お盆休みの病院で、ようやく病名がわかった
ネットでひたすら、お盆の時期に開いている整形外科のある病院を探しました。
そして、ようやく近くに一軒、見つけました。
8月12日(火)は診療を行っていると明記されています。ただし、8月13日~15日はお盆休み。
「ここしかない」
そう思いました。
12日の診療開始時間は午前8時45分。しかも、診察には電話による予約が必要と書かれていました。
その12日。
朝6時に目が覚めました。
痛みで、ほとんど眠れていません。完全な睡眠不足です。
それだけに、病院が開く午前8時45分が、この上なく遠く感じられました。
どんな検査を受けるのかもわかりません。
もしかすると、検査のために食事を抜いておいたほうがいいかもしれない。
そう考えて、朝食は取らないことにしました。
ひたすら水を飲みながら、病院が開くのを待ちました。
シャワーを浴びて汗を流し、何を着て行こうかと少し悩みました。
結局、Tシャツに短パン。靴は、普段の練習で履いているランニングシューズにしました。
病院のサイトに、「ランニングシュズのすり減り方を見て、身体のゆがみなどを診ることもある」といった説明が書かれていたからです。
結局、そんな診断はまったくありませんでしたが(笑)。
Gパンなどを履いて行くより、診察や検査がしやすいだろう。
そう考えたのです。
それにしても、ランニングシューズの減り具合まで見るとは。
「意外なところにも注意を払う病院なんだな」
と、少し驚きました。
「予約は取れません」
待ちきれなくなって、午前8時30分。
まだ15分ほど早いけれど、「ひょっとしたら電話がつながるかもしれない」と思い、試しに電話をかけてみました。
すると、意外なことに、すぐにつながりました。
「診察の予約をお願いしたいのですが……」
ところが、返ってきた答えは、
「今日は患者さんが多くて、予約は取れません」
でした。
ものすごいショックでした。
しかし、腰から太もも、下腿部にかけて激痛が走っています。
とても耐えられる状態ではありません。
「腰からもも、下腿部にかけて激痛がして、とても耐えられないんです」
必死に訴えました。
すると、
「とにかく病院に来てください。予約のない患者さんも診察を受けられます」
という返事。
思わず、涙が出そうになりました。
ただし、予約患者が優先。
時間が空いたら、予約のない患者を診ることになる。
かなり待つことになるので、それを理解したうえで来てください――とのことでした。
「はい、すぐに参ります。文句は言いません。とにかく診てください」
そんな気持ちでした。
検査の内容によっては、帰りに車を運転できなくなる可能性もあります。
そこで、タクシーで行くことにしました。
「GO」でタクシーを呼ぶと、5分ほどでやって来ました。
とにかく早く病院へ行きたい。
一刻も早く診察を受けたい。
そして何より、
この激痛を何とかしてほしい。
その一心でした。
待合室は患者さんでいっぱい
病院に到着すると、まずマイナンバーカードを読み込ませました。
渡された問診票に記入し、順番を待ちます。
とにかく足が痛い。
椅子に座っていると痛みが増すので、座ったり立ったりを繰り返しながら、痛みに耐えていました。
待合室は、すでに患者さんでごった返しています。
「これは相当待たされるかもしれないな……」
そう覚悟しました。
ところが、ここは比較的大きな病院でした。
整形外科、スポーツ整形外科、形成外科、リハビリ、リウマチ科、循環器内科、こどもスポーツ外来、ウォーク外来など、さまざまな診療が行われています。
つまり、待合室にいる患者さん全員が整形外科を受診するわけではなく、それぞれの診療科に分かれていくのです。
それは、電光掲示板に表示される受付番号を見ているとわかりました。
そして、私が想像していたよりも早く、診察の順番が近づいてきました。
「あと3人」
「あと2人」
「あと1人……」
電光掲示板の数字を、じっと見つめます。
そして、とうとう自分の番号が表示されました。
「やっとだ……」
本当に、ほっとしました。
「レントゲンとMRIを撮ります」
急いで診察室のドアをノックし、中に入りました。
意外と若い先生でした。
とてもはきはきと話しながら、私の症状を尋ねていきます。
その一方で、パソコンには猛烈なスピードで入力しています。
そして、
「とりあえず、レントゲンとMRI検査をしてみましょう。結果を報告しますので、看護師の指示に従って検査を受けてください」
とのことでした。
ここで、私は少しショックを受けました。
というのも、私が一番訴えたかったのは、
「とにかく、この痛みを何とかしてください」
ということだったからです。
痛み止めの注射を打ってもらえるのではないか。
あるいは、すぐに効く痛み止めの薬を処方してもらえるのではないか。
そんな期待をしていました。
ところが、まずは検査。
「とにかく痛みを何とかしてほしい……」
その思いを抱えたまま、検査を受けることになりました。
MRIは1時間待ち
しばらくすると看護師さんが来て、レントゲン室へ案内してくれました。
レントゲンは、あっという間に終了。
ところが次のMRI検査です。
「MRIは時間がかかりますので、1時間ほどお待ちいただくことになります。大丈夫ですか?」
と尋ねられました。
大丈夫ではありません。
でも、待つしかありません。
何しろ今日は、お盆休みの真っただ中。
診てもらえるだけでもありがたいのです。
「大丈夫です。待ちます」
即答しました。
その後、水や麦茶を自由に飲める給湯器が置かれた待合室に案内され、また別の問診票を書くように指示されました。
ここでも、痛みに耐えながらスマホを見て時間をつぶしました。
そこで、ふとMRIについて調べてみました。
そして、驚きました。
私は、MRIとCTを完全に勘違いしていたのです。
装置の形が似ているので、同じような検査だと思い込んでいました。
ベッドのようなところに横になり、丸いトンネルのような装置の中に運ばれて画像を撮る。
その程度の認識だったのです。
そのため、問診票の、
「今までにMRI検査を受けたことがありますか」
という質問にも、間違えて「はい」と記入していました。
ところがスマホには、
「CT検査とMRI検査は別の検査です」
とはっきり書いてあります。
「しまった!」
MRIを受けたことなどありません。
あわてて「はい」を棒線で消し、「いいえ」に丸を付け直しました。
いよいよMRI検査
足の痛みは相変わらずです。
ここでも椅子に座ったり、立ったり。
そんなことを繰り返していました。
それでも、40分ほど待ったところで名前を呼ばれました。
「MRI検査室へどうぞ」
1時間待ちと言われていたので、少し気が楽になりました。
MRI検査では、磁石を使って画像を撮影するため、身体から金属類を外すように言われました。
さらに、
「検査中は大きな音がしますので、ヘッドホンを付けてください」
とのこと。
なるほど。
これはCTとはまったく違う検査なのだと、ここでようやく実感しました。

