(1)「アルコール依存の医学的治療:系統的総説」

Medical Treatment of Alcohol Dependence: A Systematic Review (nih.gov)

「モチベーション技法と他のアクティブ介入との間に、成績の差は無かった」(p243)

「モチベーション技法は、CBTやTSFより、わずかに成績が悪かった」(同)

 

(残念です。成瀬先生の本にも「新しい治療法は成績が良い」とは書かれていません)

 

(2)「アルコール症と治療の段階」(ゲートウェイ基金)

The Stages of Alcoholism and Recovery | Gateway Foundation

依存症から回復する段階

・前熟慮‥‥‥飲酒の悪い影響があると気が付く

・熟慮‥‥‥‥アルコールをやめたいと思っている

・準備‥‥‥‥禁酒を決意し、計画している

・実行‥‥‥‥治療施設でアルコールの退薬症状を治療している

・維持‥‥‥‥アルコールが無くても楽しめる。飲酒の引き金を避ける

 

(段階を考慮した対応が必要とされています)

 

(3)「果物を食べるサルにおけるヒト・アルコール依存症の起源」(2000年)

Evolutionary Origins of Human Alcoholism in Primate Frugivory on JSTOR

「熟した果物は、自然にエタノールを作ることがある。果物を食べる動物、特に類人猿は、エタノールに対する対処法を進化させているはずである。現代のアルコール問題は、古代の対処法が現代の環境に合致しないことによって生じていると考えられる」

 

(4)「我々は9000年の間、酔うことを好んできた」(ナショナルジオグラフィックス、2014年)

Our 9,000-Year Love Affair With Booze (nationalgeographic.com)

「1億2000万年前に地球上に最初の果物が出現して以来、酵母菌は果物と共にあった」

「アルコールは、脳内でセロトニン、ドパミン、エンドルフィンを分泌させる」

「完全に酔っぱらったサルは、容易に肉食動物の餌食になるであろう。多くの逸話があるが、現実にはサルがかなり酔っぱらうほどにアルコールを摂取する状況は、科学的にはほとんど観察されていない」

「アルコールに対する反応は、サルとヒトだけ他の動物とは異なるように見える」

「約1000万年前に、サルとヒトの共通先祖に、ADH4の遺伝子の突然変異が起きて、エタノールを40倍も速く分解できるようになった」

「過去の衛生状態はあまり良くなかったので、水を飲むよりはアルコール飲料を飲む方が危険が少なかった。また、酵母はビタミンB群を作り出す。例えば、葉酸、ナイアシ、サイアミン、リボフラビンである」

 

(「アルコールは生存に役立ったから我々はそれを求める」という主張は、常に成り立つかどうかは分かりません。例えばニコチンです。単にニコチンがドパミンを分泌させるというだけかもしれません。アルコールがもたらす、新皮質の働きが低下して脳幹部の働きが亢進するという状態が、ドパミンを分泌させるのかもしれません)

(99%不潔な水を飲んでいる人が1%だけ綺麗な水を飲んでも、あまり変化は無いでしょう。また、アルコールがビタミンB群を豊富に含むというのは初耳です。ウェルニッケ脳症などでは、ビタミンB群を投与することがあります。アルコールは正真正銘の発がん物質です。アルコールが生存に役立つことは考えにくいことです)

 

(5)「アルコール消費と病的飲酒」(OECD、2015年)

5js1qwkz2p9s-en.pdf (oecd-ilibrary.org)

(日本の一人当たりのアルコール消費量は、OECDの中では少ない方です。また、1994年ごろをピークとして2012年まで減少傾向にあります)

国民一人当たりのアルコール消費量     アルコール消費量の年次変化

 

 

(6)「南カメルーンの狩猟採集生活者におけるタバコとアルコール」(京都大学)

ASM_S_47_143.pdf (kyoto-u.ac.jp)

(狩猟採集生活者の集落にアルコールが入ってくると、壊滅的な打撃を受けるとのことです)


(7)「アラスカの原住民におけるアルコール問題:イヌイットの例から学ぶ」

 

 

「アラスカの原住民に、アルコールが入手しやすくなり、アルコール問題がもたらされた。大量飲酒、記憶喪失、暴力、自殺、子どもの保護の低下、世代間の悲しみなどである」

 
(8)「パレオ・ダイエットをしている人よ。聞き給え。洞穴に住んでいた人々は酒を飲んでいた」

Listen Up, Paleo Dieters: Cavemen Drank | VinePair

「Cordain : 旧石器時代に狩猟採集生活をしていた人々の全ては、アルコールを消費しなかったようである」

 

(9)「西洋的な料理の起源と進化:21世紀のための健康問題」

Origins and evolution of the Western diet: health implications for the 21st century | The American Journal of Clinical Nutrition | Oxford Academic (oup.com)

「人類がワインを飲んだ最も古い証拠は、今から7100~7400年前のイラン北部Zagros山脈から見つかっている」

 

(旧石器時代の遺跡からは見つかっていないようです)