今回、採用・交換するパーツ類を上(ヘッド)から順に取り上げますパー

 

 

①ペグ

ペグは言うまでもなくクルーソンスタイルを使用しますが、2ndプロトには、後に正式にリリースされることになるエスクワイヤやブロードキャスターとは異なり、ずっと後年のムスタングに採用される白いプラスチック製つまみが付いています。この白つまみペグは1stプロトであるSNAKE HEADにも採用されているところから古いバージョンとの印象を与えますが、実際には平行して存在した廉価バージョンではないかと思います。というのは、一見金属製に見えるバージョンも、実はプラスチックにメッキを施したものに過ぎず、それは60年代末から採用されるフェンダーFキーも同じです。シャフトやカバーがどんなに錆びていても、つまみには一切錆が発生しないことからも分かります。スチューデントモデルと言われるムスタングに採用されているのもコストダウンが目的だと考えられます。

ただしPHOTOGENICは元々ロトマチックタイプが装備されているのでヘッドには10mm径の穴が開けてあります。なのでコンバージョンブッシュを介してクルーソンスタイルに変更します。

 

 

②ストリングガイド

これは過去の「考察記事」でも書きましたが、後年に追加装備されたものに違いないと思います。簡単に触れておくと、ブロードキャスターの最初のロットはトラスロッドを装備しない「NOトラスロッドネック」と言われており、それらにはストリングガイドも装備されていなかったとの証言があります。リリース前のプロトタイプも当然その仕様だったはずですし、実物の画像にもトラスロッド入りの証拠である「ブラウンエッグ」がありません。

 

リコールで回収されたのかどうか詳しいことは分かりませんが、後にそれらはトラスロッド入りネックに交換されると共にストリングガイドも追加されたと思われます。興味深いことにこの時「回収」を免れた個体が存在し、2000年発行の『丸ごと一冊テレキャスター』の23ページに紹介されています。

最初のエスクワイヤ(黒)がカタログに登場する1950年7月より早い「1949年」のネックデイトを持ち、最初期の特徴であるパイン材ボディーとNOトラスロッドネックを装備しています。ヘッドには丸型ストリングガイドが見えますが、「ストリングガイドはオリジナルではない」と書かれています。

私が注目したのは、この時点(49年)ですでに2ピックアップ&(バタースコッチ)ブロンドフィニッシュが存在したことです。この仕様が後に(1PUのエスクワイヤと区別し)「ブロードキャスター」と命名されたのでしょう。

 

もう一度2ndプロトに戻ると、これには羽根型ストリングガイドがマイナスネジで留められており、想像するに50年代初期に量産品にならって丸型ストリングガイドを追加され、さらに56年以降にネジはそのままに羽根型ガイドに交換されたのではないかと思います。なので私も同じように羽根型ストリングガイドをマイナスネジで留めることにします。

 

 

③ブリッジ

ブリッジの材質や形状には1959年前後のトップローディング期を除いてほとんど変化はありませんが、サドルの材質や形状にはいくつかのバージョンがあります。リリース直後の50年夏から11月の数ヶ月はスチールサドルで、その後54年まではブラスサドルになります。よって2ndプロトもスチールサドルだと思いますが、手持ちのスチールサドルはイモネジが六角レンチタイプしかなかったので、マイナスネジタイプのブラスサドル物を採用することにしました。

 

 

④ノブ

テレキャスターのノブは詳細に見ると実に多様なバージョンがあります。極論すると、初期の頭の丸い「ドームノブ」と、後年の平らな「フラットノブ」に区別されますが、MOOK本で調べると、最初の最初のバージョンは「丸み」が少ない「ややドームノブ」みたいです。なのでそういうノブを採用します。

 

 

⑤コントロールプレート

これは一般的にOPB用のパーツとして販売されている物です。市販品には異なるブランドからミリ規格の物とインチ規格の物が出ていますが、この2つを重ね合わせてみると平面形にも違いがあります。どちらかは現物から型を起こしていないか、あるいは両方とも「目分量」で製作した物かもしれません。いずれにせよ私はCTSポットを使うのでインチ規格を採用することになります。

ちなみに「考察記事」でも書いていますが、私は40年代末期の2ndプロトに使われている以上、本来はテレ用のパーツとして作ったものがデザイン変更によって不採用になり、それを少し遅れて開発中だったOPBに流用したというのが私の勝手な想像です。

 

 

⑥電装系

上に記したようにボリュームPOT、トーンPOTにはCTS製を、ジャックはSWITCH CRAFT製を使います。私個人は国産パーツが好みですが、今回はマニア向けにUSAパーツを導入します。ついでに配線はクロスワイヤーで・・・

キャパシターはオリジナルはオイルコンデンサーの可能性が高いですが、ここは経年劣化の度合いが低いセラコンにしようと思います。

 

 

⑦ジャックプレート

カップ型にするのは当然としても、極初期(52年途中まで)にのみ採用された削り出し部品を採用します。何とこんなパーツにもリプレイスメントパーツが存在するとは最近知ったところですが、本体にも加工が必要になるのに、わざわざこれに交換する人っているんでしょうか?

FENDER社がわずか2年足らずで仕様変更した理由は容易に想像できます。この旧いパーツは打ち込み式で装着しますが、最初は効いていても、プラグの脱着を繰り返すうちに次第に緩んでくるからでしょう。プレス加工で作られた新パーツはコストも安いでしょうし、ジャックのネジを締めることでリテイナーが木部に食い込んでプラグの抜き挿しくらいではビクともしなくなります。ただし、レオが重視した生産性という点では?マークもあります。このリテーナーをトンネル内に固定するのにやたら苦労するんですよ。私の「なんちゃってシリーズ」では仕方なくカップ型への交換をやっていますが本当は面倒です。一番楽なのは、あまた中国製が採用しているGIBSON方式ですね。レスポールみたく外付けの四角いプレートであれば簡単ですが、レオとしてもGIBSON方式を採用する訳にはいかなかったということでしょうか?

 

⑧最後はネジ類

整備性を犠牲にし、オクターブ調整ネジ以外はことごとくマイナスネジに交換します。これを一式揃えるだけで大きなコスト増になりますが、マニアはそれを喜んでくれます爆  笑

 

以上、これらのパーツ交換に加え、時間と手間のかかる塗装の剥離やリフィニッシュ&レリック加工。キャビティーの埋め作業を経て、PHOTOGENIC製テレキャスターが幻の2ndプロトに生まれ変わりますウインク