怒涛のストラト攻勢はまだまだ続きますグー

 

カール・オームステッドという名前は、フェンダー社の歴史について語る時には必ず言及される名前なので聞いたことがある読者の方も多いことでしょう。

 

彼が代表を務めるレース&オームステッド社は、創立当時のフェンダー社の敷地のすぐ裏手にあって、フェンダー社の下請けとしてギター製作に必要な機械や金型、金属パーツなどの製造と供給を行っていました。有名なところではテレやストラトのボディーを切り出す際の鉄板(テンプレート)がこの会社の製品でした。 

1954年、そのカール・オームステッドに、完成したばかりの真新しい1本のストラトキャスターが手渡されましたギター

54年7月のボディーデイトを持つこのストラトは、ストラト誕生の記念としてカールに贈られたといった性格のものではなく、その後、改良されたパーツや、仕様変更が加えられる度に実際にフィットするかを確認するためのテストベッドとして渡されたものです。いわば初期ストラトの進化を影で支えてきた歴史的ストラトということができるでしょうひらめき電球

 

外見上の特徴は、やはり先日のフーラトンストラトのように美しいフィギュアの入ったアッシュ材で、ゴールドのピックガードをまとっています。これは透明なドラムシェルのカバー材をピックガード材として使い、裏側からゴールドの塗料を吹きつけてあるのですが、経年劣化で縮んでしまっています。

 

ゴールドのピックガードというアイデアがストラト誕生と同時にあったというのも驚きですが、残念ながら当時の素材は耐久性に問題があったのでしょう。ホームセンターに行けば分かると思いますが、現在ではひと口に「プラスチック」といっても多様な素材があり、10年や20年で変形してしまうことはありません。

この1954年製のゴールドピックガードは、半世紀を越える年月で徐々にこうなったのではなく、おそらく製造から1~2年のうちにはもう変形が始まったと思われます。

なぜかというと、3年後の1957年には全く別の形で「ゴールドピックガード」が登場するからです。いわずもがなの後期型プレシジョンベースに採用された「ゴールドアノダイズドピックガード」です。薄いアルミ板に着色加工したもので、当然金属素材であれば永久に変形しないわけで、レオによる極端な解決法だといえます(笑)。オームステッドストラトの変形に心底がっかりしたのでしょうチュー

  【1957年にモデルチェンジした新生プレシジョンベース】

 

【同じ1957年に特注で製作されたオールゴールドストラト】

 

今回もフーラトンストラトに続き、SQUIER製ストラトをベースとして、この歴史的ストラトを再現してみようと思いますパー

 

ついでに・・・

フーラトンストラトの記事で取り上げた謎のフーラトン仕様ストラトの現物写真もこの本「THE GALAXY OF STRATS」に掲載されていました。

ここでは1955年製となっています。フーラトンさんでさえ知らないというコレ、いったい誰が作ったんでしょうかね~うーん