数多いストラトプレイヤーの中でも、ストラトの持つ多彩なトーンと、トレモロを含めた変幻自在な表現力の可能性を誰よりも引き出しているギタリスト、デイヴ・ギルモア(ピンク・フロイド)。

そんな彼のギターテクを務めるフィル・テイラー氏の監修によりFENDERカスタムショップが2008年に限定生産したブラックストラトは、当時N.O.S.とRelicそれぞれ50本程度生産されたと言われており、もう10年前になりますが、その後追加生産されたとは聞いていません。N.O.S.が598500円(税込)、Relicが703500円(税込)という価格設定でした。

 

今回、2年も前に製作したコレの「なんちゃってレプリカ」を紹介しようと思ったのは、本屋で『PLAYER』誌の今月号を立ち読みしていて、D・ギルモアのギターコレクションがオークションに出品され、このブラックストラトが、なんと4億3千万円!で落札されたという記事を読んだからですポーン

        【なんだかんだで丸ひと月かかって製作しましたあせる

かつでE・クラプトンのブラッキーが1億円ほどで落札され、世界中をブッたまげさせたというのに…

IKKOさんでなくとも「どんだけ~っ!!」ってなりますゲッソリ

 

 

現物はおよそヴィンテージ的価値などない、詳細不明の各年代ストラトのコンポーネントです。

本体は69年製と言われていますが、50年代仕様のメイプルワンピースネックに50年代にも60年代にも70年代にも存在しないブラック1Pピックガードにホワイトのプラパーツ、ショートアームといった特徴を持っています。

 

そして最大の特徴はそのエレクトロニクスで、ボリュームノブと5ウェイセレクターの間に小さなスイッチがあります。これはフロントPUのON-OFFスイッチで、5ウェイセレクターの位置に関係なくフロントPUをONにすることが可能で、これによってギルモアサウンドの決め手であるフロント+リアのハーフトーンや3PU同時起動が可能となっています。ストラトの3個のPU全ての組み合わせを可能にする方法はいろいろありますが、この方法はギルモアだけのものでしょう。

最初、いいかげんなサイトに「小さなプッシュスイッチ」という記事があったのを見てプッシュスイッチで製作してしまい、ピックガードを1枚無駄にしてしまいましたムキー

実際には小さなピンスイッチで、ピックガードの上にツマミ部分の先っちょだけが出るようにステーを介してセットされています。

コレ、普通サイズのスイッチをピックガードに直付けじゃダメなんですかね??

外観を損いたくないというのであればスイッチPOTという手もあったはずですが…うーん

 

ともあれ本人がそうしている以上、「なんちゃって」もそうするしかありません。頑張ってステーを自作することにしましたが、0.5mmでもズレると小さなスイッチがスムーズに動作しないので神経つかいましたあせる

もう二度手間はイヤなので、回路の詳細については入念に情報を収集しました。ある個人サイトの作例では3PスイッチでフロントのON-OFF機能だけを追加していましたが、別のサイトでは、ありがたいことにFENDERカスタムショップ製のスイッチ周りの現物写真が公開されていました。

全てのワイヤーの始めと終わりが広範囲に写っていたわけではありませんが、見えている部分だけでも何をやりたいのか大体判ります。それによると、3Pスイッチではなく6Pスイッチを使用しています。この写真のおかげで本人の物を忠実に再現したというカスタムショップ製のレプリカとまったく同じ回路にすることができました。

【回路構成はドンズバですが、パーツは安物のままです】

 

今回ベースとしたのは完成品の個体ではなく、手持ちのストックパーツによるコンポーネントです。ネックは比較的新しい国産のメイプルワンピースネック。ボディーはSQUIER製ですが近年の薄っぺらいボディーではなく、厚みがある時代の物。トレモロユニットも軽いチープな物ではなく、フルサイズの重たい物を使っています。ピックアップはSQUIER製でセンターのみ逆磁極の物。

 

外見上の特色となっているショートアームですが、ドンズバの長さではちょっと一般人には動作が重い(汗)。中途半端ですが、ノーマルより3.5cmほど切り詰めてみました。

また、ブリッジの後方にはロック式トレモロユニットを埋めてシンクロナイズドトレモロに戻した痕跡がありますが、そこもちゃんと再現してあります。

今現在HOTな話題となっているギターなので、オーダー品が一段落したらまた製作するかもしれませんイヒ