毎度のことですが・・・

いよいよ完成と思っても、次から次へと予期せぬハードルが現れますわチーン

ナット交換の際に発見した指板の剥がれは、400番のペーパーを挿し込んでできるだけ古い接着剤を落とした上で、再度タイトボンドで圧着し直し、クランプをかけて三日放置。

黒い塗料を盛って研磨し、クリアのオーバーラッカーを吹いて水研ぎと研磨で完了です。

 

あとは弦を張ってセットアップで「完成」と思っていたのですが…

コレひらめき電球

リッケンベース特有のミュート機構なのですが、サドルの前にある格子状の中にスポンジが仕込んであり、これを両サイドにあるネジを回して上下させるという仕組みです。

 

現在のベース弾きで、実際にこのミュート機構を使う人っているんですかねうーんはてなマーク

私が安物のジャズベースを60年代初期仕様にカスタムする場合、この時期のみ装備されていたミュート機構の痕跡(4つのネジ)を再現していることは皆さんご存じだと思いますが、FENDER社は間もなくこの機構を廃止します。

本物のジャズミュージックの世界では、依然ウッドベースか、それをエレクトリック化したアップライトベースが主流で、FENDERが発明したこの横に構えて弾くベースは、主にロックミュージックの世界に定着しました。結果、ミュート機構は無用の長物と化した訳です。

 

今回のJOODEEリッケンのこの仕組みは壊れてはいませんで…ただ、フロントPUのスプリング等と共に、サビの浮いたネジやバネの類を新しい物に交換しただけで問題なく機能しています。

 【ブリッジネジも新しくワンサイズ大きな物に交換しました】

しかし実際に使用してみると、すぐに具合の悪いことが分かります。弦の振動を妨害するためのスポンジが、単純な正方形なんですチュー

実際の弦は、フィンガーボードのアールに合わせて両脇の1・4弦より中央の2・3弦がやや高いアーチ状になっています。なのでミュートを効かせるためにスポンジの高さを弦に近づけていくと、1・4弦に軽く触れた状態では2・3弦には全くミュートが効かず、逆に2・3弦にスポンジを軽く当てるようとすると、1・4弦はサスティンゼロとなりますゲッソリ

これを均一な圧力で弦にスポンジが当たるようにするには、スポンジもアーチ状に整形するしかないのですが、これを調整するのにブリッジを何度も何度も脱着する羽目になりました滝汗

本物のリッケン4001や4003は触ったこともないので、実物がどうなっているのか知りません。

少なくとも見よう見真似の国産コピーでは、製造時からの不具合なので、レストアとは関係のない作業なのですが、どうもこういうのは許せませんあせる

しかも、誰も使わない機構の可能性も高いですし・・・

 

これをレオ・フェンダーはどう解決したのかひらめき電球

1960年の発表時、ジャズベースはブリッジカバーの内側にスポンジを貼りつけて、弦の振動を邪魔する機構でした。

これは単純すぎて、太さが違って振動エネルギーにも大きな差がある各弦のミュート具合を細かく調整することはできません。

それで次の機構が考案されます。

これは、その外観からピアノから着想を得たものだと思いますが、フェルトを貼った板バネを各弦独立で装備しています目

しかもよく見ると、固定する位置をわずかに前後できるようになっています。これと、板バネを曲げることによってミュートの具合を微調整できるようにしたようです。

レオの真骨頂は、自分では楽器の演奏はしなかったものの、絶えず現役ミュージシャンからの意見を製品にフィードバックし続けたことでしょうキラキラ

そして最終的には、ミュート機構自体を廃止することにしたのです。

 

最後に…

古い国産リッケンコピーはたくさん見てきましたが、共通の弱点としては、ダイカスト製ブリッジ・テールピースの強度不足が挙げられますパー

弦のテンションに負けて、ブリッジのお尻が大きく持ち上がっているものを多く見ました。

けれどもこのJOODEEは問題なさそうです。

 

ほとんど弾かれていないか、弦を緩めきった状態で放置されていたのでしょう。

いいかげん完成させたいですチュー