所有楽器の6本目です音譜

 

 

これを購入したのは確か2001年だったと思います。

80年代から90年代にかけて楽器の好みにブレがなかった私も、21世紀を迎えた頃に若干変化がありました爆  笑

いつもの楽器屋さんに立ち寄ったある日、新入荷物の壁にコレが掛かっていたんです目

 

以下記憶にあるやりとりです

 

:お 白メイプル入ったんだひらめき電球

 

店員さん:白メイプルじゃなくてブロンドですよ、弾いてみますか?

 

:70年代アッシュは重いから要らないDASH!

 

店員さん:そういうのを食わず嫌いっていうんですよむかっ(と言って壁から降ろす)

 

:(手渡されて) ゲッ!! 軽っあせる

 

店員さん:3.5キロないっすよ音譜

 

:とりあえず弾いてみるわラブラブ

 

今まで弾いてきたストラトよりも、なんというか、とてつもなく存在感のあるサウンドルンルン

これが自分のストラトサウンドのイメージに近いかもキラキラ

 

しかし、自分ひとりで弾く分には気持ちいいけど、アンサンブルの中ではどうだろうーんはてなマーク

 

馴れるまでは扱いにくさがありそう。でも実際に試してみたい

もしダメでもソロ録りだけででも使ってみたい

そんな感じで買いました¥

以後バンド活動を辞める2005年くらいまでほぼメインとして活躍しましたベル

 

遠くから見ると白メイプルとなんら変わらなく見えますが、近づいてよく見ると、薄っすらと木目が確認できると思います。

そう、これはアルダー材のオリンピックホワイトではなく、アッシュ材のブロンドフィニッシュですパー

トップコートが色焼けすると同じように黄土色に変色するので、遠目には区別がつきにくくなりますが、手に取ってみればアッシュ特有の木目を確認できます。

 

左端の「0」は消えていますが、(0)903 3924なので1974年製です

       「63874」なのでピックアップも1974年

 

よく知られているように、1954年発表のストラトは当初アッシュ材で作られていました。それが56年途中でアルダー材に切り替わる訳ですが、その理由についてはいろいろな事情が重なっていたようです。

まず一番に挙げられるのはユーザーからの「重い」という指摘だそうですあせる

現代に生きる我々は子どもの頃から無数のエレキを手に取ってきましたが、50年代当時エレキギターは全くの新アイテムであり、それまでのアコースティックギターに代わって登場した物であることを覚えておくべきです。ソリッドボディー誕生直後の時代なんですよね。

 

それからもう一点、私自身もそうでしたが…耳学問でよく聞く「50年代アッシュは軽く、70年代アッシュは重い」という思い込みについてです。実際にはストラト登場初期に使われたアッシュ材は、後に使われるスワンプアッシュではなく、70年代と同じホワイトアッシュだそうです。

しかし、そもそも木材という自然物が一律な比重を持つはずがないですね。降雨量や陽当たりといった生育環境で大きな個体差が発生します。人間に様々な体形の人がいるのと同じことです。

 

少し長い記事になりますが、実例をもって示しておこうと思います。

国内で出版されたストラト本もかなりの数になりましたが、中でも特に有意義なのは岩撫安彦氏の「THE GALAXY OF STRATS」という書籍です。

美しいヴィンテージストラトの写真が多数載せられている本ですが、これは単なる写真集ではなく、ビルダー目線でストラトの細部を探求した第一級の研究書です。その最後の方のページに、写真が掲載されたストラトのデータが一覧表になって出ています。

私にとっては写真以上に興味を惹く資料ですが、そこにはシリアルナンバー、年代、仕様、重量、1・6・12フレットのネック厚、ナット・6フレット・12フレットのネック幅、ヘッドの厚み(先端と根本)といったように、詳細なデータが記録してあります。

 

ここで50年代アッシュの「重量」に注目すると、57年製のGOLDの4092gという4キロオーバーが目を引きます。ただしこれはGOLDという特殊なカラーのせいかもしれません。そこでスタンダードカラーである2トーンサンバーストに注目すると、誕生年54年製の中に3947gや3756gという重いものがあります。4キロ近くになるとアコギを弾いてきた人間には重く感じて当然です。

一方、メタリックカラーは塗膜が厚くなるので重くなりがちだと思われますが、55年のグリーンメタリックで3009gという極めて軽量なものや、同じグリーンメタリックなのに翌56年製の中には3845gという重いものもあります。とにかくアッシュ材はマチマチのようですポーン

 

実のところ、岩撫氏自身がチャートの中からアッシュ材とアルダー材のギターの平均値をとると、アッシュ物が3490gでアルダー物が3460gと大差はありません。ところが個体のバラつき幅を見ると、アッシュ物は3100~3800gと個体差が大きく、一方のアルダー物は3300~3600gと、ぐっと幅が狭まります。

こういったバラつきのなさや、まだまだ手作業部分が多かった木加工のしやすさ等がアルダーに切り替えられた要因だと思います。

事実アルダーになってからのストラトはコンター加工の範囲も広くなる傾向があるそうです。また、私はそれに加えて、塗装の下準備もアッシュ材より(導管の小さい)アルダー材の方がずっと容易だった点も指摘しておきたいと思います。

 

音色に関しては、レオ自身はアッシュの持つ音色の方が優れていると思っていたようですが、順調に出荷量が増えて増産の必要に迫られると、生産効率の向上にも取り組まざるを得なかったということでしょう。

 

今回このブロンド・アッシュのストラトをデジタル秤にのせてみると、3470gでした。

 

前回までに紹介した5本のオリンピックホワイトと比較してみましょう。

①1974年後期型の最初のメインギター :3510g

②1973年製のセカンドギター       :3460g

③1974年初期型(ジャンボフレット)    :3430g

④1973年製(1972/2ネック)買い取り品 :3430g

⑤1973年製(1972/1ネック)        :3310g

⑥1974年製ブロンド・アッシュ       :3470g

 

買う時には弾き心地と実際にぶら下げてみた感覚だけで購入しましたが、こうして実際に量ってみると、かなり近い重量の物になっています。

もうバンドをやらなくなって久しいですし、家弾き中心になった今では軽量であることにこだわりはありませんが、このギターは私の「アッシュ=クソ重い」という偏見を打ち砕いてくれたギターとして意味のあるストラトですグッウインク

 

 イングヴェイはブロンド・アッシュは持っていないのではニコニコはてなマーク