現在塗装を終えて乾燥を待っているところですが、その間にもうひとふた仕事片付けておきます
依頼主の希望として、「フロントピックアップをEBタイプに似せられないか?」というのがありました
オリジナルのピックアップを連結して作ったフロントPUは、実のところEBタイプのカバーを被せられるサイズに収まっています。しかし、当ブログの昔の記事でレスポールSPダブルカッタウェイシェイプのベースを改造した際に、ネックジョイント部の構造上EBハムバッカーが載せられなかったのでオリジナルPUの上にEBタイプのカバーだけを被せてルックスだけを模倣しました。
そのために私の在庫パーツだったEBタイプPUの中には、カバーを失って本体のみになってしまったEBピックアップがあるのです
その後、カバーだけというのは何とか入手できないかいろいろ調べたのですが、どこにも売っていません。いつの日か、断線したジャンク品が安く出品されるのを待つしかなさそうです
そんなこんなで「無理ですできません
」と言って断念してもらうことは簡単ですが、無理なことに挑むことなしにビルダーとしての進歩はありません。今の自分ができるレパートリーを繰り返すだけの存在になり下がってしまいます。
かといって、出来もしないことを「できます」と言っていつまでも待たせる、というのは無責任の極みでしょう。そのあたりの対応にはいつも苦慮するところですが、結果としては「難しい」ということを率直に伝えて変に期待を持たせるようなことはせず、裏では問題解決のための技術開発と試行錯誤に邁進することになります
前置きはそのくらいにして…
0.8㎜厚のステンレス板を購入しました。
これを深さ5㎜のケースに仕立てます。
次に方眼紙でポールピースの位置をマーキングし、貼りつけたままドリルで穴を開けます。ステンレス板に直接ドリルビットを当てると、ほぼ確実に滑って大きな傷をつけることになります。
開けた穴は少しずつビットのサイズを上げて5.5㎜まで拡張します。いきなり大きいサイズのビットを使うと、板が歪むことになります。
次に、折り曲げたパネルの四隅をステンレス用半田で溶接します。ステンレスは半田がのりにくい素材なので、フラックスを使って内側から完全に隙間を塞ぎます。
隙間を塞いだら、今度は外側からヤスリをかけて角を落としていきます。
カバーの次は、ピックアップ本体の連結部分に3㎜の穴を開けて、廃棄ハムバッカーから外したマイナス頭のポールピースをねじ込んで取り付けます。
先に完成したカバーを取り付けると、「まるでEBピックアップ」が出来上がります。
実際にはカバー部分はオリジナル通り、ピックガードの上から取り付けます。
もう少し角を丸く落としたいところですが、初めての試作品としては、まずますの出来ではないでしょうか