三味線とオートバイ(1961) | 日本映画ブログー日本映画と時代の大切な記憶のために

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日本映画をひとりの男が見続けます。映画はタイムマシンです。そういう観点も含め多様な映画を解説していきます。範疇は作られた日本映画全てです。

三味線とオートバイ

1961年 松竹

監督:篠田正浩 主演:桑野みゆき、森雅之、月丘夢路、川津祐介


篠田監督の5作目。川口松太郎の原作。ちょっと複雑な母娘関係を題材としたホームドラマである。大船調監督に作らせたら、ただの湿っぽい話になるのを、篠田は、いかに自分のリズムを加えようかと苦心している。そして、そんな迷路の中から、光をつかみかけている感はある。新人らしいテンポある作品にしあがっている。それをバックアップしているのは桑野みゆきのちょっとひねた演技であろう。そう、川津とのコンビは大島渚「青春残酷物語」と同じである。たぶん、桑野的にはヌーヴェルバーグ的作品にでているつもりなのかもしれない。彼女自身がそれを望んでいたが、会社がいわゆる松竹の路線に彼女を封じ込めていったという感じがあるので、そういう意味では貴重な映画である。


桑野と川津は、高校の仲間とオートバイでツーリング。その姿はカミナリ族といった感じ。川津は桑野と仲間から離れ2人きりになる。そしてトラックにぶつかり重傷。病院で気付いた時はベッドの上だった。彼女の母(月丘)はきつくしかる。そして川津は病院を変ったという。たまたま主治医の森は月丘の結婚できなかった昔の恋人だった。そして桑野の本当の父親は森なのだが桑野は知らずに育ったのだ。桑野は退院。高校を卒業する。森は桑野に出版社への就職を世話する。そして小唄教室に弟子入り。母のそわそわした姿がいやで桑野は家を出る。川津のところにいけば追い返されるし、むしゃくしゃが重なる。ある日、森が訪ねてくる。九州の病院に移るという。諭されて家に帰る桑野。そして彼女が正社員になれた日、仏前に報告すると森の写真がある。母に聞くと、交通事故で死んだという。母は森が置いていった手紙を見せ、桑野が森の子供であることを話す。桑野は川津と再びオートバイで飛ばすのであった。


題名のアンバランスさと同じように、篠田の演出も何を求めているのかよくわからない。最初のタイトルはポップであり(デザイン=真鍋博)若者の感覚の映画と思いきや、母と娘。隠れた父親という、何か石坂洋次郎が好きそうな題材になる。しかし、川口松太郎だから、そんなに過激なセリフもない。普通に撮ったら凡庸なホームドラマであろう。


そういう意味では、話を語りつくすというよりは、篠田は新しい松竹映画への試みをかんがえていたのではないか?ヌーヴェルバーグのように何かいいたげなものでもなく、大船調でもない映画というものを。そういう見地から見ると、何かこの日本映画とアメリカ映画のあいのこのような感覚がわかるような気もする。


結果的には、母娘の話と川津たちの若者たちの話とは、全くシンクロしていない。そして、若者の話はつっこまないし、なくてもいい話だ。必要性は、彼らの事故で月丘と森が再開するという道具にすぎない。そう、オートバイはとってつけたようなものだ。(結局、変な映画なのだ)


まあ、個人的には、桑野みゆきの演技を見ているだけでいい映画である。何着もの衣装を着て演技している姿は、彼女のファンとしてはたまらない。そして、着替えのシーンも2回ある。ちらりと下着姿が拝める。本当にその整った顔とカワイイ声で明るい彼女はたまらない。どう考えても、この時点では、岩下志麻より数段上の存在感がある。篠田も好意的に演出しているし、桑野みゆきファンには必見の映画である。


篠田の奥さんが、岩下でなく、桑野だったら、その後の篠田映画も岩下志麻の女優生活も全く別のものになっていただろうと思ってしまった。もちろん、桑野もまだ女優だったかもしれない。


昨日の「わが恋の旅路」は61年の横浜だったが、ここでは61年の東京の姿がカラーで出てくる。桑野がいく学校や会社はお茶の水のニコライ堂のそばにある。周囲に今のように建物がたてこんでないのでニコライ堂がすごく目立つ。また、夜の歌舞伎町のミラノ座前もでてくる。電車は、中央、総武線だと思われるが、全部、茶色である。そういう時代だ。


まあ、映画そのものは、内容的にも語る部分は少ないが、篠田が苦労している感はなにか凄くわかる。彼が開花するまでにはもう少し時間がかかる。そういう意味では、篠田正浩、結構苦労人なのだ。


つけたひだが、新東宝から移ったばかりの菅原文太が最初のオートバイに乗るひとりとして出てくるが、主役を張っていた男に対して、アップもなくひどい扱いである。彼の苦労した時代を物語っている。


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