ハセツネカップ 完踏記4
第2CPの月夜見第二駐車場から、第二の大ボス、御前山へ向かう。
この御前山が曲者で、長くダラダラとした坂道が4度ほどある。
そして、以前に滑落事故のあった危険な場所もある。
そして不思議なのはここはいつも天候がおかしい。
以前の夜間走の時はここからが酷い雨になったのだ。
そして、今回は霧。
駐車場から下ると、毎度のぬるぬる坂。ブレーキの利かない坂道が続く。
最初はかなり慎重に進んでいたが、ふと何かにひっかかったのか、滑ったのか、左足がすべり「グキっ」となった。しまった、捻挫だ。
ここから、御前山と大岳山という大ボスふたつを前に捻挫とは・・・。
まあ、痛みもそれほどではないし、完全に骨に異常は無いのは感覚でわかる。
仕方ない、と、坂道を降りた先で、草むらに腰を下ろし、ザックからテーピングを出した。
そして、捻挫した足をしっかり固定した。
これは、選手マーシャルとして、選手たちに何かあった際には、サポートしなくては という気持ちで持ってきたテープだったが、自分がしっかり活用することになるとは・・・。
ただ、講習会で学んだだけに手際よく、また、すでに予防のためにキネシオでのテーピングもしてあったので、簡単に貼ることができ、ゲイターをかぶせればしっかり固定できた。
さあ、もう本当に走れないぞ。
これだけケガをしていても、少しも、もうやめたいとは思わなかった。
もうすぐ小河内峠。そこで少し休みたかったが、ベンチにはすでに選手が寝ていたので仕方なくスルー。
いやな、坂道が始まる。
ようやく登ったら、下る。そしてまた登る。そしてあの危険な場所を通過し、最後の惣物山への長い急登。ようやく上りきり、ベンチの空いているところに腰を掛ける。
さすがに、この坂道では幾度と無く立ち止まり休んでのぼった。
しかし、ここはまだ御前山ではない、あと600mもある。
仕方なく、立ち上がり進みだしたが、後方で、リバースする声。
みんな、苦しいんだ。
自分も腹の調子はよくなく気分もよくはなかった。
なので、水も少しだけ飲むことにして胃にたっぷり水を溜めないように工夫はしていた。
ようやく御前山到着。
そこで、スタッフが「リタイアされる方は、次のオオダワがよいですよ」という案内。
いやいや、わしはリタイアせんよ。絶対に。
御前山の頂上はスルーして、くだり坂に入ったが、これがキツい。
捻挫した足にはくだり坂が一番きつい。
仕方なく、右脚を先におろし、捻挫した左脚はあとからそえる方法でぎこちなくおりた。
前回の雨天のナイトランでもけっこう走れて下りれたのに。
御前山からオオダワまで3km程度しかないはずなのに、これが長い。
基本的には下り基調なのだが、上り返しが続く、3回、4回、いや5回くらいか?
そしてようやくオオダワ。
ここでトイレによってから地図を見ると、オオダワは午前3時半通過予定!
お、ぴったし3時半だった。
よし、と、ここからすぐに歩き出した。(走れないのだから仕方ない)
目指す大岳山は1266mとそう高くは無いが、最後ののぼりがロッククライミングになる。
ただそれまでは比較的走れる場所。(健康な足ならば)
そこを足の痛みをこらえ、ゆっくりいく。
走りやすい場所なので、何人かに抜かれた。
しかし、面白いことに、多少登りになると、歩いていた自分のほうがいつの間にか抜いている。
この現象は、後半ほとんどの場所でおきた。
登りのスピードはまだ落ちていないってことだ。
途中、女子のランナーが笹の上で横たわっていた。掌をマクラにしているようなので、寝ているんだなということでスルー。
そして、とうとうキター!ロッククライミング。一気に90度に近い確保の岩場をのぼるのだ。
自分も何度か休み休みは登ったがそれでも、何度か経験した場所なので、比較的登りやすい場所を記憶している。
最後の大きな岩場では、先をいく選手に「右からいったほうが登りやすいっすよ!」と教えてあげた。
そして、大岳山も制覇!これで3大ボス山を踏破!あとは、もう完走間違いなし!
