『早春の出会い』 | 東京里山日記

東京里山日記

上野 純が東京の多摩地方で撮影した里山風景や、そこに暮らす生き物の写真を中心に載せています。

 

ずいぶん前の話ですが、

 

早春の草花を撮ろうと小さな山間の里を訪れた時、

 

枯草色の斜面に大きな動く生き物がいた。


そいつは枯れた草の間から顔をのぞかせたフキノトウを、

 

次から次へと美味しそうに食べている。


こちらに気が付き、目が合っても、お構いなしに食事を続けていた。


冬が終わり春の美味しい新芽を前に、

 

人間ごときに構っている暇なんてなかったのだろうか。


僕はこの時、カモシカを見た事が殆どなかったので、

 

嬉しさと緊張で心臓がバクバクしているのを感じながら、

 

夢中で写真を撮った。


あまり長く観察は出来なかったけど、

 

ある程度お腹が一杯になったのだろうか。


カモシカは山に向かって斜面をゆっくりと登っていき、

 

森の中に消えていった。


カモシカがいなくなってからも、

 

しばらく興奮が収まらなった事を今でも覚えている。

 

(2014年西多摩地域にて)