「子供が欲しいって思ってること知ってるでしょ」


「子供が欲しいの」


夫に泣きながら何度も言いました

その度に夫は私に冷たく当たる

時には私をちからずくで拒絶しました



それは今になっても消えない傷

今の夫もその事はわかっていて

二人共その事に触れたことはないです



「そんなに子供が欲しけりゃ他の男に頼んで作ってもらえ!」


「一回だったら許してやる。ほら!そんなにやりたいなら外で遊んでこいよ!ほら!行け!やってこいよ!」


私にそう言って

嫌だ!そんなのやだ!

やめて!と泣き崩れる私を引きずって

玄関から外に出した


玄関の外で大泣きした

お隣りに気が付かれないように

声を殺して、両手で顔を覆って泣いた


十五分くらい経つとドアが開いた

夫はしゃがみ込んで泣く私の手を取って

「入れ」そう言って中に入れました


その日は春になったのに冬みたいに寒い日だった

私の手がとても冷たかったのか

夫は

「体が冷えてる、風呂に入った方が良い」


そう言って

自分は寝室に入ってドアを閉めた


私はお風呂に行って

脱衣所でずっと泣いていた

疲れて、その場でボーっとしてた


少しして湯船に浸かり落ち着いてから

私は私が寝る専用の小さなベッドのある部屋に向かうと

目の前の寝室のドアが開いてたの


さっき夫は閉めたのに開いていて

中を見たら夫は寝てた

スタンドの電気を点けたまま

だから私は部屋に入ってそれを消そうとした


その時、夫が

ここに入れと、無言で

布団をめくって私にそこで寝るよう促した


また泣きそうになった


「鬱陶しい、泣くな」

そう言われた


ベッドに入って少ししたら

夫の手が私の手の甲に当たったのに

夫はそのまま、手が触れたまま


それまでは少しでも触れると

直ぐに離れたのに

その日は触れたままでした


その辺りから夫が少し優しくなった



そして私は

私も変わりたいと思う様になった

このままの私だったら嫌われる一方で

息子のことも傷つけた

私が変わらないとと

何故か突然思ったんです


ある時、ママ友の真似をして

家でお野菜を作りたくなった

自分もやりたい、と話したら

「そうね、スミレちゃんも土に触ると元気になれるわよ😂」と、

色々教えてくれることになった

必要な物を揃えるためママ友と出掛ける約束をしました


休日にママ友ご夫妻と一緒に出掛けてくると夫に言った

夫は何をしに行くのか聞いてきたから

趣味を持ちたい

そしたら気分転換になるかと思って

と、プランターと土を買いに行く事を話した


夫は

そんなのを他所のご主人に運ばせるのか?

俺が送って行くと言ってきた


もう約束してる

あと少しで迎えに来るから、、、

と言うと

それでも自分が車を出す言う


仕方なくママ友にはホームセンターで待ち合わせにしようと連絡して

私は夫の運転する車に乗りホームセンターまで向かう


道中、無言

一言も話さない

そんなだから二人になるのは怖かった

また過呼吸がでる

不安定になるから


だけど不思議とその日は何も起きなかった


必要な物を教えてもらって

買ったものは夫が運んでくれた



家に着いて

夫は何度も往復してプランターや土を運んでくれました

そして、ベランダでもプランターに土を入れてくれた


頼んでないのに

それは私がやりたかったのに

初めてのトマトやピーマンの苗も

夫が勝手に埋めちゃった


あの日から初めて

2人で何かをやった

ベランダで2人でしゃがんで作業をしたのが嬉しかったんです


「ありがとう」

「うん」


話したのはそれだけ