3連休はずっと強風が吹き荒れ塗装作業はまったくできませんでした
お得意さまから新たなオーダーを受けているので、そちらを先行して作業していますが、フーラトンストラトは黒いパネルに搭載されているポットとスイッチしか配線作業をしていなかったので、白いピックガード側に搭載するピックアップの選定をすることにしました
当初はピックアップの交換は考えておらず、ストック品をそのまま搭載するつもりでしたが、SQUIERはFENDER直系ブランドであるにもかかわらず、クルーソンペグは搭載できないし、薄いボディーのせいで正規サイズのシンクロトレモロも搭載できません。
このままでは、その特異なコントロール配置を再現した以外にはセールスポイントの無い商品になってしまいます。なのでピックアップくらいは「こだわり」の感じられる物を導入しようと思いました。
・・・で、選んだのがコレ
古いGRECOの「EXCEL」ピックアップです。私が知る限り古い国産品の中ではもっともストラトらしい音色を出してくれるピックアップです。70年代中期くらいの製品に搭載されているのでMAXSON製だと想像しますが、10.5mmのナローピッチに対応しているピックアップです。3個あればよかったのですが、2個しかなかったので、リアにはその後継モデルに当たる11.5mmピッチの「31276」ピックアップを搭載します。
当然アルニコ仕様のピックアップですが、国産オールドに限っても数多くあるストックパーツの中からコレを選んだのにはちゃんとした理由があります
ストラト好きの方であれば、この画像を見ただけで「なるほどね~」と言っていただけると思います。
【FRONT】
ストラトの時代ごとの仕様変遷に詳しい方には常識ですが、ストラトは1954年の誕生から1974年までの20年間は、ピックアップのポールピースが「スタッガートPP」または「ランダムPP」と呼ばれる不均等な高さを持つ仕様でしたが、1975年からは「フラットPP」と呼ばれる均一な高さの仕様となります。スタッガート仕様は通常3・4弦の高さは同じで一番高いのですが、最初期の1954~1955年後期に限っては3弦(G)のポールピースが4弦(D)よりも低い通称「ショートG」ピックアップが搭載されています。古いGRECOのピックアップは、これを忠実に再現してくれています。
フーラトンストラトも1954年製なので、当然ながらこの「ショートG」ピックアップが搭載されています。
【CENTER】
また、Gが低いというだけではなく、ポールピース先端が面取りされているところもオールドの仕様を忠実に再現しています。これはファイバー紙でできたボビンの上下にポールピースを打ち込み易くするための加工です。
【REAR】
古いGRECOピックアップは、リード線こそ昭和の家電を想起させる薄いグレーのシールド線ですが、本家ヴィンテージにおいて1年半ほどの期間しか存在しない「ショートGピックアップ」をわざわざ再現しているのはポイント高いです
しかしまあ私が声を大にして言いたいことは、単に見た目の再現度ではなく、このピックアップから生み出される実にストラトらしい「ベルトーン」を堪能していただきたいです。できればチューブスクリーマーを介したフルチューブアンプで・・・