しかし、大岳山の下りは厳しい。のぼりもロッククライミングってことは下りは・・・
ここは慎重に行かねばと思うが、左足が不自由なので足は伸ばせず難儀した。進まない。なるべく後ろから来た選手を先にいかせる。
少しづつ下りていく。
ようやく大岳山の神社につき、お祈りをして進む。
と、
前方からスタッフが・・・。
ケガをした選手を搬送してきた。頭から出血もしている。
それを見てから、まだまだ油断はできない。最後まで慎重にいこう、とゆっくり進むことにした。
下りが多いが走れないので、仕方ない。後方からどんどん抜かれる。いや抜かせるしかない。
そして、ようやく綾広の滝上の水場。これがおいしい。雨のあとだけに水はすごい豊富で溢れていた。
とりあえず予備ボトルに水を500mlほど汲んでおいた。
あとは第3CPの長尾平。
ここからは2kmとない。最後の練習会ではここを走って往復した。
距離感があるので、精神的には気楽だが、自分の足の遅さにはイライラする。
ようやく、見えた、長尾平!
6時前に到着。あとは下るだけ。いや日の出山はあるけど。
長尾平でも休むことはせず、(だって売店はあるけど、ここで飲み物買うことはできないし)下っていく。
日の出山。この階段が嫌いだけど・・・。
だんだん明るくなってきた。
長尾平からはもうオレンジの太陽が見えた。
そうしたら、何故か、涙がでた。
なんか、もうやったって感じなのか?それとも何なの、もう終わりなの?
いやいや、まだ10kmはあるってのに。
日の出山までの長い階段をのぼり、ようやく日の出山。6時半には到着!
でも、日の出は終わっていたし。ただ、気持ちよかった。
ここで、アイフォンに電源をいれ写真をとった。
あとは、ほぼ下るだけ。
ただ、日の出山の下りも怖い。慎重に足を運んでいく。
そして、金比羅尾根方面に・・・。
ここからは走るランナーが増える。
自分はやはり走れない。
でも、いい、たっぷりこの感激を味わいたい。そう思いながら、後方から来る選手の足音が近づくと道を譲った。
途中で、「ご苦労様」といわれた。そう選手マーシャルの十字架を背負っているからわかるんだ。
あと5kmくらいで、安全走行講習会でよくいっしょに走った諏訪原さんが追いかけてきた。ようやく追いついたと。
自分は走れないので、先にいってもらった。
あと少し。
あと3kmの看板。
あと2km。
アスファルトの坂に出てそれを下りると、もう民家だ。
街並みにおりた。
応援に感謝しつつ。
ゴール会場のにぎやかな音が聞こえた。
もうすぐだな~・・・。
ゴールは笑顔でゴールしよう!と、走れない足のくせに、少しでもちょこちょこと走ってみた。
最後の角を曲がった。
ああ、横断幕やのぼりが一杯。
あ、みんながお帰りと言ってくれる。
いや、あ、ダメだ、涙が、いや、あの、う、・・・
なんだか笑顔か泣いてるのかわかんない顔になってしまっていた。
そして、練習ナイトランでもいっしょに走った藤生さん、寒い御前山非難小屋でコーヒーをご馳走になった照さんが、待っていてくれた!
嬉しい!
ゴール!!!
