別居して少し経ってから

夫が私に車を買ってくれました

それで通院したり、息子に会ったりしてた


夫はその車を突然手放すと言い出しました


それが無いと

私は娘のお墓参りに行く事ができなくなる

居候していた叔父の家にも行けなくなる

仲良くなった従姉妹とも会えなくなる


お墓参りには頻繁に行っていました

行く度にお寺の人が近くにやって来て様子を見てる風でした

少し不愉快だった



ある時、また娘に会いに行ったとき

傷んだお花を取ってお水を替えて

石を拭いていたら

「スミレちゃん」と私を呼ぶ声がした

義母だった

坂道を急いで来たみたい

息が上がってた

そして手ぶらだった


お外に出る時にはいつも小綺麗な装いで

お化粧も朝からちゃんとする人が

部屋着のままそこにいました


直ぐに向こうに目をやった

ついさっきまでそこにいたお寺のご住職の奥様がいなくなってた


お義母さんに連絡したんだな

とピンときた


「週に何回来てるの?よく来てるでしょう?疲れてない?ご飯食べてるの?」


長男と別居していた嫁

最近戻ってきた嫁

孫を死なせた嫁


評価の低い嫁


きっとお寺から何かを聞かされ

恥をかかせるな!と言う気持ちもあったと思う


その日はお義母さんに誘われるまま

近くのお店で食事をとって

私の身体のことを聞かれ

息子と孫の事を頼むと言わた


その日の夜に仕事から帰ってきた夫が

「車手放すから」 

と言い出しました


私は夫が不倫用に使っていた穢らわしい車から買い替えた車を

経費削減のために手放すのかな?と思いました

黙っていたら

「今度の休みに査定してもらうから。いいな?」と言うの


いいな?


「査定って?黒い車?(夫の車)でしょ?」


「違うから。お前が使ってるやつだよ」


「どうして?困る」


「病院や普段買い物に使うときは大きいので行けよ、あれは(私の車)手放す」


「そしたら姫ちゃんに会いに行けなくなるじゃない!!」と言って泣き出してしまった


お義母さんが夫に言ったんだと思った

一人で寄越すなって


私は夫の車には乗れなかった

車庫入れも怖いし

大きく加速するから怖い

軽自動車やコンパクトカーくらいの小さいのが小柄な私には丁度いいのです

夫はそれを知っているから

車を取り上げたら遠出はできなく事を分かって言ってる


そして数日後、夫は本当に私から車を取り上げた



娘のお墓参りに行けなくなった


それから私は

小さなウサギとクマのぬいぐるみの前に

お線香立てを置いて

ダイニングの一角に姫ちゃんのスペースを設けた

そこにお花をお供えするようになった


直ぐに息子がそれに気がついて

毎朝ジョギングに出かける前に手を合わせるようなった

高い頻度でお水を替えてくれる

時々、お小遣いからオモチャをお供えしてくれる

きっとガチャかUFOキャッチャーで取ったやつ



その事に夫は何も言わなかった

だけど夫は、そこで手を合わせることは無い


だから私は何時だって

私も、私の生んだこの子も愛されてないって思ってた



苦しかった

私は夫が好きで戻ってきたのに

夫は私の事を家政婦としてみてる

きっと息子が家を出たら私は追い出される

いつもいつも、いつか追い出されるって怯えてた

だけど今は(その頃)自分から家を出ることはできない

何故なら父に病気が見つかったから

治る見込みのない病気

離婚したと言いたくない

親不孝はしたくなかったです




今はもう

夫の車を

バンバン乗り回しております

公道からお店に曲がるとき

しょっちゅう縁石に乗り上げてます(^_^;)