子供が欲しかったんです


娘の代わりの子でもなく 

ただ母になりたいってだけでもなくて

ずっと夫の子供が欲しかったです

なかなか授からなくて

歳を重ねるたびに不安だけが募りました


私が子供が欲しいと思っていることを

夫は知っていた

生理が来るたび何だか夫に申し訳ないのと

私に欠陥があるの?って自分を追い詰めた

一度夫に

「病院で検査してもらおうかな」と言った事がありました

夫は

「検査してどうするの?」って答えた

「もし授かり難かったら、、、」

そこまで言うと

「前にも言ったけど不妊治療はしなくて良い。女の人の負担が凄くて大変だって。俺は、、、そこまでして、、、」


その頃の私は今のように夫にハッキリ意見するようなことは無かったので

夫のその言葉に息子以外の子どもはいらないのかな?

と捻くれた気持ちを持っても

話すことはありませんでした

だけど、子供を持てない自分にも

自分の将来も不安だった


そんな時の夫の不貞は心がズタズタになりました


夫の住む今のこの家に戻るとき言いました

「私はお母さんになりたい。なりたかったのに死なせた。アズのことは許さないから。訴える。必ず会ってこの気持ちをぶつけてやるから。それでもいいの?〇〇さんの大切な人を苛め抜いてやるから」


「大切な人じゃないよ」

「大切なのはあんたですよ」

と言った


それなのに、ここに戻ってから

夫は私に触らない


2月に別居を開始して

解消したのが11月下旬

12月に息子が数日不在の時があった

夫婦2人だけの夜を迎える

その頃、夫は仕事が忙しいといって

本当にクタクタになって帰ってきてた


息子のいないのは金土日


金曜日、私はママ友に連れられて市場に行ったんです

夫が好きな魚の切り身を買いました

それとお鍋の材料に奮発してカニも買いました

疲れているから

静かな家で美味しいものを食べてもらいたかったから


夕方には下拵えを終えて夫の帰りを待ちました


だけど夫は帰ってこないの

20時、ここで一度ラインした

いつも帰るよラインが来るのに来ないから

私からした

「今日も遅いの?」

直ぐに返信が来た

「遅くなる」


22時、「まだ遅くなる?」既読スルー


0時

1時

2時

5時

何度も電話したしラインもした

電話には出なかった

ラインは未読


私の中にまたアズが現れた

一人でソファで寝ずに待っては

悔しくて泣けた

私は何なの?

私は何?息子の身の回りの世話をするための女?

そう言えば探偵が言ってた

アズが言ってたこと

「家政婦じゃん!ゲラゲラ(笑)」



泣きながらソファで寝てしまいました

何度も目が覚めた

覚める度に玄関を見るの

靴の確認をする

帰ってない

携帯を確認した

やっと既読がついた

5時だった


「一体どこにいるの?」

「ごめん、一回帰る」

と直ぐに返信が来た


ふわぁっと風が顔に当たって目が覚めた

どうやら寝てしまって

帰ってきた夫に気が付かなった

夫が私にブランケットを掛けてくれたから

その時の風で目が覚めた


目が赤くて頭がボサボサ

「〇〇と飲んでた」その口からお酒の匂いがプンプンした

「何度も連絡したの」

「うん」

「、、、そんなに私と2人でいるのが嫌なの?」

「、、、ごめん、そんなんじゃないけど」

「もういいよ、お風呂入れば?」

「今日これからまた仕事だから」

こんな会話をしました


私は怒る気力もないし

夫にどう言うつもりなのかも聞く気もなかった

ただ寝たかった 

夫がお風呂に入っている間に

寝室のベッドで寝た


7時、物音で目が覚めた

夫がスーツを着ていた


「今日も遅くなる」

そう言って出掛ける支度をしてた

土曜日の朝の7時

平日より早い出勤



ムクッとベッドから起きて夫に言った

「やっぱり私達無理だね。今日からまたあっちに寝るね」


「わかった」


そして夫は出掛けました


情けなくて情けなくて声を出さずに泣きました

一通り泣いてから

昨日買ったお刺身が勿体ないから

一人で朝から海鮮丼にして食べました

さっきまで泣いてたのに

ガッツリ食べた


だけど、直ぐに全部戻した

それからまた食べ物を受けつない体に戻っていった


その日の少し前に娘の納骨をしたの

お義父さんとお父さんが

可愛そうだからそうしてやりなさい

ご先祖が迎えに来て大切にしてくれるから

本来眠る場所に納めてあげようって言うから


私は嫌だった

ずっと置いておきたかった

夫も

「それだけはスミレの思うようにさせてやってほしい」って言ってた


だけど気がついたらもう

納骨の準備が整っていた

夫がお義父さんに頼んでない!と電話で怒ったの


家族の仲がおかしくなる理由に

自分の娘がなるのが嫌だった


だから私は馬鹿だから

義父の意向に従った



夫が朝帰りした日に

一人でお墓参りに行った

どんよりした鉛色の空だった

向こうに着く少し前には雨が降ってきた

お花を買って、コンビニでプリンとコアラのマーチを買った


お墓に着いたら雨が降ってた

シトシトから本降りになった頃だった

せっかく来たんだからって

ずぶ濡れになってお墓参りした

お線香はお線香用のライターでやっと火を

つけた

シケって付かないお線香もあった

火を付けている間に悲し過ぎて

狂った人みたいに泣いた


こんな所に入れなきゃよかった!!


帰りお墓を後にして駐車場に戻るまでの坂道で転んで掌を擦り剥いた

お尻がグチャグチャに汚れた


車の座席にハンカチを敷いてエンジンを掛けたら

お寺の人三人がこっちを見てた

会釈したけど何も無かった

ただずっと見てた