(1)「スタンフォード式人生を変える運動の科学」(マクゴニガル、神崎訳、2020年)を読みました。

勝間さんが勧めておられた本です。

著者は、グループ・エクササイズのインストラクターをしておられます。医者ではない方の立派な仕事の例です。

著者によれば、狩猟採集生活者は、毎日約9kgの食料を持ち帰るとのことです。私はスーパー・マーケットから毎日重い食料を持ち帰っています。狩猟採集生活者の生活に近づけることは良いことです。勝間さんは宅配を利用しているそうです。

人間は持久系のアスリートであるとのことです。多くの肉食獣は、瞬発力で獲物を仕留めますが、ヒトは、シカのような動物を何時間も追いかけて動けなくなったところを仕留めます。ところで、日本人の女性は持久力に優れています。日本の女性が、オリンピックの100m走で金メダルを取ったことはありませんが、マラソンでは2回あります。女子サッカーも、大柄な欧米選手を相手にして、持久力で勝っています。

狩猟採集生活者では、年を取るにつれて運動量は減るどころか増える傾向にあるそうです。この本の良い点の一つは、進化から健康を眺めている点です。拙著「進化を踏まえた健康法」と同じ視点です。

著者によれば、現代人では3日間運動しないとうつ病の症状が現れ、1週間になると深刻な気分障害や不眠が現れるとのこです。軽いうつ病や気分障害は、運動不足が原因である可能性があります。

著者は、ランナーズ・ハイが起きるための条件を述べています。それは走ること自体ではありません。

 

また著者は、ランナーズ・ハイと薬物依存の共通点を述べています。また決定的に異なる点を述べています。さらに、ランナーズ・ハイがヒトにもたらした進化上の意義について考察しておられます。

 

また著者は、運動と音楽や舞踊や協力(我々という一体感)との関係について述べています。それは単なる感想ではなく、多くの科学的研究を踏まえた一つの結論です。日本の盆踊りにも、著者が述べるような意味があるのでしょう。黒澤明監督の映画「七人の侍」にも舞踊のシーンがあります。「隠し砦の三悪人」にも舞踊のシーンがあります。運動と音楽と舞踊と一体感があります。

 

この本を読んで私の若いときに欠けていたものが分かりました。運動や協力や一体感です。今もハナ垂れなので、今でも良いわけですが。