終わった・・・やっと、終わった。
タイムなんてどうでもいい。(この時はすでに20時間を超えていると信じていたし)
ゴールしたあとにいつものように、ゴールに向かって礼をして、暑い熱い夏のハセツネが終わった。
手には、19時間38分という完走証。そして、とっても欲しかった完走Tシャツ。
自分の限界を超えたのだろうか・・・わからない
でも、
最高の瞬間だった。
この御前山が曲者で、長くダラダラとした坂道が4度ほどある。
そして、以前に滑落事故のあった危険な場所もある。
そして不思議なのはここはいつも天候がおかしい。
以前の夜間走の時はここからが酷い雨になったのだ。
そして、今回は霧。
駐車場から下ると、毎度のぬるぬる坂。ブレーキの利かない坂道が続く。
最初はかなり慎重に進んでいたが、ふと何かにひっかかったのか、滑ったのか、左足がすべり「グキっ」となった。しまった、捻挫だ。
ここから、御前山と大岳山という大ボスふたつを前に捻挫とは・・・。
まあ、痛みもそれほどではないし、完全に骨に異常は無いのは感覚でわかる。
仕方ない、と、坂道を降りた先で、草むらに腰を下ろし、ザックからテーピングを出した。
そして、捻挫した足をしっかり固定した。
これは、選手マーシャルとして、選手たちに何かあった際には、サポートしなくては という気持ちで持ってきたテープだったが、自分がしっかり活用することになるとは・・・。
ただ、講習会で学んだだけに手際よく、また、すでに予防のためにキネシオでのテーピングもしてあったので、簡単に貼ることができ、ゲイターをかぶせればしっかり固定できた。
さあ、もう本当に走れないぞ。
これだけケガをしていても、少しも、もうやめたいとは思わなかった。
もうすぐ小河内峠。そこで少し休みたかったが、ベンチにはすでに選手が寝ていたので仕方なくスルー。
いやな、坂道が始まる。
ようやく登ったら、下る。そしてまた登る。そしてあの危険な場所を通過し、最後の惣物山への長い急登。ようやく上りきり、ベンチの空いているところに腰を掛ける。
さすがに、この坂道では幾度と無く立ち止まり休んでのぼった。
しかし、ここはまだ御前山ではない、あと600mもある。
仕方なく、立ち上がり進みだしたが、後方で、リバースする声。
みんな、苦しいんだ。
自分も腹の調子はよくなく気分もよくはなかった。
なので、水も少しだけ飲むことにして胃にたっぷり水を溜めないように工夫はしていた。
ようやく御前山到着。
そこで、スタッフが「リタイアされる方は、次のオオダワがよいですよ」という案内。
いやいや、わしはリタイアせんよ。絶対に。
御前山の頂上はスルーして、くだり坂に入ったが、これがキツい。
捻挫した足にはくだり坂が一番きつい。
仕方なく、右脚を先におろし、捻挫した左脚はあとからそえる方法でぎこちなくおりた。
前回の雨天のナイトランでもけっこう走れて下りれたのに。
御前山からオオダワまで3km程度しかないはずなのに、これが長い。
基本的には下り基調なのだが、上り返しが続く、3回、4回、いや5回くらいか?
そしてようやくオオダワ。
ここでトイレによってから地図を見ると、オオダワは午前3時半通過予定!
お、ぴったし3時半だった。
よし、と、ここからすぐに歩き出した。(走れないのだから仕方ない)
目指す大岳山は1266mとそう高くは無いが、最後ののぼりがロッククライミングになる。
ただそれまでは比較的走れる場所。(健康な足ならば)
そこを足の痛みをこらえ、ゆっくりいく。
走りやすい場所なので、何人かに抜かれた。
しかし、面白いことに、多少登りになると、歩いていた自分のほうがいつの間にか抜いている。
この現象は、後半ほとんどの場所でおきた。
登りのスピードはまだ落ちていないってことだ。
途中、女子のランナーが笹の上で横たわっていた。掌をマクラにしているようなので、寝ているんだなということでスルー。
そして、とうとうキター!ロッククライミング。一気に90度に近い確保の岩場をのぼるのだ。
自分も何度か休み休みは登ったがそれでも、何度か経験した場所なので、比較的登りやすい場所を記憶している。
最後の大きな岩場では、先をいく選手に「右からいったほうが登りやすいっすよ!」と教えてあげた。
そして、大岳山も制覇!これで3大ボス山を踏破!あとは、もう完走間違いなし!
