おっかさま。
これってどんな意味だったっけ?
そういえば、私がまだ物心つくかつかない頃、母親は「おっかさま」という言葉を口にしていたとふと気づいた。
なんだったっけ? と遠い記憶を手繰り寄せると・・・
ああ、そうだった、母親のことを方言で「おっかさま」と言っていたんだった。
私の母は自分の母と同居、つまり母は婿取りだったので、自分の母親のことを呼ぶのに、「おっかさま」と言っていたわけだ。
よくよく考えてみると、この「おっかさま」は「おかあさま」が訛ったかたちなのかなと思う。
なるほど、といまさら納得する。
私にとっては祖母だった人のことを、私の母は「おっかさま」と呼んでいた。
そして、孫の私たちはこの祖母のことを「かあかん」と呼んでいた。
それは、うまく「おっかさま」と口真似できなかったからかな、と思う。
また、母が祖母のことを「かあちゃん」と呼んでいたこともあったからかもしれない。
幼い子どもが作った最終的な祖母の呼び名だったのだろう。
でも面白いもので、そんな私の母は幼子の私たちが自分のことを「かあちゃん」と呼び始めたら、「お母さん」と呼ぶようにしつけたらしい。
十代になるまでは母のことを「お母さん」と呼んでいた記憶がある。
しかし、私たちが思春期になると、今度は母のことをいつからか「おかん」と呼ぶようになった。弟が何かを耳にして使い始めたのがきっかけだったように思うが。
そしてその後もずっと「おかん」が定着することになったのだ。
母は今は亡くなってずいぶん経つが、やっぱり「おかん」と私たちから呼ばれている。
これって一番呼びやすくて親近感があるからかな、と今では思う。
「おっっかさま」「かあちゃん」「かあかん」「おかん」
全部母親のことを呼ぶときに使うことば。
どれをとっても体の奥底から静かに湧き出る温かさを感じる。
母親ってやっぱりあったかい存在なのだとしみじみ思いだす。