果糖中毒」(ラスティグ教授、中里訳、2018年)(原題「Fat Chance」、Lustig、2012年)を再度読みました。

 

私が英語の本を100冊以上捨てた時に、「Fat Chance」は、捨てなかった4冊のうちの1冊です。

 

ラスティグ先生は、カリフォルニア大学医学部の教授です。

 

(1)「あなたがメタボ症候群になる2つのプロセス

  1.肝臓に脂肪がたまる

  2.活性酸素の発生」

 

(ラスティグ先生によれば、砂糖は虫歯と肥満を作るだけでなく、他のメタボ症候群の主要な原因であるとのことです。果糖はブドウ糖と違って、肝臓だけで代謝されて、肝臓内に中性脂肪を作ります。そしてインスリン抵抗性が生じてインスリンが肝臓で効きにくくなり、血糖値が上がりインスリンが増産されます。つまり、糖尿病の状態になります)

 

(砂糖や白米や白い小麦粉のような、ビタミンや微量元素の少ない食品を多く摂ると、良い腸内細菌の一部は栄養不良で死滅します。ヒトの見張り細胞は、この状態を外敵の侵入とみなして、炎症反応をスタートさせます。炎症反応は戦いの反応です。慢性炎症が起きれば、血圧が上がり、血糖値は上昇し、代謝が亢進し、コルチゾール(緊急事態のホルモン)が分泌されます。空腹になって食べる量が増えます。活性酸素も増産されます。活性酸素は、本来は、食事から摂取した抗酸化物質により無害な物質に変えられますが、野菜や果物や全粒穀物などの良い食品をあまり摂らない人では、活性酸素は多いままです)

 

(2)「糖は短時間だけ脳を幸せにする」

 

(砂糖は、血糖値を急上昇させてます。そして同時に報酬回路を活性化させます。そして急遽インスリンが分泌されて血糖値は急下降します。この時、空腹感を覚えて、イライラします。血糖値の急上昇と急下降は、望ましいことではありません。全体の経過は、体にとっては悪い反応です。ブドウ糖はコントロールされていますが、果糖は急上昇したままです。ある患者さんは、薬を飲むたびに小さい砂糖菓子を食べておられましたが、うつ症状のために寝込んでおられました。砂糖菓子をやめて歩くようにして頂いたら、うつ症状は大幅に改善しました)

 

(3)「甘さは安全な食べ物のサイン」

 

(進化を通じて、石器時代のような環境で自然食品だけを食べているのなら、砂糖を含む食品を『美味しい』と感じた方が、生存率が良かったということです。同様に、脂肪を多く含む食品や食塩を多く含む食品を、『美味しい』と感じた方が生存率が良かったということです。自然食品だけを食べるのなら、それで何の問題もありません。しかし、本来ならまずい加工食品に、砂糖や油や食塩や化学調味料を加えると、我々は『美味しい』と判断してしまい、それを多く食べてしまうのです)

 

(4)「(依存性食品を販売する業者は)食べ物に備わっている潜在的に依存性のある特性の問題を、依存性に苦しめられている個人の問題にすり替えている」

 

(薬物依存症において、意志の強さの問題を過度に強調するのは、ニコチンやアルコールや砂糖の持つ依存性の問題を軽視しています。例えば、砂糖は摂取量が増えるに従って、依存性が強くなります)

 

(5)「果糖中毒の解毒剤

   1.食物繊維

   2.運動」

 

(良い食品は、食物繊維やビタミンや微量元素を含んでいます。良い食品を食べていると、良い腸内細菌がヒトのために働いてくれます。食物繊維は、良い腸内細菌によって分解されて大腸のエネルギー源になります。米国政府が勧めるような割合で、果物、野菜、穀物(玄米)、蛋白質を多く含む食品を摂取するのがお勧めです。加工食品を少なくして自然食品を多くするのがお勧めです)