しかし、大岳山の下りは厳しい。のぼりもロッククライミングってことは下りは・・・
ここは慎重に行かねばと思うが、左足が不自由なので足は伸ばせず難儀した。進まない。なるべく後ろから来た選手を先にいかせる。
少しづつ下りていく。
ようやく大岳山の神社につき、お祈りをして進む。
と、
前方からスタッフが・・・。
ケガをした選手を搬送してきた。頭から出血もしている。
それを見てから、まだまだ油断はできない。最後まで慎重にいこう、とゆっくり進むことにした。
下りが多いが走れないので、仕方ない。後方からどんどん抜かれる。いや抜かせるしかない。
そして、ようやく綾広の滝上の水場。これがおいしい。雨のあとだけに水はすごい豊富で溢れていた。
とりあえず予備ボトルに水を500mlほど汲んでおいた。
あとは第3CPの長尾平。
ここからは2kmとない。最後の練習会ではここを走って往復した。
距離感があるので、精神的には気楽だが、自分の足の遅さにはイライラする。
ようやく、見えた、長尾平!
6時前に到着。あとは下るだけ。いや日の出山はあるけど。
長尾平でも休むことはせず、(だって売店はあるけど、ここで飲み物買うことはできないし)下っていく。
日の出山。この階段が嫌いだけど・・・。
だんだん明るくなってきた。
長尾平からはもうオレンジの太陽が見えた。
そうしたら、何故か、涙がでた。
なんか、もうやったって感じなのか?それとも何なの、もう終わりなの?
いやいや、まだ10kmはあるってのに。
日の出山までの長い階段をのぼり、ようやく日の出山。6時半には到着!
でも、日の出は終わっていたし。ただ、気持ちよかった。
ここで、アイフォンに電源をいれ写真をとった。
あとは、ほぼ下るだけ。
ただ、日の出山の下りも怖い。慎重に足を運んでいく。
そして、金比羅尾根方面に・・・。
ここからは走るランナーが増える。
自分はやはり走れない。
でも、いい、たっぷりこの感激を味わいたい。そう思いながら、後方から来る選手の足音が近づくと道を譲った。
途中で、「ご苦労様」といわれた。そう選手マーシャルの十字架を背負っているからわかるんだ。
あと5kmくらいで、安全走行講習会でよくいっしょに走った諏訪原さんが追いかけてきた。ようやく追いついたと。
自分は走れないので、先にいってもらった。
あと少し。
あと3kmの看板。
あと2km。
アスファルトの坂に出てそれを下りると、もう民家だ。
街並みにおりた。
応援に感謝しつつ。
ゴール会場のにぎやかな音が聞こえた。
もうすぐだな~・・・。
ゴールは笑顔でゴールしよう!と、走れない足のくせに、少しでもちょこちょこと走ってみた。
最後の角を曲がった。
ああ、横断幕やのぼりが一杯。
あ、みんながお帰りと言ってくれる。
いや、あ、ダメだ、涙が、いや、あの、う、・・・
なんだか笑顔か泣いてるのかわかんない顔になってしまっていた。
そして、練習ナイトランでもいっしょに走った藤生さん、寒い御前山非難小屋でコーヒーをご馳走になった照さんが、待っていてくれた!
嬉しい!
ゴール!!!
終わった・・・やっと、終わった。
タイムなんてどうでもいい。(この時はすでに20時間を超えていると信じていたし)
ゴールしたあとにいつものように、ゴールに向かって礼をして、暑い熱い夏のハセツネが終わった。
手には、19時間38分という完走証。そして、とっても欲しかった完走Tシャツ。
自分の限界を超えたのだろうか・・・わからない
でも、
最高の瞬間だった。