現在何件かの持ち込みオーダーに対応中ですが、その中の1本は日本製フェンダー(※もうフェンダーJAPANという物はなくなったんですよね)のカスタムテレキャスターです
【ピックガードは交換してあるようです】
2018年製の限定モデルのようで…
オールラッカー塗装なんだそうです
ほとんどキズらしいキズもない、この美しいテレキャスターを、マルチレイヤー&レリック処理してほしいと
到着して物を確認すると、オールラッカー塗装なのだそうですが、塗膜は見るからに厚く、ツルツルテカテカで、、ポリ塗装となんら変わりないように見えます
しかしバラしてみると、確かにオールラッカーのようですね
ネックを外すと、塗装の一部がジョイントプレートにくっついてきました
塗装が完全に乾かないうちに組み込まれたせいですが、これは本物のヴィンテージにもよく見られる状況で、「本物の証」と言えなくもないでしょう
剥がれた個所の様子からも、塗膜は厚さ1㎜ほどはありそうです
また…
ペグを外してみると、クルーソンペグのケースが塗装にめり込んで、その淵は塗装が大きく盛り上がっています
これだけラッカーを厚塗りするのであれば、2週間ほどは乾燥期間を置かないと乾き切らないと思うのですが、これが大量生産品の限界とも言えます。美しく仕上げるためには厚く塗るしかないのですが、そうなるとラッカーで塗装する意味はあまりないでしょう。
20年くらい前でしたか、USAで「シンラッカー」というシリーズが出ましたが、アレは本当に数か月くらいであちこちすり減って下塗りや木地が露出していました。
バラす過程で驚いたことはまだあります
アース線をまとめてボリュームPOTに半田づけされている箇所が、少し引っ張っただけで外れました いわゆる「イモ半田」と呼ばれる状態ですね
ほかにも…
各接続箇所は、ワイヤーは端子と接触しておらず、穴も通していない状態です
私に言わせれば、これらはすべて「仮留め状態」ですね
これも大量生産品ゆえの限界でしょうか。再組み立ての際、配線は全て引き直しておこうと思います。
それから…
リアPUのボトムプレートからはアース線が出ていますが、ブリッジアースが見当たりませんでした
ワイヤーを通す穴も、ワイヤーが塗膜に押し付けられた跡も見当たらないので、最初からなかったものと思われますが、各キャビティーにも電導塗料による処理もしてないので、これで大丈夫だったのかなと思います。
とりあえず私の仕事は、元のラッカーによるサンバーストを生かしつつ、マルチレイヤー仕様に変更することなので、厚いラッカー塗装を極限まで薄く研磨し、ホワイトアンダーコートと新しいカラー層、トップコートを吹くことになります。
オリジナルFENDERは、基本的にはイエロー・ブラック・レッドの順で吹かれていますが、よく調べると60年代の一時期、レッドとブラックの順序が入れ替わった時期もあるようですね。国産の多くもこのギターのようにイエロー・レッド・ブラックで吹かれています。
ただ、私はたくさんのヴィンテージギター写真集を持っていますが、オリジナルFENDERでイエロー・レッド・ブラックの順序が明確に確認できる写真はまだ見たことありません
もうホワイトの下塗りも終えているので、次回、快晴で風が強く吹かなければカラーコートを吹こうと思います