電装系の作業です
今回はフロントPUとリアPUをシリーズ(直列)接続できるサーキットに組み直しますが、テレキャスターのシリーズ接続には便利なパーツがあり、かつてFNDERカスタムショップのマスタービルダーだったフレッド・スチュアートが開発したといわれる4ポジションセレクターがあります。
私もこれを使ってカスタムしたテレを何本か出品しましたし、テレの見た目も変わらず小改造で手軽にズ太いサンドを得られるので売れてるみたいです。
しかし発想はいいのですが、このパーツはクソです
テレを弄る機会の多い私は以前まとめて10個ほど購入したのですが、出品物に3個目か4個目を組み入れようとした際、出来上がって音を出してみると、予定通りの機能を果たさないんです
どこで配線を間違ったのか、繰り返し確認するのですがどこにもミスはありません
通常の3ポジションセレクターに戻すと問題ないので原因はスイッチしかないとライトとルーペで細部を見ると、2回路のうち表からは見えないシャーシー側の回路で、セレクターのクリックポイントと端子の位置がマッチしておらず、5ウェイのハーフトーンポジションのように2つの端子にまたがって回路がショートしていました
【よく見えるこちら側は問題なし】
【右端の端子まで行き切らず、手前(右から2つ目)の端子ギリギリです】
これが、たまたまこの1個だけの問題であればまだいいのですが、念のためまだ開封していない新品も出して確認してみると、全てが接触はしないまでも、端(コモン端子の反対側)のポジションでは端子の位置が大きくズレており、今にも隣に触れそうな感じです
ショートを避けるためには右から2番目の端子をペンチで左側に無理やり寄せて使う必要があります。日本のメーカーであれば、こんな状態の製品をそのまま作り続けて大量に海外に出荷することなどないでしょう。クリックポイントと端子の位置が正確にマッチするように製造工程を修正すると思います。早く4ウェイの特許が切れて国産化されることを希望します
愚痴が長くなりましたが、そんなこんなで最近の私は4ウェイは使わず、スイッチPOTを使って「TONEノブのPULLでシリーズ接続」という回路を組み込んでいます。実際、4ウェイはステージで咄嗟にリアからフロントに切り替えたい時、行き過ぎてシリーズになったり、それを怖れて力が入らずミックスポジションになっていたり…実際には一度思い切りシリーズ側に寄せてから1つ戻す、というのが現実になりますその点、TONEノブのPULL回路は、セレクターの位置がどこであろうと1アクションでシリーズ接続にできます。
しかししかし…
ロック畑の人は「TONEほぼ使わない」という人も多いでしょうが、広い世の中には「TONEコントロールを繊細に操りたい」というギタリストもいらっしゃることでしょう。それで今回は、(先日のテレのコイルタップのように)2つのノブの間にミニスイッチを設け、これをONにすることでセレクターをキャンセルし、1発でシリーズ接続という回路にしてみました。スイッチPOTの時とは逆で、PUからの信号を最初に6Pスイッチに入れてから信号を分岐し、セレクターに送っています。順序は逆でも効果は同じです。
自分のギターでもシリーズ接続をやってみたいという人は、以前に記事にしたように下準備を忘れないようにしてください。※ピックアップアース線の独立です。
ストラトにはありませんが、テレのリアPUには底面に真鍮板がついていて、そこからアースを取っているのですが、問題はこれとPUのCOLD線を兼用していることです。これを切り離して金属板のアースは別に作り直してください。
以前紹介したと思うので手直し後の画像だけ載せておきます。
【黒線が新たに設置したアース線】
(フロントPUの場合はこれが金属板の代わりにPUカバーにアースがつながっており、これも独立させます。)
今回搭載するP-90は、テレ用リアと同じように底面に金属板が付いており、同じようにPUのCOLD線がアースを兼用しています。これは初めてなのでコマ送りで紹介します。
P-90を裏返すと白(HOT)と黒(COLD)の2本の単線が出ており、そのすぐ後に白のHOTは青いシールド線となってその裸線は黒のCOLD線と一緒に丸端子にハンダづけされ、ピックアップ裏にネジ止めされています。つまりCOLD(黒)=アース(裸線)にされてしまっています。
ボビンをシャーシーに止めているネジを外して丸端子を開放すると、その様子がよりハッキリします。
ハンダを溶かして丸端子を外し、黒線と裸線も切り離します。
ここで改めて裸線と黒線を結線しアースを別に作ってもいいのですが、今回のサーキットではフロントのHOTとCOLDは穴の小さい6Pスイッチに通すので裸線だと不便です。思い切ってシールド線は切り取り、白と黒の単線をそれぞれ継ぎ足して熱収縮チューブで絶縁しておきます。
そしてトンネルの先で判別するために青でアース線を作り直しておきます。
さあギターに組み込みです
フロントから3本、リアから3本、ブリッジアース1本、ジャックの+-端子2本、合計9本のワイヤーがコントロールキャビティーに出てきました。一見複雑に見えますがその内5本はまとめてアースに落とします。残り4本を間違わないように所定の位置にハンダづけすれば完成です。