ハナミズキ
2010年 東宝(製作:TBS、レプロ・エンターテインメント、ジェイストーム、他)
監督:土井裕泰 主演:新垣結衣、生田斗真、向井理、薬師丸ひろ子
昨年度の日本映画興行成績12位の作品である。まあ、メジャーな歌の映画化、そして放送局の大量宣伝で客は入ったという事だろうが、映画というのはクチコミがないとなかなか大きな金が獲れないものでもある。そう考えると、観客はそこそこ気にいった映画だったということだろう。まあ、2時間をなんとか飽きずに引きつけ続ける力はあるのかもしれないが、私から見ると、すべてにおいて50点というところだろう。言葉を悪くすれば、名曲の安易な映画化としか受け取れない。「いい曲だね」「じゃあ、作ってみようか」的な、その曲への思い入れなど何も感じないので、映画が最後の曲に完全に負けてしまっている。まあ、最後にお口直しに名曲をということで、何か気分は洗われて帰るという事なのだろうか?結局のところつまらないTBSのドラマと変わりがない感じなのである。
舞台は北海道。新垣は早稲田大学の推薦入学の日、電車が事故に遭い間に合わなくなる。同じ電車に乗っていた生田も自動車免許の試験で急いでいた。新垣はあせり、置いてあった車で生田に送れと頼む。躊躇したが、生田は見栄で走らす。結果は事故で、試験はX。次にあったときに生田は試験なら2月に受ければいいというが、新垣の頭は真っ白だった。母親(薬師丸)にもいわれ、新垣は挑戦することに。そこから二人はつきあいだす。新垣は早稲田に受かり、生田は漁師として残る。遠距離恋愛が始まる。新垣は東京で写真が趣味の先輩(向井)に塾のアルバイトをもらう。クリスマスに東京にでてきた生田は向井と歩いてる新垣に嫉妬し、知らない人と喧嘩する。だが、新垣の部屋で結ばれるのであった。生田はプレゼントに舟の模型を渡す。そして、生田に不幸が降りかかる。親(松重豊)が舟を売らなければならなくなり、最後の漁で死んでしまう。新垣はアメリカに飛ぶ。新垣が戻ったのは友人の結婚式。くる前に向井からプロポーズを受けていた。そして生田は結婚していた。新垣はもらった舟の模型を生田に返す。そして新垣はアメリカに戻るが、二人に不幸が訪れる。生田は破産し離婚することに、新垣は向井が戦場で死に、ひとりになってしまう。話はカナダに飛ぶ。生まれ故郷を訪ねた新垣はそこで例の舟の模型を発見する。マグロ漁船の漁師がもってきたというのだ。新垣は追いかけるが逢えない。心をリセットし日本に戻る新垣だったが生田は行方知れず。そして、何日か経って、庭のハナミズキの下に生田が現れる。手には舟を持っていた。
一青窈のハナミズキの歌は私も大好きな歌である。一青はこの歌を9・11をモチーフに作ったという。そう、この歌は人の幸せを願って歌った歌だ。100年続く愛があるような人生を送れる社会にしましょうというメッセージだと思っている。・・・だが、この映画からそのようなメッセージ、多少ずれていても、人の心をゆさぶる強いパッションは感じることはできなかった。歌に負けたら、映画はみじめな感じにしかならない。
まあ、10年続く愛の話なのだが、基本は遠距離恋愛の話で、なにか古すぎるのだ。電話も画も瞬時で届く現代においては、恋愛はデジタルでも成立するような気がするし、だから何?という感じがある。たぶん、9.11をはさんで無理やりの10年間を創作したのだろうが、9.11自体は映画にあまり関係していない(向井がそれに影響され、危ない地域での撮影をしていたというだけだ)。ニューヨークにロケにいきながら、その空気感さえとりいれていないは何だろう?
生田が生活にいろいろ困っていても、新垣はその場にはいつもいないし、言葉もかけられない状態。それでも、愛が成り立つのか?何か、二人の間の絆があまりドラマチックに観客に吐露されてこないのだ。リアルな世界はそんなものだという人もいるかもしれないが、これは映画なのである。だから、新垣に対するキスシーンより、嫁になる蓮佛美沙子を抱くときの方が迫力があるのも問題だ。ガッキー、裸になれとはいわないが、少しは色気がだせないかな~
だいたい、ボーイ・ミーツ・ガールの初動の部分があまりにも陳腐だ。電車が鹿を轢いて、試験に間に合わない。そして、いつのまにか好きになっている。頭の中身の差はかなりなものなのに、そこに強い磁力を感じろというのはかなり無理ではないのか?ここでも、リアルはそんなものという人もいるかもしれない。だが、これは映画である。
脚本家も、演出家も何か足りないのはわかっているような気がする。まあ、いろいろ外乱があって、そうなったという部分もあるのだろうが、先にも書いたように、なんだか古臭い話だよなーというのが正直な感想である。この歌で映画作るなら、100年後にも感動できる映画作るくらいの感覚がほしいよね。
そして、主演の新垣結衣。かなり期待した女優さんだったが、本当に幅がなくおもしろくない。北海道では田舎の高校生風で、これから都会に出てどう変化するのか楽しみだったが、結果、服装と髪形が変わっただけで化けることができていないのだ。ニューヨークにいってもまったく同じ、10年間の幅をどうだすかというのが課題なのに、演出側はそういう意図を断念したのか?考えなかったのか?生田もそうだが、18が最後には28歳になっている話ですよ、これは違うよね。
よく考えれば、話をつなぐ道具は「ハナミズキ」「舟」「年月」「恋」。歌の中の言葉で三題話作れっていわれて作ったような映画なんですよね。作り手がこの脚本で映画にしようという感覚があまりにも意味不明で、本当に困ってしまう感じですよ。
映画とは「画」「音楽」「芝居」「動き」など、複数の要素がからまった総合芸術(古い言い方だが)であると思う。そのすべてのバランスをどうするかでかなり印象は変わる。この映画は、そこそこいい画があるにはあるが、それだけだ。いっそ、一青窈のアルバムでスライドショー作った方がよかったかもしれないという代物である。皮肉をいえば、映画を作ってる人って、もっと熱い恋をしたことないのかなーというところ。
まあ、最後まで見て印象に残るのは、一青窈の曲が流れるところだけ。そして、ともに画は歌に負けている。一青窈のアルバム聴いて、お口直しが必要みたい・・・。
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