FENDER社がプレシジョンベースの後継としてジャズベースを発表したのは1960年ですが、その前に製作されたプロトタイプが、なぜか日本にあることをご存知でしょうか
『ベースマガジン』2013年12月号で特集されたジャズベースのプロトタイプ。原著がアメリカで出版された「フェンダーベース・ヒストリー」(日本版2002年)に一枚だけ小さな写真が載っていましたが、なんとこれが日本に持ち込まれていたというのは驚きでした 日本で開催された、かの有名なヴィンテージギターディーラーのノーマン・ハリスの展示会で即売されたとのことですが、これは貴重な文化財の海外流出となってしまったようです
直前の58年に発売されたジャズマスターと同じデザインの大きなピックアップが搭載され、なぜか60年に正式発売されたスタックノブではない(1962以降の)3ノブ仕様という点も興味深い。実は3ノブがオリジナルデザインだったのです。正規のジャズベースに貼られることがなかったスパロゴというのも面白い
こういう物を見ちゃうと無性に欲しくなるのですが、せいぜい3本くらいしか作られていないそうですし、取材協力した楽器店も売れてしまったと公表しています。いったいいくらだったのでしょうか?知っていたらFENDER本社が買い戻したかったことでしょう。スネークヘッドテレキャスターみたいにカスタムショップからレプリカが出ればきっと売れるんじゃないかな
外見上普通のジャズベと違うのは、このピックアップだけですが、カバーだけなら3Dプリンターでもあれば作れそうです。それでもかなりまとまった数頼まないと、1個ずつじゃ相当なコストがかかりそうですし、私としては、似たようなサイズのピックアップを探して雰囲気だけでも味わいたい(笑)
・・・ということで、IbanezのRBシリーズに搭載されていた大きな長方形のハムバッカーを入手して搭載してみました
【ルータービットの寿命が縮むので、できるだけドリルで開けときます】
このピックアップは4芯タイプで様々な配線が可能で、直流抵抗値を計測するとフロントもリアも16kΩを越えていて、通常のジャズベースのピックアップの倍近い値でした
これは両方のボリュームノブにタップスイッチを装備した方がいいかなと思いましたが、試しに音出ししてみると思ったほど凶暴ではありません。きっと磁力で調整してあるのでしょう。むしろ、雑誌にある本物の印象「量産品よりも太く大きな音量」「両ピックアップのミックスサウンドはフェイズアウト感が少なく両方が同時に鳴っている感じ」と同じような感じを持ちました
ベース本体の方はコンポーネントで、ボディー材はブランド不明ながら単品購入した物で、サンバーストの下に見える木目がアルダー3ピースのようだったので落札しました。塗装を剥がすと思った通りの良材でしたが、やはりサンバーストになったのには理由があり、ボディーサイドの黒で塗り潰される部分に大きなフシがありました。
【かなり良いアルダー材を使っています】
ネックはBACCHUSが現在のようなサドウスキーに似たオリジナルデザインになる前のFENDERヘッドの初期物。グリップはFENDERオリジナルよりも細いのではないかと思えるほどのスリムネックです。
全体の雰囲気はかなり近い印象になりましたし、何よりサウンドもノーマルジャズベのニュアンスを残しながらもプレベに負けないくらい太くてパワフル。幅広いジャンルに対応できる懐の深さを感じさせます。気になる方はヤフオクへどうぞ(笑)
【ひと目でタダ者ではないと思わせる個性的なルックス】