ボディーの方は、シンクロトレモロキャビティーを埋めるという厄介な作業があったのでネック側の作業を優先したのですが、ボディー側の作業も終了し、塗装の準備にかかっています
前回記事で見たように派手な木目のアッシュ材ですが、機械加工から上がってきたままの状態で、これから何段階もペーパーをかけて下地を作る必要がありました
また、裸のまま長期保管された物にはありがちなクラックが発生していました
これがなければナチュラルで仕上げたいほど良い木目でしたが、オーダーは「サーフグリーン」の指定を受けています。
このクラックも入念に修復しておかないと、いくら塗り潰しのカラーとはいえ、径年で塗膜が痩せてきた時に段差が目立つようになります
それから、「寄せ集めのパーツ類を組み合わせて一本組んでくれ」というオーダーでは大半そうですが、ボディーとネックのフィッテイングも丁寧に合わせないといけません。
今回はボディー側が56㎜、ネックエンド側が56.6㎜と、0.6㎜も大きく、画像のように入る気配すらありませんでした
ネックポケットの間口だけではなく、ツバの下に3プライピックガードがぴったり入るように深さも調整してあります。
この段階で、ピックガードやコントロールプレートを載せてネジ穴の位置を大雑把に把握(確定ではない)しておきます。
その結果、コントロールキャビティーのネジ位置が1つギリギリになることが分かりました
FENDER系のコンポーネントを組む時に多いパターンですが、ネジ穴が、外れないまでも…ギリギリ過ぎる状態です。
既製品では平気で放置してある症状ですが、脱着を繰り返しているうちに壁が崩落してネジが効かなくなっている中古品によく出くわします。
こういった場合、私は木材を継いで事前の対策を施しておきます
最後に、オーダー内容には関係ありませんが、安物弄りに付き物のチープなパーツに気を配ることは、たとえ50円程度のパーツであっても最終的な印象に大きな影響を与えます。
この広がったM字のストリングガイド・・・見るからに不細工です
ペンチで摘まむだけではネジ穴があって強度の弱い中央の水平部分から曲がってしまうので、先端の細いラジオペンチを2本使って整形していきます。
それからネジもペグ用のネジと同じ短いものを流用しているので、少し長いものに交換しておきます。
この程度の手直しでも、見栄えはぐっと良くなります
トレモロキャビティを埋めたボディーにも生地着色を施し、木目が際立つようになりました。
ただ・・・やはり重量が重い
ボディー単体で2630gあると、最終的には3.8~4.0㎏前後になるでしょう。これでもコンター部分にランダムサンダーを当てて、エルボーコンターとバックコンターの面積と深さを拡張したのですが、硬いアッシュ材なので40gほどの軽量化にしかなりませんでした
本来このモデルは、ムスタングやミュージックマスター、ブロンコといったスチューデントモデルと同じ薄ボディーのはずですが、このボディーに関しては、シンクロ搭載というオリジナルに無い仕様で、しかもフルサイズブロックを装備する想定でストラトと同じボディー厚になっています
まさに70年代後半の重いホワイトアッシュ材のストラトと同じコンポーネントということです
今回はテレブリッジを使ったハードテイル仕様ということで、ボディー厚自体を5㎜ほど薄く加工すればかなり軽量化できたと思いますが、予算の関係と、まだまだ電装系や塗装(エイジド加工)の作業が多く残っているので断念しました