第23回日本山岳耐久レース(24時間以内)長谷川恒男カップ 完走記〜その2
”ハセツネは、3つのチェックポイント(CP)がある。
スタート後約22.7km地点が、第一CPの浅間峠。
ここまでは、ストックは禁止区間である。
第二CPは、月夜見第二駐車場。約42km地点、ちょうどフルマラソンの距離となる。
そして第三CPが長尾平、御岳山御嶽神社の下になる。58km地点、残り13.5kmとなる。
そして、コースには奥多摩の3つの大きな山(ボス山)がある。
ひとつめの大きな山は三頭山(みとうさん)1,527mの標高があり、距離的には頂上がほぼコースの中間地点となる。
前半の第一CPの浅間峠までは小刻みなアップダウンで相当脚のスタミナを奪うコースとなっている。
そして、比較的緩やかながらも根っこの多いトレイルを経由し、ようやく32kmくらいで西原峠(さいばらとうげ)を経由し、ここから一気に三頭山の上りが始まる。
そして、せっかく上った三頭山を一気に400mほどかけおり鞘口峠を経由し、第二CPの月夜見第二駐車場に出る。
その後、ふたつ目の大ボス、御前山(1,405m)。またそれを300mほど下りオオダワに出る。そこから、なだらかなアップダウンを繰り返したあと、最後のラスボス大岳山(1,266m)を登る。
この3っつのボス山を征服すれば、あとはなんとかゴールが見えてくるのだ。”
さて、
第一CPの浅間峠に到達したのはスタートから約4時間半くらいの午後5時半となる。
すでに暗闇になっており、そこで、休憩をしたりストックの準備をする。
去年、一昨年はまだここはストックを使わず走り続けたのだが、さすがに前半飛ばしたこともありかなり疲労度もきつく、すぐに座り込んでストックを取り出した。
また、ライトもウエストライトだけでなく、ヘッドライトを取り出し準備した。
ここまで4時間半。次に月夜見第二駐車場まで9時間で到達すれば、以前練習で試走した際にはあと6時間でゴールしている。昼間とはいえ、のんびり休み休みでも。間違いなく15時間以内で行ける・・・と思って走り続けた。
しかし、
このあたりから、やはり胃の不快感がなかなか改善しなかった。
ブスコバンも投与し様子をみたが、ダメ。
そして、仕方なくガスター10投与。少しミニクリームパンを食べてみたら、少しは良くなった。しかし、ムカムカしながら「早く西原峠につかないものか・・・」と思いながら笹尾根を抜けていた。
さらに、気温は下がっていた。
ときおり、雨か?と思うような雫も落ちてきた。
そして、冷気は氷のつららのように冷たく、ウエアやシューズを通して肌を刺してきた。
「辛いなあ・・・なんで、またこんなことやってんだろう・・・」とか、
「早く熱いお風呂に入りたいなあ・・・」とか、そんな逃げることばかり頭の中を駆け巡っていた。
そして、しばらく我慢。
ようやく西原峠。
ここで、また腰を下ろし、予定していたレッドブルを飲む。
ここから三頭山までは岩場を含む山登り。
もう走るなんてことは考えずに、「山登り行くぜ!」と割り切り歩き出した。
さすがに、この坂道で前を行くランナーを抜いて行こうなんているのはほとんどいない。
みな、寡黙に、聞こえるのは荒い息遣いだけで、途中立って休んでいるランナーや、しゃがみこんでいたり、そんな光景が増えてくる。
山登りが始まると冷えたカラダでも汗が出る。その汗がまた冷え、冷たく感じる。でもまた汗が出る。ウエアの中に汗が溜まる感じがして不快感さえ感じる。
でも、休んだ瞬間に急にカラダは氷のように冷たくなってくる。
だから、少しでも動くしかない。
そして、ようやく三頭山避難小屋。
その手前で、ウエストライトのバッテリーが切れかけていたので、ここで交換。
避難小屋のベンチに腰掛けて作業をしながら、隣のランナーと少しおしゃべり。
このレースは初めてのようで、この先の状況を少しお話しておいた。
ここからは、木段があり、そのあとさらに急登を登る。
そしてようやく三頭山のピークに到着する。
何度か登っているとだいたいわかるのだが、もうすぐピークだよ!という目印になる木がある。大きなクランク型に曲がっている木があるのだ。それが見えれば本当にあとすこし。
ようやく、ピークアウト。
ここから鞘口峠まではつづら折りの下りがあり比較的走れるところ。
けっこうテクニカルなサーフィスではあるけれど、今までここでころんだことは無い。
しかし、今年は違った。
三頭山を登るころはすでに霧が濃くなっており、地面も湿っていた。
その湿った地面は下りでは非常に危険であった。
何度かズル、ヌルっとなりながらも防いでいたのだが、とうとう、ここで180度ひっくり返った。伏せることができたおかげで滑落は阻止できたが、下手すると数十メートル落ちても仕方なかった。
なんとか、鞘口峠を下りることができたが、ここまでで、かなり体力を使い果たし、鞘口峠から風張峠(かざはりとげ)までの坂道がキツかった。
さらに、けっこう走ってきたせいか、また、標高が下がったせいか、気温が上がったように感じ、汗がびっしょり。
そこで、バーサライトを脱いでまた半袖シャツになり走りだした。
でも、吐き気は一向に改善しなかった。
走りの間に歩きを入れながら、ようやく第二CPの月夜見第二駐車場に到達したのは、スタートから9時間9分(22時9分)。順位は993位と第一関門から大きく後退していた。
