世界を賭ける恋(1959) | 日本映画ブログー日本映画と時代の大切な記憶のために

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日本映画をひとりの男が見続けます。映画はタイムマシンです。そういう観点も含め多様な映画を解説していきます。範疇は作られた日本映画全てです。

世界を賭ける恋

1959年 日活

監督:滝沢英輔 主演:石原裕次郎、浅丘ルリ子、二谷英明、葉山良二


今日から、裕次郎の外国ロケをした映画を続ける。まずは、この映画、日活の製作再開5周年映画であり、日本映画としての初のヨーロッパロケをした映画だそうだ。まだ、外国旅行が自由化になる前で、規制も厳しかったのだろう、外国ロケといっても、風景を撮っているところが多く、芝居もあまりきちんとしたところがない。それしかできないという前提で、この文芸ものになったというところなのかもしれない。原作は武者小路実篤の「愛と死」。原作は1939年で戦前の話だが、時代は渡航が船から飛行機になったりして現代的にアレンジしてある。しかし、裕次郎の映画としてはおとなしすぎ、こんな純愛ものをいまさらという感じである。そして、内容に合わせて、相手役が浅丘になったのだろう。


裕次郎は新進気鋭の建築デザイナー。自分の作品をじっとみているような男である。展覧会の会場で先輩の葉山の妹である浅丘にあう。その後、街でみかけたが無視されたりしていたが、葉山の誕生日によばれて再会、何か芸をやれといわれ困っていたところに助け船を出したのは浅丘だった。その場で宙返りをやりみんなを驚かせる。そんな浅丘に石原は大学の記念式で余興をやってくれとたのむ。受けた浅丘はまた違った魅力の歌と踊りを披露する。2人は一気に近づき、結婚を誓う。そんな中で裕次郎に三カ月のヨーロッパ留学の話がくる。浅丘と別れたくない石原は一度は拒むが受けることに。浅丘を親にも紹介して、帰ってきたら結婚すると決まる。ヨーロッパでの生活は順調だった。そして浅丘との手紙のやり取りも活発に幸せいっぱいだった。しかし、帰路に立つ空港で裕次郎は電報を受ける。浅丘が死んだというのだ。病名は粟粒結核だという。突然のことに帰国しても心が乱れる石原だったが、自分の進むべき道を強く生きようと浅丘の墓の前で誓うのだった。


武者小路実篤の代表作だが、今、読めばつまらない話である。原作は、歳をとった主人公が、昔を懐かしむ話になっている。「野菊の墓」と同じだ。ある意味古臭いものを持ってきて映画化したのはなぜか?たぶん、先にも書いたように、海外で撮るに対し無理がないものと言う事だろう。撮影クルーも人数が限られただろうし、日程も限られた中でどう撮るかが問題だった気がする。


それなら、アクションとかがないものにしよう。裕次郎なら何を撮ってもヒットするし、無難なものということでこの作品が選ばれた?そして、文芸ものならということで滝沢監督というのりのような気がする。ということで無難な映画である。石原と浅丘の芝居を見るなら、ファンにはよろこばしい作品にはなっている。しかし、いつも、どちらかといえば前にでる裕次郎が何か引っ込みじあんと言うのは少しものたりない気はする。浅丘は若さに任せたみずみずしさが感じられ美しい。


スカンジナビア航空の全面バックアップらしく。飛行機が飛行する画(模型)がやたらでてくるし、浅丘の部屋にも航空会社のカレンダーがあったりする。渡航費をかなりサービスしてもらったのではないか?


メインの海外シーンだが、あまり動きがある画はない。どちらかといえば、観光してる裕次郎的な画である。ストックホルムが中心で、パリとオスロもでてくるが、まあ、ヨーロッパで撮って来たというのが意味あることだったのだろう。特に問題なく撮りましたという感じである。カラーで動く外国を見ることができるだけでも大変な時代?(そういうものが洋画しかなかったはず)だったのだろう。


オスロの太陽祭りというお祭りで裕次郎と二谷が向こうの人と一緒に踊るシーンがあるが、何か「兼高かおる世界の旅」みたいな画である。映画を撮っているという雰囲気は皆無であり、それでよかったのだろう。


しかし、話は突然、浅丘が死んだということになる。原作は電話もない時代の話なのでしかたないが、飛行機で旅行する時代になったのだから、もう少し脚色の方法はあったのではないか。その上、浅丘が倒れるところも死ぬところも画がない。わざと原作の雰囲気をだすためにそうしたのか?見ている方は「ポカ~ン」としてしまう流れなのだ。


その後で、裕次郎が悩むがそのあたりは蛇足にしか感じないので、この作品、映画としては失敗作である。まあ、あくまでもヨーロッパを見せるためのフィルムでしかなくなってしまった感じではあります。しかし、この当時の日本人視線でとらえたヨーロッパとはどんなものだったかはよくわかるし、裕次郎はヨーロッパにいっても画になるということはよくわかる映画であるということです。そう言う意味では、この映画を見て、日本人も大したものじゃないかと思った若者は多かったのではないか?


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