せっかくのゴールデンウィーク、前半はチョコチョコ仕事もあり、天気も悪くて作業があまり進んでいません
後半に入って少し天気が持ち直しましたが上空には寒気が残っていて、晴れていたかと思うと突然黒い雲が広がり遠くでゴロゴロ
慌てて外で干しているボディーを取りに戻るような状況です
そんなこんなで「THE PAUL」は横に置いといて、3月17日の記事「持ち込み品のカスタム依頼です②」の続きを作業しています
【すでに分解と塗装剝がしまでは終えてます】
6月に完成すればよいとのことで、その言葉に甘えて分解と塗装剝がしまでやったあと放置していました。・・・というか、色を含めて細部の仕様がまだ完全には決定していないのです。ただ、明確な希望として、ものすごく厄介なリクエストが寄せられていて、その解決策にずっと頭を痛めていました
それはペグの交換です
このベースは見ての通りGIBSONのレスポールJrダブルカッタウェイのデザインを踏襲している訳ですが、ペグにはビザール特有のチープな物がついています
【つまみ部分はプラスチック製】
これを、FENDERやGIBSONが共通して採用していたクルーソンタイプの三つ葉ペグにしたいというリクエストです
しかしこのヘッドを見れば分かるように、レスポール等のギターと同程度の幅しかなく、とてもクルーソンタイプのベースプレートを搭載するスペースはありません
現行品のロトマチックタイプであれば、GOTOHなどの高性能品をポン付けできますし、プロの工房でも当然そのようにアドバイスされるでしょう。しかも数千円のパーツ代金だけで自分でもできる簡単な作業です。これにわざわざ高額なリペア費用を出す人はいないでしょう。
ただね、気もちはとてもよく判かるんですよ
先ほど言ったようにフィニッシュはまだ決まっていませんが、依頼主はチェリーレッドにするかTVイエローにするかで迷っていましたし、ヘビーレリック仕様にしたいとも言ってました
ということは、あくまでヴィンテージ風にまとめたい訳です。そこにペグだけGOTOHのロトマチックというのは私もあり得ないと思います
以前の「SQUIR製テレの50'S風カスタム」でも、私自身、最後の最後にロトマチックはあり得ないとクルーソンに交換しましたしね
とりあえず各種ペグを並べてみましょう
左はクルーソンのリアルレプリカ品ですごく巨大です(ムリムリ)
真ん中は、ほとんどの中国製で使用されているタイプで、三つ葉はむしろ大きいですがベースプレートはかなりコンパクトです。
右は一般的なロトマチックタイプでギア部分は密閉され、かなり小型で精度も高いです。しかしデザインがヴィンテージにマッチせず、これは却下となります。
この中で最有力候補・・・というか唯一の選択支はCHINAペグです。しかもPHOTOGENICジャズベースの5弦べース化の記事で取り上げたように、片側4連の物を2つほど分解して組み直すことで2:2ペグに変更可能です。
とりあえず分解してベースプレートだけヘッドに載せてみましょう。
取りつけるネジ穴の部分はなんとかヘッド表面にかかっています。しかしベースプレートの内側をくっつけて搭載しても両端ははみ出てしまっています
これは2・3弦側だけではなく、1・4弦側も同じ状況です
CHINA製ペグを何種類か試しましたが、どれも同じようなものでした。
これ以上小さい三つ葉ペグが無い以上残された手は1つ
ヘッド面積の拡張だけです
実はGINSON系のヘッドは元々両サイドに「耳継ぎ」がされています。これは、ヘッド部分がグリップ部分よりずっと太いために、「木取り」の段階でワンピース構造とすると、膨大は端材が生じて大きな無駄が出るためです。それでもBURST等は縦方向にはワンピース構造としていて、一番分厚いヒール部分に「継ぎ」がありません。ものすごく贅沢な木取りをしています
今回私はこれと同じように「耳継ぎ」を考えました
まずはくびれた部分を直線にカットして材を足そうかと思いましたが、接着面積を少しでも稼ぐために、追加材の方にアールをつけようとしました
きれいに密着させるためにヘッド側面に両面テープを使って320番のペーパーを貼りつけ、擦り合わせを試みました。しかしメイプル材はとても硬くで加工に時間がかかる上に思うような精度で仕上がらず途中で断念
高価なメイプル材を無駄にしたあげくに作戦変更です
素人が初めてやるんだから仕方ないことですが、困難を乗り越えてこそ自分自身のスキルアップにもつながるので、なんとしてもやり遂げる覚悟です