たぶん…今回のカスタムで一番の難関を越えました(と思う)
オリジナルのパーツは、透明のアクリル板をミラー加工したもので、一部ミラー加工された部分が剥がれていたり、割れていたり…
今回はこれらのパーツを金属で作り直してほしいというオーダーもありました。
無論私には、鉄で作ってメッキ加工する設備や技術まではないので、アルミパネルで作ることを提案し了承を得ました。
過去にアルミ板でコントロールパネルを製作した経験があったので、深く考えることなく安請け合いしたのですが…
FENDERの50年代オリジナルのアノダイズドピックガードは当時の1プライガードに近い薄さでですが、今回はピックガード本体も黒3プライで作り直すことになっているので、段差が目立たないよう2㎜厚のアルミパネルを使うことにしました。
というか…私の行くホームセンターにはこれ以上の厚さのパネルは売ってなかったです
この厚さになると、直線切りならともかく、曲線切りや複雑な形状はかなりの苦労を伴います
こういった加工は、いわゆる「リペア」ではないので、例によって一般的な工房のメニューにもありません。無理に頼んだところで、金属加工業者に丸投げされて高額な請求書が届くだけかもしれません
まずはボリューム、トーン、アウトジャックを載せるコントロールパネルから製作します。
【プラ素材であれば10分で切り出せますが、数倍の時間がかかり、手も痺れます】
あ~
マスキングテープで養生をしなかったので、パネルを押さえる金具の跡がついてしまいました
まあコンパウンドで磨けばきれいになります
並べた画像では右が太く見えますが、カメラのレンズとの位置関係のせいだと思います。重ねてみればピッタリ
次に、大した意味もなくブリッジを囲むようにネジ留めされている装飾パネルを製作します。
外周を切ったあと、ブリッジの入る部分をくり抜きますが、ノコの刃の両端を留めるクリップの入る穴を開けるのが大変です。この四角い穴は手作業で開けるしかないですから
今度は忘れずにマスキングテープで養生してます
大量の削りカスを見れば分かると思いますが、電ノコで切るのは大雑把なシェイプだけなので、ここからラインまで追い込んで行く作業は、ノコ作業の数倍の時間がかかります
さらに困ったところは、ブリッジのベースプレートが、この装飾プレートに沈み込むように設置されているので、弦のボールエンドが通し難いことです。
そこで弦のボールエンドと干渉する部分を少し削ることにしました
実際に使ってみて、さらに削ることになるかもしれません。
最後は4つのスライドスイッチが搭載されたスイッチプレートの製作です。
できるだけスラップの邪魔にならないようにしてほしい、というオーダーだったので、まず位置をブリッジ寄りにズラすことにしたことは、ピックガード製作の記事で触れました。
さらに私からの提案で、スイッチ自体をひと回り小型の物に変更し、プレート自体もコンパクトにデザインし直すという提案をさせていただきました
普通のミニスイッチであれば、6㎜のビットで穴を開けるだけで完了ですが、オリジナルの外観を踏襲してほしい、ということで、スライドスイッチ用に穴を四角に拡張します。
これらは完全手作業になるので、大変時間がかかりました
一番右側のスイッチを1つだけ取り付けてみましたが、かなりコンパクトになっているのが分かると思います。
アルミ地の剥き出しだし、手作業なので多少いびつですが、それもプロトタイプっぽくて雰囲気あるなぁ、と自己満足しています
アルミは空気に触れたままだと腐食しやすいので、このあとクリアラッカーを吹いて保護膜とします
明日の雨を最後に、来週は天気も回復しそうなので、このゴールデンウィークで一気に仕上げたいと思います