所有楽器の5本目ですが…

え…もういいって!?

そう言わずお付き合いくださいチュー

私のストラトの中でも、最も色焼けの激しい個体ですDASH!

このギターは、もう仕事が忙しくなってバンド活動などできなくなったのについつい勢いで購入してしまったものです爆  笑

似た楽器が多いので、どんな順番でいつごろ購入した物だったか、それぞれ記憶が曖昧になりつつありますが、このギターに関しては神田のストラト専門店で購入したので詳細な書類が整っています。それによると2004年5月に買っていますひらめき電球

 

さすがストラト専門店なだけあって、いちいち分解して客に細部を見せる手間を省くためでしょう。諸元表には内部の写真とともにオリジナル度を評価した一覧表も付属していますキラキラ

それによるとこのギターは、年式が「´72/73」となっています。

ボディーとネックの日付が違うということですが、他のパーツを見ると、3つのピックアップは全て73年。ポットはボリュームが76年でトーン2つは73年。

76年の日付のボリュームポットは後年に交換された物でしょうが、ネックデイトが72年の早い時期とはいえ、他のパーツのデイトが全て73年である以上、このギターが最終的に組み立てられて出荷されたのはおそらく1973年で、1973年製とすべきでしょう。ネックデイトは明確で「22 JAN 72 B」です。

1972年1月にネック加工が終了したことを示していますが、前回紹介した4本目の72年2月ネックより、さらに古い物です。

 

このヘッドに着目すると、1ストリングガイドですが、3~4弦にもストリングガイドがあったものを、取り外してネジ穴を塞いであります

 

前回述べたように、購入後の早い時期に一度ストリングガイドを追加したものの、後になって古い仕様の価値を知り、リペアしてもらったのでしょうか??

埋め戻した跡を見ると、単純に爪楊枝のような棒を打ち込んだのではなく、木の繊維を横からくり抜いてプラグを製作し、(範囲は広くなりますが)目立たないように塞いであります。おそらくプロの仕事でしょう。しかし私は、このギターは(前回の2月ネック同様)元々2ストリングガイド仕様で出荷された物と見ていますパー

理由は前回記事で記したように、ストリングガイドの位置に注目すると、1・2弦用のストリングガイドは5弦ポストの真横よりも気持ち4弦ポスト側に寄っており、オリジナルの1ストリングガイド仕様の位置としては不自然です。

「72年1月の日付があるので元は1ストリングガイドだったはずだ」という思い込みでリペアしたのかもしれませんが、そもそもネックデイトが入れられるのは木加工完了直後なので、その時点ではペグもストリングガイドも、マイクロティルト機構の金具も未装備です。

実際には丸1年以上経った73年に、ストリングガイドが2個付けられてボディーに組み込まれ、出荷された物だと思います。

では、72年5月や6月の日付を持つネックでさえ1ストリングガイド仕様の物があるのに、私の72年製2月ネックやこの1月ネックが最初から2ストリングガイド仕様と判断できるというのは、いったいどういうことでしょうかはてなマーク

 

私の仮説はこうですパー

実に単純な仮説ですが、加工を終えたボディー材やネック材は、次々と積み上げる形でストックされ、研磨 ⇒ 塗装に回される際にも、やはり平積みされる形で待機していたのが原因だと思われます。そして次の工程の担当者は、当然ながら一番上にのっている素材を取り出して、自分の作業を施していたのです。

スーパーで売っている生鮮食料品ではないので、「古い物から順に手を着ける」という発想はありませんでした。

結果、ずっと以前に加工されたボディーやネックには、なかなか出番が回ってこなかったのです。悲惨な場合には、何年も在庫の下に埋もれていたと思われます。

 

歴史研究における「仮説」とは、単なる想像ではありません。

当時の写真や資料、現代に伝わっている個体を分析することで、蓋然性の高い理屈を探し出すのです。

下の写真は50年代後期のFENDER工場の様子ですが、ストラトのボディーがうず高く積み上げられています。

 

次の画像も古いモノクロ写真ですが、加工を待つボディーがバインディング付きのテレボディーなので60年代の画像と分かります。

作業員がいちいち山の一番下からボディー取り出して次の作業をしているとは考えにくい状況です。

90年代に入っても、加工済みボディーはやはり平積みされています。

実はあらゆる年代の工場内の画像で、この平積みボディーの山を見ることができます目

 

他にも完成品のボディーには時折面白い現象が見られますひらめき電球

下の画像はストラト本に掲載されている62年製のストラトボディーですが、フロントトーンの外側にあるピックガードの留めネジ用の穴が、コントロールキャビティーギリギリの位置に開けられています。

本来、ピックガードが8点留めから11点留めに変更された60年代のボディーであれば、コントロールキャビティーのこの位置には出っ張りが設けられ、ネジを打つ位置に余裕が持たされているはずです。

著者も指摘している通り、これは50年代に8点留め用に加工されたストラト用ボディーが、なぜか62年になって使用されているのです。本では理由は不明とされていますが、こういった現象も私の仮説の根拠になっています。こんな謎解きも、ギター弄りの楽しみではありますウインク

 

…という訳でこのギターは、72年1月の日付を持っていたせいで「1ストリングガイドにカスタムされた?」73年製のストラトということになります。

重量は3310gという劇軽量です音譜

これにてメイプルネック&色焼けオリンピックホワイトのストラトシリーズは終了メラメラ

            ほぼ完全な黄土色DASH!