今日はステレキャスターの電装系についての記事です。

依頼主さんの当初の希望は、「フロントPUとリアPUがシリーズ接続されるようにして欲しい」というものでした。なんでもFENDER社のスチューデントモデル「デュオソニック」の配線に興味を持たれているとのことでしたひらめき電球

ご存知の方も多いと思いますが、デュオソニックはミュージックマスターの2ピックアップバージョンとして1956年中期に発表されたもので、フロントPUとリアPUが逆磁極のリバースワイアリングになっており、セレクターのミックスポジションでは2つのピックアップが直列に繋がれてハムバッキング接続されるようになっています。

今回のステレキャスターは3ピックアップなので、私がよくストラトに施しているトーンノブのPULLでセンターがフロントとリアにシリーズ接続される擬似HSH回路を提案したのですが、やはりフロントとリアをシリーズ接続させたいという依頼主の希望にしたがって、フロントとリアを逆磁極にしてデュオソニックと同じように3ポジションのミニスイッチで制御し、センターピックアップには別に専用ボリュームを設けて3ノブ+1ミニスイッチということで了解を得ました。

その方向で製作したコントロールプレートが下の画像です。

テレのコントロールプレートのセレクターの位置に、新たなPOT用の8mm穴とスイッチ用の6mm穴を開けました。

 

フロントPUとリアPUをメインに使うことを前提とし、左から順にフロント&リアボリューム、ミニスイッチ、マスタートーン、右端にセンターPU専用ボリュームです。

これによって各ピックアップ単独の音と2種のハーフトーンが得られますが、3PU同時起動の時はフロント+リアのシリーズ接続にセンターがパラレル接続されることになります。3基同時パラレルはありません。

 

それでいよいよ回路を組み始めたわけですが、他の作業が進行して全体像が明確になってくると、やはりこのコントロール配置はオリジナルとかけ離れていて悩みはじめましたうーん汗

 

…で、再度練り直したのがコレひらめき電球

通常のテレのコントロールに加え、2つのノブの間にミニスイッチを1つ設けただけで、私の製作するカスタムテレにはよく見るパターンです。しかしそれらは大抵2ピックアップのテレの、フロントハム改造したもののコイルタップであったり、あるいはフェイズスイッチであったりした訳ですが、今回のステレは3ピックアップです。

 

内容はこうなっています。3ポジションセレクターは普通のテレと同じ。トーンはスイッチPOTになっていて、PULLすることで(セレクターの位置に関係なくフロントとリアがシリーズ接続)。ミニスイッチはセンターPUのON-OFFスイッチで、ボリュームPOTを通していないので、ボリュームを下げてもセンターの音は残り、センター単独の音も出せます。ただし音量の調節はできません。

この配線では、前の案では出せない3基同時パラレルの音も出せるので、計8種の音が出せます。

 

スイッチPOTの代わりにテレ用4ウェイセレクターでもいいのですが、前に書いたようにアレは不良品ですし、フロントやミックスに入れる時にポジションが分かりにくいという欠点があります。このスイッチPOTはセレクターがどこに入っていても一発でシリーズ接続になります。

ノブは2つあるのだからセンターのON-OFFもスイッチPOTにすれば外見はスッキリテレのままですが、そうするとどっちがどっちだったか混乱すると判断しました。これでオリジナルとの外見上の違いはミニスイッチ1つだけとなりましたウインク

 

搭載するピックアップは3基ともアルニコです。リアは今回もPHOTOGENICの物をアルニコ仕様に改造したものです。私がPHOTOGENICを気に入っているのは、FENDERの物より直流抵抗値が大きくパワフルなところです。アルニコマグネットにすることで少し大人しくなりますが、それでもパワフルです爆弾

2個のストラト用は何の物だったか覚えていませんが、フロントはオリジナルのようなファイバーボビンで直流抵抗値は5.12kΩと50年代物のような値。センターはフェンジャパっぽいプラスチックボビンで直流抵抗値は6.32kΩとこちらは60年代的な値。そしてリアのテレ用は8.50kΩという大きな値ドンッ

私はメーカーなどどうでもよく、複数ピックアップであればバランスが最も重要と考えて選択していますが、もちろんアウトプットのパワーは直流抵抗値だけではなく、磁力の強さや倍音成分の量などによっても聴感上左右されるので、実際に音を出してみてから入れ替えたり変更することもあります。

 

今日明日はいよいよ塗装作業に入っていますが、どんなサウンドを奏でてくれるのか、今から楽しみでなりません爆  笑音譜