組み合わせるネックは島村楽器のブランドBUSKER'Sのテレの物を使います。ほぼ未使用と思えるくらいフレットの減りが見られないことも理由ですが、このブランドのテレやストラトは、ネックだけではなくボディー形状もオリジナルFENDERに近く、ちゃんと現物から型を取っていると思えるからです
もっとも忠実なのは平面形だけで、オリジナルでは手作業で仕上げられる繊細な部分については残念ながら中国製の域を出ません
フォトジェニやレジェンドほどではないにせよ、やはりここの出っ張りは修正が必要です。
ペーパーでの仕上げは塗装を剥ぐ時に一緒にサンディングします。
ヘッド側の加工が済んだら次はストラトボディーに対応させるためのエンド側の加工ですね。
中国製の場合、ネックとボディー、それにピックガードとのフィッティングがいい加減なところを隠すためにつば出し22フレットを採用しているのだと思いますが、我々は当然ながら見えない部分もジャストフィットするまで造り込みます
【つばの下ですが、ピックガードのアールにピッタリ合わせます】
次に取り組むのはピックガードの製作です
今回は、私にとっても前例のないレイアウトと配線を採用するので、SCUD製穴加工無しのピックガードを購入しました。
HSH配置にセレクターはミニスイッチ×3のシステムです
HSHは最近特に多く組み上げていますが、今回のHSHはエピフォン製ミニハムの間にテレ用ピックアップを配置した独特なピックアップレイアウトです
我々世代はストラトにミニスイッチ×3というと、言うまでもなくジェフ・ベックモデルを連想しますが、その配線については当時正確な情報がなく、メーカーの勝手な想像で、各ピックアップの「ON‐OFF‐フェイズリバース」という構成になっていました。またそれをヤマハのSCシリーズなども採用していましたし、スイッチは分けていましたがブライアン・メイモデルなどもそうしていました
しかし私に言わせれば、アレは史上最悪なコントロールシステムだと断言しましょう
フェイズのインとアウトというのは、2個以上のピックアップを組み合わせる場合にのみ意味を持つもので、各ピックアップにフェイズリバースの機能を持たせたところで、例えばフロントの正相+リアの逆相と、その反対のフロントの逆相とリアの正相は事実上同じ音なので意味はありません。
当時のカタログでは「13通りの音色が出る」ということを売りにしていましたが、実際のスイッチングの組み合わせとしては3×3×3=27通りから、音の出ないOFF‐OFF‐OFFの組み合わせを除いて26通りもあるわけで、その半分だけが意味を持つわけです。しかも大して変わり映えしない組み合わせも多くあります
私の考えでは、3ピックアップであれば、フェイズリバースの機能はセンターPUだけにあれば充分でしょう
・・・というわけで、私の「ミニスイッチ×3」の機能はこうなっています
フロントとリアのスイッチは、6弦側でハムバッカー、真ん中はOFF、1弦側でコイルタップ。
センターのスイッチは6弦側で正相(イン・フェイズ)、真ん中はOFF、1弦側は逆相(アウト・オブ・フェイズ)になっています。
これまで私はHSHの場合「オートマチックデュオサウンドシステム」に配線することが多かったのですが、フロントとリアを単独ではコイルタップできないし、ハムとシングルのミックスもできません
しかし今回のシステムではその組み合わせは自由自在となり、さらにセンターPUのフェイズリバースを絡めると、そのサウンドバリエーションの豊富さは圧倒的です
何とも欲張ったコントロールシステムですが、老練なスタジオミュージシャンであれば、これであらゆるジャンルの音楽に対応してくれるでしょう