未成年 続キューポラのある街
1965年 日活
監督:野村孝 主演:吉永小百合、野川由美子、西尾三枝子、浜田光夫
浦山作品の3年後に作られた続編である。原作は5部まであり、これは2部の未成年の映画化である。昨日書いたように明るい感じで終わった映画だったが、その続きはただ重い。時代がキューポラの職人たちを追いこみ、吉永の未来もほとんどふさがり、見えないまま終わっていく。60年代中盤からは学生紛争の季節になる。そう、若者たちが自分の居場所に苦しみ、世の中の矛盾が見えてきて、それに立ち向かう時代になっていくわけだ。この映画の背景をそのプロローグとみればわかりやすいのかもしれない。
吉永は光学メーカーで組み立ての女工をやりながら定時制に通っていた。会社では定時制であることをからかわれたりもしていた。人間関係が複雑なのだ。同期の野川は街で遊んでいて、妊娠したらしい。心配する吉永だった。しかし、高校にはよい先生(南風洋子)もいて吉永は大学をめざそうとしていた。家では父(宮口)があいかわらず職人風を吹かせる。隣に住む浜田は職人5人で場所を借りて仕事をするんだと張り切っていた。母(北林谷栄)はそこに働きに出る。弟(松原マモル)は中学の陸上部のキャプテンだが、性格は変わっていない。ある日、吉永の元に同級生だった西尾がくる。不良だったリスちゃん(浜川智子)を助けたいという。つきあった吉永は睡眠薬でラリっている浜川を見る。友に荒れた生活に心が沈む。そこに野川がやってくる。子供を堕ろすという。西尾は「高校生のつどい」にでないかと誘うが吉永は気が進まなかった。家では父が会社にいかないといいだし、浜田は不あたりをだす。弟はケンカで先生にしぼられる。あわただしい中で「高校生のつどい」にでることにする。埼玉の多くの高校生の発言を聞くが、吉永は自分の意見が言えなかった。そこに朝鮮高校の生徒がくる。彼らの祖国のために頑張るという演説に感動する吉永だった。そしてその中に朝鮮にいった同級生のいとこがいた。父親が病気になり母親(菅井きん)に帰ってほしいという。菅井は見つかり帰ることに。皆、大変な中、自分の考えに疑問を持ち出す。そして、高校をやめ工場に残り、新たな人生を始めようとする吉永がいた。
この企画は、やはり浦山監督のところにもいったのだろうか?浦山監督が撮っていたらもう少し救いのある内容になったのではないかと思う。野村監督は決して下手な監督ではない。だから、安心してみていられるし、映画自体は締まっている。ただ、テーストが見ていてつらい感じである。 ラストに学校で合唱部が「蛍の光」を練習する中、吉永は先生に見送られて通学してくる生徒を逆行していく。荒波に飛び込んでいくように。そして、吉永の前からのアップで終わる。正篇とは全く逆のラストは時代が変わっていることも示しているように感じる。
映画の中で出てくる、周囲は皆、吉永ほど強くはない。野川はただ、仕事がいやで男にすがる感じで、最後は工場を去っていく。同じ同僚で高校にも一緒に行っている笹森みち子は、上司と恋仲で事務にまわしてもらうちゃっかりさがる。元同級生の西尾は勉強できないから浪人して大学にいくといっている。皆、日々ただ前進するような吉永の性格とは違うところにある。中学から高校に世代が移ると皆の心のうつろいが激しくなる状況をしっかりと描いてはいるが、だから答えがないまま前に進むラストは厳しい。
そして、鋳物という業界自体が変わりつつあり、それと闘っているのが宮口や浜田だ。宮口は東野が演じたテーストをひきずってなかなか違和感はない。浜田がやっているのは、いわゆる社長なしの社会主義的な工場なのだが、最後にすがった者たちにただ殴られる。結果的には不あたりがおこりうる業界なのだ。その不安定さが街自体をかえていく時代のはざまにある。
朝鮮問題もその一ページである。映画の中で朝鮮高校の記章やボタンが高く売れるという話がでてくる。池袋あたりでは朝鮮高校の服を着てれば皆逃げていくというのだ。小さい頃、そういう話は聞いたことがある。さまざまなひずみが世の中でうめきだしているのだ。
一作目で浜田の母親役をやっていた北林谷栄が吉永の母親をやっているのは少し違和感がある。弟役も松島マモルに替わり、ちょっとパワー不足である。やはり市川の3年後が見たかった気がする。だが、同級生の岡田可愛はここでもでてくる。岡田はこの映画が封切られた半年後からテレビドラマ「青春とはなんだ」にでることになる。まさにメタモルフォーゼする瞬間の映像である。
そして、同級生役ででてくる西尾と浜川は後にプレイガールになってしまうと考えると吉永とは道が違ったのかなとか思ってしまった。そして、もうひとりの同僚役の笹森みち子とは笹森礼子の妹なのだろうが、資料確認できなかったが、ぱっちりした目がそっくりである。どなたか知りませんか?
結果的には、吉永の周囲であまりにも多くの事象が起こり、吉永のあたまの中で整理できなくなって終わっている。「高校生のつどい」のシーンで発言しているのは一般の高校生たちだろう。彼ら自身も吉永のように考えることが多すぎるという状況は読み取れる。そして、最初にも書いたがこれより嵐の時代を迎えるのだ。ちなみに、この年に吉永は早稲田大学第二文学部に入学している。
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