諸般の事情であちこち引越し、たどり着いたるAmebaブログ。これが最後の(もしかして最後から二番目の?)ブログとなる・・・か。
高野から下りれば広き秋の空【毎日新聞和歌山版・濱端先生】高野山は四方を嶺に囲まれ空が狭い。そこから下りると、こんなに空とは広いものかとため息が出る。
人肌の壁に凭れて月を待つ【朝日新聞和歌山版・手拝先生】一席職場周辺をジョギングしていて「人肌」という語が浮かぶ。これに大樹をくっつけるか、無難に壁とするか、さらに何かをプラスできぬかと。原句は「居待月」だったが、添削あり。さらに母子像の前に母と子秋涼しこの句も褒められる。母子像に母と子なんてと思われないところがラッキー。
吊橋に届かんばかり秋出水【産経新聞和歌山版・小阪先生】秋出水の句をあれこれ作るなかで「吊橋」が。本来は伊那市の川で虫が増水に負けず鳴いているシーンだったが。
子規の顔して横たはる案山子かな【毎日新聞和歌山版・桑島先生】一席山東地区の道端に近所の農家の方が作った案山子が。俳句を愛好される方で、四季をイメージしたのだとか。「横たはる」が晩年の子規に通じるところを採っていただいた。
露草の青を辿れば道祖伸【朝日新聞和歌山版・満田先生】橋本市民病院の裏をジョギング中に見つけた露草。その先に祠があった。「青を辿れば」がよかったか。
身動ぎもされぬ如来や秋暑し【読売新聞和歌山版・塚月先生】仏像をあれこれ詠むのだが、如来・菩薩・天・・・といったランキングは無視。語呂のいいのを使う。不届き者である。眼前の仏像をあるがままに詠みたい。
流星やいずれ地球も流るるか【朝日新聞和歌山版・手拝先生】以前作ってあった句を「いずれ地球も」と焼き直し。大きな景を詠むのは鳥井先生に教わった。とても大きな句ではないが、時間的空間的にスケールの大きな句を作りたいものだ。
水切りの石のはやさや秋の川【毎日新聞和歌山版・上野先生】これは自分でもインパクトのない句。選者からも「秋の川」がね・・・といわれる。しからばどこを変えるか?やはり秋の川だろう
夕凪の湾に梵字の如き水脈【朝日新聞和歌山版・手拝先生一席】雑賀崎を夕方ジョギングしていたとき。廃虚となった旅館の駐車場から見た和歌浦湾に水脈。梵字というのは少々無理があったが、選者には理解してもらえた。この日は彼女の誕生日。
目礼で人の過ぎゆく残暑かな【産経新聞和歌山版・小阪先生】目礼だけで言葉も交わさずというところが暑さゆえと。「人の過ぎゆく」が少し弱いか。
病魔去れ大音声の処暑の寺【毎日新聞和歌山版・濱端先生】処暑という季語が合っているかどうか。もっと猛暑の季語がよかったか。ともあれ四国の札所でも地元でもコロナ退散は合言葉。空海ならご利益がありそうだが。
流灯に合はせて闇の移りけり【朝日新聞和歌山版・満田先生】闇が映るという表現はどこかで見たことがあるのだが、使わせてもらった。流灯の句はたくさん作るのだが難しい。
プチプチと潰すストレス風死せり【読売新聞和歌山版・塚月先生一席】あの荷物梱包用の素材はプチプチと潰すと気持ちいい。風死せりという季語が撰者のお気に召したようだ。
心経にお国訛りや盆の寺【毎日新聞和歌山版・桑島先生】お遍路をしていて感じるのは、般若心経を自分流に唱えている人が多いこと。しかもお国訛りが出て微笑ましい。
夢果てし球児に長き夏休み【朝日新聞和歌山版・手拝先生】勤務先の野球部は県予選で早々に敗退。3年生は次の目標を設定しかねている・・
炎昼の闇熊楠のデスマスク【毎日新聞和歌山版・上野先生】一席熊楠シリーズのリサイクル。白浜の南方熊楠記念館にあるデスマスクは保田龍門がとった。阪大にあるという脳味噌が見てみたい。
国宝の茅葺屋根に青大将【朝日新聞和歌山版・手拝先生】〇〇の××に△というのはよくあるパターン。青大将が意外だったのか・・・
汗の量違へど同じ釜の飯【読売新聞和歌山版・塚月先生】汗は2音で使いやすい夏の季語。大学の柔道部のイメージ。もっと真剣に稽古しておけばよかった・・・
結願の笠へ褒美の蝉時雨【毎日新聞和歌山版・桑島先生】結願の句はたくさん作っている。ほぼ評価されるのはお遍路のおかげ。よくある風景だが採用された。
水に揉まれ海月の傷だらけ【毎日新聞和歌山版・濱端先生】自然博物館での展示。海月は水流がないと沈んで死ぬらしい。さりとて急流はきつい。自由自在に見えて海月も大変だ。