安物PHOTOGENIC製は基本的にはそのままでもかろうじて何とか使える楽器です。少なくとも我々が子どもの頃のTOMSON・THOMAS・HOLLYなんかよりずっといいです ただし今回は、全く使えないPHOTOGENICのお話です。
私はこの画像のギターをヤフオクでちょうど10000円で落札しました(他に送料が2000円ほど)。以下に述べるように、このギターはそのままでは全く使い物にならないことを考えると、ちょっと高いとは思いましたが、なかなかお目にかかれないモデルなのでまぁいいでしょう。このレスポールJr(あるいはSPECIAL)系はすでに廃番で、めったに見かけないんです。それに現物が送られてきて始めて知ったのですが、中国製ではなくて韓国製でした。まあ見た目のクオリティーに大差はありません
問題はこのジュニア・・・シングルカッタウェイもダブルカッタウェイも致命的な欠陥を抱えており、良い子はぜったいに買ってはいけません
初心者のみならず、たとえ上級者であっても、プレイするだけで自分では弄れない人は買ってはいけませんね
まずは画像をご覧ください。ボロいハードケースが付属していたのですが、ギターそのものは、まだ保護ビニールが貼ったままの新同品でした。
問題はバーブリッジの部分です。多少詳しい人ならすぐ目につくと思いますが、真っ直ぐ取り付けられたP-90タイプのピックアップに対し、ほぼ並行に取り付けられています。おまけに酷いセンターずれのオマケつきで、全ての弦がポールピースの左側にきています
今度はGIBSON製オリジナルの画像を見てみましょう。
【GIBSONのヴィンテージ】
【近年のGIBSON製リイッシューモデル】
1958~59年製のオリジナルと現在のリイッシューモデル双方の画像ですが、これを見ても分かるように、先日のオックスブラッド同様、バーブリッジは1弦側がピックアップに、より接近して斜めに取り付けられていないといけません(※それでも個々にオクターブ調整はできない機構なので、厳密にはピッチは合いません)。しかし、これがピックアップと並行に取り付けられているということは、どんなに頑張ってもチューニングが合わないということを意味します。言い換えればPHOTOGENICのギターは「楽器」としての要件を満たしていないということです
事実30分ほど格闘しましたが、まったくオクターブが合いません
妥協点を見つけようにも、ポジションが変わるとチューニングが大きくずれて話になりません
たまに「初心者には音さえ出れば安物でいい」なんて言う人がいますが、これはダメです。私はこういった不具合を百も承知の上でこのギターを購入したのですが、それはあくまで「素材」としてしか見ていないからです
今からちょうど1年ほど前、同じPHOTOGENIC製レスポールJrのシングルカッタウェイモデルをカスタマイズして出品しましたが、かなり抜本的な修正を施した上での話です。まずはその作業からご覧にいれましょう。
購入したノーマル状態での写真を撮っておりませんでしたので、別のサイトから持ってきた画像を貼り付けておきます。
これもバーブリッジがピックアップと並行に取り付けられています。一応GIBSONの真似をしてイントネーション補正のための凹凸が付けられたバーブリッジでしたが、見てくれだけで、どんなに頑張って調整しても(特にハイポジションでは)不協和音しか出せませんでした。
そこで、塗装を全て剥ぐついでにブリッジのスタッドボルトを抜き、木材で埋めてから正しい位置に移設しました。
元の色とほぼ同じイエローにリフィニッシュしたのでノーマルと見分けがつきませんが、フロントにテレキャスター用のピックアップを増設しました。あまり目立たないようにピックガードに溶け込むTEJ用の黒いカバードタイプにし、PUセレクターも超ミニタイプを2つのノブの間に設置しています。
このギターは沖縄の人に落札され、海を渡って嫁入りしました
次回は、先のシングルカッタウェイJrを生まれ変わらせます