長いことかかりましたが、ようやく完成しました
今夜はその後の作業の紹介ですが、明日には完成画像をアップします
まずは電装系の作業ですが、これはサイズも規格もバラバラだったPOTを統一し、コンデンサーも替えました。
ボディーエンド側は、材を接ぎ足して延長したので、元のストラト用舟形ジャックを同じようにサイド部分に再装備するのに苦労しました
依頼主は、私が多くのカスタム品に施すフィンガーボードを沈め込む仕様を気に入ってくださっているので、今回も同じようにネックポケットを掘り下げる加工を実施しました。
まずは切削量を測るためにネックポケットの縁の部分に赤いマーカーを付けます。
まずはノミで大雑把に削ったあと、サンディングで平滑に仕上げます。
ピックガードの厚みに相当する、およそ2㎜半ほど掘り下げました。
塗装については、材を接いだこともあり、継ぎ目を消すには厚塗りするしかないのですが、そうするとラッカーで極薄に仕上げることでリアルなレリックを表現しづらくなる、というジレンマを抱えていました
しかし、今回の「ボディーサイズ拡大」という大手術は、無二のカスタマイズを施したこのベースの強烈な個性でもあるので、客席からは見えなくとも、手に取って見れば僅かにでもその痕跡が確認できるような風合に仕上げてあります
前回の画像からは、レリック加工をさらに推し進めました。
ポットのシャフトの周囲に鉛筆で円形の印を付けます。
この円に沿って塗装を剥し
コントロールノブを回した時に爪の先で塗装を擦ってきた様子を表現してみました。
他にもネック調整とフレットの擦り合わせを実施
いうまでもなく、サンダーバードはGIBSON社の製品ですが、今回のベースはFENDERの基本構造を引き継いでいるので、ネックに仕込み角がないばかりか、ヘッドにもアングルが付けられていません
そこで依頼品の元オーナーは3・4弦にも丸型ストリングガイドを追加していましたが、これは無粋なのでバータイプを装備しました。
今回のベースで私が一番問題だと感じていたのは、バランスの悪さです
24フレットのロングスケールネックなのに4弦側には長いホーンが無いという、かなり無理のある設計
重心点を探るとなんと18フレットの位置になっていた事は最初に記事にしました。
今回…ボディーエンドを延長して面積も拡大
ヘビーデューティータイプのブリッジを2個置けるくらいに大きくなりましたが。これに見慣れたせいか、今オリジナルの画像を見るとむしろ尻切れトンボのように見えます
ノブの位置も含めてカスタム後の方が自然に見えます
材の接ぎ足しやさらに重いブリッジへの換装と、重量もエンド側が重くなってバランスは改善されました。
それに加えてストラップピンの位置も再検討。
前オーナーはボディー裏側に何度か移動していたようですが、今回はオーソドックスな位置に変更。
肩の角度がなだらかで普通にストラップを付けただけでは落下の危険があるので、ロックタイプにしました
この状態でバランスを取ってみると、18フレットから22フレットの位置まで後退させることに成功しています
正直に言うとこれでもまだ気持ちヘッド側が若干重く感じます。それから、おヘソのあたりにフロントPUが来るのですが、私の体格ではスタンディングポジションでは1・2弦のペグに手が届かず回せません
我々が中高生の時代ならともかく、これだけ5弦ベースが普及した現代で、24フレットネックを装備することに大きな意味があるのでしょうか