物質使用障害
(1)物質使用障害(MSDマニュアル)(日本語訳)
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%95%E3%82%A7%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%8A%E3%83%AB/08-%E7%B2%BE%E7%A5%9E%E9%9A%9C%E5%AE%B3/%E7%89%A9%E8%B3%AA%E9%96%A2%E9%80%A3%E9%9A%9C%E5%AE%B3%E7%BE%A4/%E7%89%A9%E8%B3%AA%E4%BD%BF%E7%94%A8%E9%9A%9C%E5%AE%B3
「物質使用障害では,物質の使用に関連する重大な問題を体験しているにもかかわらず,患者がその物質を使用し続ける病的な行動パターンを伴う」
(2)物質使用障害(Wiki)
https://en.wikipedia.org/wiki/Substance_use_disorder
「物質使用障害(薬物使用障害)では、アルコールを含む薬物を、悪い影響があるにもかかわらずに、使用し続ける」
(3)物質使用障害(MSD‐5、厚生労働省内の文書)
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12205250-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu-Kokoronokenkoushienshitsu/s_3_1_2.pdf
「いずれかの12ヶ月間に、『意図されたより大量または長期に使用』などの11項目のうち、2項目以上に該当する場合」
(4)物質使用障害(米国衛生総監Surgeon General、2016年11月)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28252892
「2014年には薬物の過剰使用により米国で4万7055人が死亡した。またアルコールにより8万8000人が死亡した」
「対策として次のような包括的対策を推奨する
・一般の人に対して薬物使用障害の教育を行う
・効果が証明された予防政策を広く行う
・効果が証明された治療サービスへの受診率を改善させる
・患者さんが寛解を維持して再発を予防できるように、回復支援サービスを行う
・薬物使用障害サービスに予算配分して、受診可能で、共感的で、効果的で、支持的であるようにようにする」
(法律で厳しく取り締まるとか、収容施設に強制的に入院させるとかの方策は、記載されていません)
(5)物質使用障害(TED)
1.「薬物使用障害の治療を開始する Unlocking the Cure to Substance Use Disorder」
https://www.ted.com/talks/brad_finegood_unlocking_the_cure_to_substance_use_disorder
「薬物使用障害に対する人々の偏見は強い」
2.「『依存症』:間違いだらけの常識 Everything you think you know about addiction is wrong」(既出)(日本語字幕もあり)
https://www.ted.com/talks/johann_hari_everything_you_think_you_know_about_addiction_is_wrong?language=ja
「極楽ネズミは依存症にはならない」
「ベトナム戦争でヘロインを使った米兵は、帰国後はほとんどの人がヘロインを使わなかった」
「ポルトガルは全ての薬物使用を合法化し、社会復帰の助力をしたところ、薬物依存症は半減した」
「『依存』の反対語は『しらふ』ではない。『つながり』である」
3.「病気の人を辱める:物質使用と汚名 Shaming the Sick: Substance Use and Stigma」
https://www.ted.com/talks/dr_carolyn_greer_shaming_the_sick_substance_use_and_stigma
「依存症の患者さんは、他の病気の患者さんとは異なって、社会から辱めを受け、不利益を受ける」
「ハームリダクションなら、辱めを避けることができる」
「患者さんに共感して、勇気づけて、ケアをして、理解する。自分の兄弟だと思って接する」
4.「薬物依存症治療におけるハーム・リダクション・モデル The harm reduction model of drug addiction treatment」(日本語字幕もあり)
https://www.ted.com/talks/mark_tyndall_the_harm_reduction_model_of_drug_addiction_treatment/discussion
「米国では薬物の過剰使用により1年間に6万人が死亡している」
「我々は、薬物使用に対して、禁止や刑罰や偏見で対処してきた」
「薬物使用を犯罪として扱っても、依存症は改善しない」
「ハーム・リダクションにより、過剰使用による死亡を減らすことができる」
5.「依存症は病気の一つである。我々は依存症をそのように扱うべきである Addiction is a disease. We should treat it like one」(日本語字幕もあり)
https://www.ted.com/talks/michael_botticelli_addiction_is_a_disease_we_should_treat_it_like_one
「私は、ゲイであり、かつては薬物依存症だった」
「私は、オバマ政権下で、薬物局長をしていた」
「オバマ政権は、薬物依存症に対して、予防プログラム、治療プログラム、早期介入、回復支援を行なった」
「また、オバマ政権は、刑法の改革を行ない、処罰より教育を重視した。また、ナロキセンの投与を行なった」
6.「孤立はいかにしてオピオイド依存を悪化させるか How isolation fuels opioid addiction」(日本語字幕もあり)
https://www.ted.com/talks/rachel_wurzman_how_isolation_fuels_opioid_addiction/footnotes?