検査そのものは30分ほどかかりました。
そして、確かに検査中は、工事現場のような、何とも表現しにくい変な音が鳴り続けました。
「ガン、ガン、ガン……」
「これがMRIか……」
そんなことを思いながら、じっと耐えていました。
検査が終わりました。
しかし、まだ終わりではありません。
次は、お医者さんから診断結果を聞くために、また待たなければなりません。
病院とは、本当にひたすら待つところです。
どこの病院でも待ち時間は長い。
まして今日は、足の激痛に耐えながらです。
本当に長く、つらい時間でした。
そして、とうとう――。
私の受付番号が呼び出されました。
「椎間板ヘルニアです」
急いで診察室へ向かいました。
先生から告げられた病名は、
「椎間板ヘルニアです」
でした。
まず、レントゲンとMRIの画像を並べて見せてもらいました。
すると、どちらの画像にも、背骨と背骨の間から何かが飛び出している箇所が、はっきりと写っています。
そこは、たった1か所。
しかし、その1か所が私に猛烈な痛みを与えていたのです。

先生の説明によると、背骨と背骨の間にある椎間板が飛び出し、その近くを通っている神経に触れることで、激しい痛みが起きているとのことでした。
先生は、アンパンにたとえて説明してくれました。
アンパンに強い力が加わったり、あんを包んでいる外側の部分が弱くなったりすると、中のあんが「ぐにゅっ」と外へ飛び出してしまう。
それと似たような状態なのだそうです。
画像を見ながら説明を聞いていると、何とも気持ち悪くなってきました。
「自分の身体の中で、こんなことが起きているのか……」
と思いました。
そして、さらにショックな説明がありました。
この飛び出した部分は、多くの場合、時間が経てば自然に元へ戻っていくそうです。
ただし、正常な状態に戻るまでには、3か月ほどかかることがあるとのこと。
「3か月……」
思わず絶句しました。
3か月も、この痛みと付き合わなければならないのか。
さらに、最初の2週間ほどは「急性期」と呼ばれ、特に激しい痛みが続く時期だそうです。
治療は、薬を飲んで安静にすること。
湿布も効果があるので、処方しておくとのことでした。

病名がわかったことには、一安心しました。
「原因不明の激痛」ではなくなったからです。
しかし――。
病名がわかったからといって、痛みが消えるわけではありません。
結局、痛みは治してもらえないのかーい!
病院で治療費を支払い、近くの薬局へ処方箋を持って行きました。
そこで、2週間分の大量の薬と湿布を受け取りました。
貼り薬です。
帰りはバスです。
ようやく家に戻りました。
帰宅すると、まず急いでコーヒーを飲み、たまたま家にあったバームクーヘンを食べました。
そして、すぐに2種類の痛み止めと、胃が荒れないようにする薬を飲みました。
「薬は何か食べてから飲んでください。そうしないと胃を痛めます」
と説明されていたからです。
ところが、その痛み止め。
すぐに効くわけではありません。
数日間飲み続けて、ようやく効き始めることがあるそうです。
「そんな薬があるのか!」
思わず、怒りにも近い気持ちになりました。
こっちは今、猛烈に痛いんです。
今すぐ痛みを止めてほしいんです!
それなのに、
「数日飲み続けて、効いてくるのを待ってください」
とは……。
いやはや、病院で診てもらった結果、
「痛みはすぐには治りません」
ということでした。
思わず、
「結局、痛みは治してもらえないのかーい!!」
と、心の中で叫びました。
病名はわかりました。
原因もわかりました。
薬ももらいました。
でも、痛みは相変わらずです。
恐るべし、ヘルニア
こうして、私の「椎間板ヘルニア」との闘いが始まりました。
とにかく痛い。
恐るべし、ヘルニア。
最初の2週間ほどは、この激痛と闘わなければならない。
そして、完治するまでには3か月ほどかかる可能性がある。
「3か月か……」
そう思いながら、痛みに耐えて床に就きました。
しかし、その夜も、なかなか眠ることができませんでした。
痛みで寝返りを打つこともままならない。
眠りたいのに眠れない。
目を閉じても、痛みが襲ってくる。
こうして私は、長い長い夜を迎えることになりました。

































