、当時、まだ進行形で少年マガジンでの連載が続いていたため、ドリームボールの正体をあかすこともできずに、凄い中途半端な映画になってしまっといえる。
まあ、木之内みどりも、当時としてはB級アイドルの部類であり、あまり興業力はのぞめないだろうとは思ったが、あんのじょう、大きくはずれた映画である。そのテーストも何をどうしたいのかよくわからない部分がある。つまり、ひたすらマンガにしたいのか?本格的な野球映画にしたいのか?アイドル映画にしたいのか?というところであり、そのどれも成功はしていない。
監督の加藤彰はロマンポルノでは、色彩の使い方がきれいで、結構、いい画を撮る監督のイメージがあるが、ここでは彼らしい演出というものがまったくみられない。映画のぎくしゃく感こそないが、ドラマが盛り上がって行かないのだ。テレビのバラエティ的な感じですべて進んでしまう感じであり、観終わった後、小池朝雄の妙なかくし芸的なメイクだけが印象に残る。これが、かなり邪魔である。
だから、今観ても楽しめるのは、木之内みどりを見る事くらいしかないだろう。当時の雑誌のルポで「芦川いづみに雰囲気が似ているから、日活向きだ」的な話が書いてあったのを記憶している。確かに細身で顔の印象はそういう雰囲気がある。そして、性格がキツイ感じがだせるのも似ている。とはいえ、芦川には野球のユニフォームは似合わないだろう。ここでの木之内は長めの髪の毛もあり、とてもユニフォームがはえる。特に高校時代のショートパンツのユニフォームは今観ても恋をしてしまう感じである。
とはいえ、問題はフォームだろう。カットを割りながらこれも結構無難には見せている。だが、守備でボールをとって返すシーンがあるのだが、ここはいただけない。ただの運動神経のない女の子になってしまっている。そして、力強さはいらないにしても、体がやらかい感じがしないのだ。時間もなかったのだろうが、やっつけ仕事はうまくいかないということだ。
だが、彼女の下着姿と入浴シーンが見れるのはやはりうれしい。細い体でセクシーではないが、私は好きである。入浴シーンでは、そこに武藤が入ってきて特訓をむりやりさせ頬をふくらまして怒る姿はこの映画の中で彼女がもっとも愛らしく見えるシーンである。声もかわいらしいですしね、何故に彼女に主題歌を歌わせなかったのか?ほんとうにもったいない話である。ちなみに挿入歌はアパッチの「恋のブロックサイン」というもので、練習をみにくるファンとして出演もしている。
そして、最初にも書いたが、見せ場は水原と野村の対決だろう。ファールをかさねて2-3になり空振りさせられるというもの。野村はセリフもあり、話し方は今と同じだが、あたりまえだが若い。キャッチャーも南海の藤田学がやっている。あと、野球人としては大坂アパッチのコーチとしてヒゲ辻さんがでているのと、実況解説役で江藤慎一がでている。(こいいう部分もマイナー感がぬぐえない)。
でてくる球場はたぶん昭島球場なのではないか?国分寺球場という雰囲気にはぴったりのマイナー感はよく出ていると思う。だが、「野球狂の詩」は水島伸司のマンガの中でも本格派のイメージがあり、それをちょっとマンガ的にしすぎたなという感じがやはりつらいわけである。野球部分はあまり印象に残らないし、まあ作り手が野球にあまり興味がない感じなわけですよね。
木之内みどりは、この後、テレビアニメ版の「野球狂の詩」の一回目でやはり水原勇気の声を担当している。そういう意味では、映画の出来はどうあれ、私にとっての水原勇気のイメージは木之内みどりに固定されてしまっている。だから、結構、この映画も何度も見てたりするわけです。
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