昨日2月11日、建国記念日は私のひいばあちゃんの命日だった。
私のひいばあちゃんが亡くなったのは、はるか昔の私が小学一年生のとき。
朝起きたら、ひいばあちゃんはこたつに横になったまま亡くなっていた。
祖父が気づいて声をかけてみたら、返事がなかった。
ただそれだけだった。
でも、その顔は熟睡の顔だったそうだ。
あっぱれなひいばあちゃん81歳の最期だった。
そして私は・・・
あまりに突然家族に降ってわいた出来事に、小学生の私はどうすればいいのかもわからず困惑していた。
ひいばあちゃんがこの世からいなくなった!
それは私の味方が一人この世からいなくなってしまったということでもあった。
私は小学生の頭でこれからどう自分の身を守っていけばいいのかグルグルしていたことをおぼろげに思い出す。
ひいばあちゃんは、とても気性の荒い人だった。
口も八長、手も八長で、口論にも負けず、またよく動いて働く人でもあった。
一言でいうなら、超元気なおばあちゃん。
何でも、ひいばあちゃんはお年頃になると、若い頃は色男だった(?)というひいじいちゃんのところへ押しかけ女房で嫁いできたということを子どもの頃から幾度となく母親から聞かされた。
そして、10人の子どもを育てて一家も先頭きって切り盛りしていた。
戦時中なども同様で私の母を含め女3人で家を回していたとのことだった。
男の人顔負けの威勢のよさ!!
そんなひいばあちゃんは、ひ孫の私たちにも何かと直接口出しもしていたので、特に母親は目の上のたんこぶみたいに思っていたようだ。
(私は祖母とも同居していたが、祖母はひいばあちゃんとは正反対のもの静かな人だった)
いつまで経っても、「私がこの家のリーダー」みたいなひいばあちゃんだったけれど、私はそんなひいばあちゃんと小学校に上がるまでほとんど一緒にいた。
また、夜寝るときも私はひいばあちゃんと一緒に寝ていた。
冬には、その丸まった背中にコアラのようにしがみついて寝るとあったか~い湯たんぽ替わり(?)になりスヤスヤ眠れた。
それから朝起きると、いつもお仏壇の前に正座で座りなにやらむにゃむにゃと言っているひいばあちゃんの後ろ姿がそこにあった。
幼稚園に通う頃には、毎朝、帰りといつもひいばあちゃんが私の手を引いてバス停まで送迎してくれた。
帰ってくると、お手製の炭酸まんじゅうとかを作ってくれて、ほっこりした。
だから、私はどちらかというとひいばあちゃんにとても世話になった。
ひいばあちゃんのおかげで、特殊ことばも覚えた。
たとえば、「今日は苦労だから幼稚園に行かない!」とか。
私は意味はよくわからないけど、時々ひいばあちゃんが使っていて横になっていたから真似して使った?
これは後々わかったのだけれど、「今日は体がだるくてキツイから欠席する」ということだ。
これを言うことで、母も反論することなく受け入れてくれていた。
ま、ただのずる休みの時もあったと思うけど。
そんなひいばあちゃんは、きっと生前その持前の勢いの激しさで周囲の人たちにすごく影響を与えたに違いないとは思う。
昨日そんなひいばあちゃんのお墓参りをしたら、偶然親戚のお姉さんに会った。
ああ、ひいばあちゃんの命日を覚えていてくれたんだ、嬉しいと思った。
普段は特別なとき以外ではめったに話ができないので、お墓でしばらく立ち話。
幸い2月だけど穏やかで温かい日だったからよかった。
そのお姉さん、実は幼い頃私の母とはまるで姉妹のように一緒にいることが多かった人。
ひいばあちゃんはそのお姉さんにとっては祖母だったので、幼い頃の思い出もひいばあちゃんにまつわるものが多いとその時知った。
まるで私の幼少期の話のように、ひいばあちゃんとの思いでがダブっている。
なんだか私も超共感する話ばかりだった。
ひいばあちゃんと一緒に寝て、おねしょするとひいばあちゃんはさっさと座布団でそれをカバーして
「子どもはおねしょするもの」と何事もなかったようにしていたと言っていた。
そういえば、私は子どもの頃けっこうものを壊すクセがあった。
手にもっていたグラスや茶わんが滑り落ちて、ガッシャーン!
でも、そんなときひいばあちゃんはいつも
「形あるものは壊れるものだから」
と言って、あとはさっさと片づけてくれていた。
そんなとき、私はホッとした気持ちになっていたことを懐かしく思い出す。
一方、私たち兄弟が騒いで寝ていた赤ん坊の弟を起こしてしまうと、すんごい形相で「泣かしたんだから面倒みろ!」とおんぶ紐を両手に追いかけまわされたこともあった。
あー、あの時はほんとはひいばあちゃんは鬼か? と私は思った。
怖かったー
なんて、もうすんごい昔のことなのに、今でも鮮明に思い出せてしまうのはこのひいばあちゃんだからだと思う。
強烈な思いでを残してくれて、ひいばあちゃん、ありがとう。
私の細胞にはひいばあちゃんの記憶がしっかりと刷り込まれてる!?
一生忘れないよね、きっとこれからも。