そして、カラダはほとんどジェルも受け付けなくなっていた。
(つづく)
スタート後約22.7km地点が、第一CPの浅間峠。
ここまでは、ストックは禁止区間である。
第二CPは、月夜見第二駐車場。約42km地点、ちょうどフルマラソンの距離となる。
そして第三CPが長尾平、御岳山御嶽神社の下になる。58km地点、残り13.5kmとなる。
そして、コースには奥多摩の3つの大きな山(ボス山)がある。
ひとつめの大きな山は三頭山(みとうさん)1,527mの標高があり、距離的には頂上がほぼコースの中間地点となる。
前半の第一CPの浅間峠までは小刻みなアップダウンで相当脚のスタミナを奪うコースとなっている。
そして、比較的緩やかながらも根っこの多いトレイルを経由し、ようやく32kmくらいで西原峠(さいばらとうげ)を経由し、ここから一気に三頭山の上りが始まる。
そして、せっかく上った三頭山を一気に400mほどかけおり鞘口峠を経由し、第二CPの月夜見第二駐車場に出る。
その後、ふたつ目の大ボス、御前山(1,405m)。またそれを300mほど下りオオダワに出る。そこから、なだらかなアップダウンを繰り返したあと、最後のラスボス大岳山(1,266m)を登る。
この3っつのボス山を征服すれば、あとはなんとかゴールが見えてくるのだ。”
さて、
第一CPの浅間峠に到達したのはスタートから約4時間半くらいの午後5時半となる。
すでに暗闇になっており、そこで、休憩をしたりストックの準備をする。
去年、一昨年はまだここはストックを使わず走り続けたのだが、さすがに前半飛ばしたこともありかなり疲労度もきつく、すぐに座り込んでストックを取り出した。
また、ライトもウエストライトだけでなく、ヘッドライトを取り出し準備した。
ここまで4時間半。次に月夜見第二駐車場まで9時間で到達すれば、以前練習で試走した際にはあと6時間でゴールしている。昼間とはいえ、のんびり休み休みでも。間違いなく15時間以内で行ける・・・と思って走り続けた。
しかし、
このあたりから、やはり胃の不快感がなかなか改善しなかった。
ブスコバンも投与し様子をみたが、ダメ。
そして、仕方なくガスター10投与。少しミニクリームパンを食べてみたら、少しは良くなった。しかし、ムカムカしながら「早く西原峠につかないものか・・・」と思いながら笹尾根を抜けていた。
さらに、気温は下がっていた。
ときおり、雨か?と思うような雫も落ちてきた。
そして、冷気は氷のつららのように冷たく、ウエアやシューズを通して肌を刺してきた。
「辛いなあ・・・なんで、またこんなことやってんだろう・・・」とか、
「早く熱いお風呂に入りたいなあ・・・」とか、そんな逃げることばかり頭の中を駆け巡っていた。
そして、しばらく我慢。
ようやく西原峠。
ここで、また腰を下ろし、予定していたレッドブルを飲む。
ここから三頭山までは岩場を含む山登り。
もう走るなんてことは考えずに、「山登り行くぜ!」と割り切り歩き出した。
さすがに、この坂道で前を行くランナーを抜いて行こうなんているのはほとんどいない。
みな、寡黙に、聞こえるのは荒い息遣いだけで、途中立って休んでいるランナーや、しゃがみこんでいたり、そんな光景が増えてくる。
山登りが始まると冷えたカラダでも汗が出る。その汗がまた冷え、冷たく感じる。でもまた汗が出る。ウエアの中に汗が溜まる感じがして不快感さえ感じる。
でも、休んだ瞬間に急にカラダは氷のように冷たくなってくる。
だから、少しでも動くしかない。
そして、ようやく三頭山避難小屋。
その手前で、ウエストライトのバッテリーが切れかけていたので、ここで交換。
避難小屋のベンチに腰掛けて作業をしながら、隣のランナーと少しおしゃべり。
このレースは初めてのようで、この先の状況を少しお話しておいた。
ここからは、木段があり、そのあとさらに急登を登る。
そしてようやく三頭山のピークに到着する。
何度か登っているとだいたいわかるのだが、もうすぐピークだよ!という目印になる木がある。大きなクランク型に曲がっている木があるのだ。それが見えれば本当にあとすこし。
ようやく、ピークアウト。
ここから鞘口峠まではつづら折りの下りがあり比較的走れるところ。
けっこうテクニカルなサーフィスではあるけれど、今までここでころんだことは無い。
しかし、今年は違った。
三頭山を登るころはすでに霧が濃くなっており、地面も湿っていた。
その湿った地面は下りでは非常に危険であった。
何度かズル、ヌルっとなりながらも防いでいたのだが、とうとう、ここで180度ひっくり返った。伏せることができたおかげで滑落は阻止できたが、下手すると数十メートル落ちても仕方なかった。
なんとか、鞘口峠を下りることができたが、ここまでで、かなり体力を使い果たし、鞘口峠から風張峠(かざはりとげ)までの坂道がキツかった。
さらに、けっこう走ってきたせいか、また、標高が下がったせいか、気温が上がったように感じ、汗がびっしょり。
そこで、バーサライトを脱いでまた半袖シャツになり走りだした。
でも、吐き気は一向に改善しなかった。
走りの間に歩きを入れながら、ようやく第二CPの月夜見第二駐車場に到達したのは、スタートから9時間9分(22時9分)。順位は993位と第一関門から大きく後退していた。
そして、カラダはほとんどジェルも受け付けなくなっていた。
(つづく)