多分初めてですが、午前中にブログを更新しています
ほぼ4ヶ月、計12回の連載で完成した【持ち込みオーダー】のTV風ベースは無事オーナーに引き渡し、早速スタジオで使用なさったそうです
長期に渡った作業だったために今回は見送ったフレットの打ち換えと指板修正はまた次回の課題です
古いビザールなので仕方ありませんが、ギター用の細くて低いフレットでした。
とりあえずこれを無事引き渡して、ようやく中断している自分のカスタムを…と思っていましたが、入れ代わりにまた別のベースを受け取って帰ってきました
これまた見たことない珍しいベースで、ES-335みたいなGRECOのアコベースです
GRECOは古くからヘフナーをコピーしたヴァイオリンベースを製作していましたが、こんなベースは見たことありません
私は、いわゆる今日「ジャパンヴィンテージ」と呼ばれる70年代末~80年代初頭の国産メーカーのカタログを多数収集しており、重要なものはほぼ網羅しているつもりですが、GRECOのカタログを見ても見当たりません
それでネットで調べてみると、89年のカタログに載っていました
画像もたくさん出てきましたが、SAB-100という型番で10万円もする楽器なんですね
ヘッドロゴは「O切れ」と呼ばれる物です。
GIBSONにこれのオリジナルがあるのかGIBSONの資料にあたって調べてみると見つかりました。1958年発表のモデルなんですね
【リットーミュージック刊 「THE GIBSON」 1995年 P139】
型番はEB-2です。
写真をよく観察すると、1PUなのにスイッチのような物がついています
説明文によると「プッシュ式のバリトーンスイッチ」なのだそうです。
また、GRECOはブリッジが全然違います。GRECOはサンダーバード用を流用していますね。
【こちらがGRECO】
またオリジナルはペグのつまみ部分が見えないのでバンジョーペグのようです。これも実用的ではないので、GRECOはあっさりGOTOH製と思われるロトマチックペグになっています。
【レトロな外観のベースにこのペグは確かに無粋ですね】
GIBSONオリジナルの方は、60年代になって2ピックアップ(4ノブ)化した「EB-2D」に進化し、ペグもオーソドックスな三つ葉タイプになっています。
【ブリッジも変更されています】
この後期型に倣ってGRECOのペグも三つ葉ペグに換えたいということですね
これまた厄介なオーダーですが、幸い前回のようなヘッド面積の拡張は必要なさそうです。ただし、ポスト径がほぼ2倍の太さになることを考えると、穴の位置は同心円上に広げるだけではダメで、一度埋めてからやや内側に開け直すことになりそうです
それから、前回のようにヘッド周りをリフィニッシュしないことを考えると、ロゴやインレイに傷がつかないように慎重な作業が求められます。
夏休みの宿題といったところでしょうか