「ナロキソンはオピオイド受容体をブロックして、オピオイドの過剰による死を防ぐが、同時に、人との温かい交流による快感を感じなくさせる」
「孤独は、脳を飢餓状態にして、脳の報酬系を過敏にする」
「依存症の再発を免れる人は、社会との互恵的なつながりを保つ人である場合が多い」
「我々は、人間らしくあろうともがく中で、お互いに繋がり そして、共に癒しを求めることができる」
(7)「薬物使用の科学:その論点 The Science of Drug Use: Discussion Points」(米国国立薬物濫用研究所NIDA)
https://www.drugabuse.gov/related-topics/criminal-justice/science-drug-use-discussion-points
「依存性の薬物は、脳の快感を感じる部分を刺激する。しばらくの間、薬物を使用していると、脳はその薬物に慣れて、同じ快感を得るのに、もっと多くの量の薬物が必要になる。さらに時間がたつと、脳や体は、単に普通であるために、その薬物の摂取が必要になる」
「薬物依存は、その薬物をやめたくてもやめられない状態である。薬物が有害であると知っていても、渇望が強くてコントロールできないのである。薬物依存の人は、うそをついたり、盗みを働いたり、他の人を傷つけることがある」
「最初は、自分の意志でその薬物を摂取するのであるが、摂取を続けるにつれて、自己コントロールは困難になる。脳の部分のうち、判断したり、決心したり、学習したり、記憶したりする部分が、作り替えられるのである」
「『引き金』は、薬物への渇望を生じさせる。引き金になるのは、場所、人、物、匂い、感情、絵、記憶など、薬物摂取を思い出させるようなものである」
「しばらく薬物を使わなかった人は、薬物使用を再開する際には、以前と同じ量を摂取するのであれば摂りすぎになることを知っておかなければならない。薬物の摂りすぎは、死を招くこともある」
(8)「薬物、脳、そして行動:依存の科学 Drugs, Brains, and Behavior: The Science of Addiction」(米国国立薬物濫用研究所NIDA)
https://d14rmgtrwzf5a.cloudfront.net/sites/default/files/soa.pdf
「依存性薬物の使用をやめることは、長くて複雑な回復過程のごく一部分に過ぎない」
「治療は、人間全体を対象にしなければならない」
「薬物の再使用は、正常な回復過程の一部分である。しかし、再発は危険なことがある。再発時に、やめた時の分量を摂取すると、過量になる。最悪の場合は死亡する」
(9)「物質濫用の管理 Management of substance abuse」(世界保健機構WHO)(既出)
https://www.who.int/substance_abuse/en/
(WHOはアルコール問題に対して、新しい施策SAFERを発表しました)
https://www.who.int/substance_abuse/safer/launch/en/
・アルコールの入手を制限する
・飲酒運転の対策を進める
・スクリーニングや短い介入や治療へのアクセスを容易にする
・アルコール飲料の宣伝、スポンサーになること、販売促進活動を禁止するか包括的に制限すること
・消費税や価格政策を通じてアルコール飲料の価格を上げること
(「意志の力で禁酒してもらう」というような施策はありません。環境対策だけです)
(10)「依存症とは何か Addiction: What is it ? 」(英国国民健康サービスNHS)
https://www.nhs.uk/live-well/healthy-body/addiction-what-is-it/
「依存症は、通常はアルコールやニコチンや薬物やギャンブルに対して用いられる。しかし、仕事やインターネットや有機溶剤や買い物に対して用いられることもある」
「依存行動を行うと快感があるとか、依存行動をしないと不快感があるとかの場合には、依存行動が続きやすい」
「依存症は、治療可能である。(英国では)アルコールやタバコや薬物の依存について、自分の家の近くで治療サービスを受けることができる」
(11)「薬物使用と嗜癖 Drug Use and Addiction」(MedlinePlus)(リンク集)
https://medlineplus.gov/druguseandaddiction.html#cat_65