結婚と寿命


「結婚と男の健康 Marriage and men's health」(ハーバード大、初出2010年、修正2019年)
https://www.health.harvard.edu/mens-health/marriage-and-mens-health?utm_source=delivra&utm_medium=email&utm_campaign=GB20200422-Mens50&utm_id=2096025&dlv-emuid=13661b68-d005-454f-874a-3bda847581e5&dlv-mlid=2096025
「結婚している男は、未婚の男、離婚した男、死別した男と比較して、より健康である。結婚生活が長くなるほど寿命が長くなる傾向がある」
「健康な男だけが結婚しているのではない。むしろ、不健康な男は、より早く結婚し、離婚しにくく、離婚してもすぐに再婚する傾向がある」
「未婚の男、離婚した男、死別した男は、心臓病、高血圧、認知症、血糖値異常、性病になりやすい」
「その原因
   1.ストレス‥‥‥未婚、離婚、死別は、葛藤やストレスをもたらす
   2.生活の乱れ‥‥独身の男は、喫煙、飲酒、危険行為などをよく行う
   5.社会的孤立‥‥妻がいないと社会的に孤立するリスクが高くなる」

チャールズ・ダーウィンは、次のように述べています。「結婚すること自体が、長生きの主たる原因だ」。「独身であることは、どんな好ましくない職業よりも、どんな衛生上の改善の試みも出されたことのないような最も好ましくない住居や地域に住むことよりも、人生にとって破壊的である」(「人間の由来」)。これは、現在から見てもその通りです。現代の日本においても、40歳の時点で離婚している人は、結婚をしている人よりも、男は10年、女は5年、平均の寿命が短くなります(「人口統計資料集」、拙著「進化を踏まえた健康法」)。

ところで、離婚したり死別したら、自動的に多くの病気に罹患するわけではありません。例えば、人は簡単には性病になりません。通常は、それなりの危険な行動の結果です。2型糖尿病も、通常は、糖尿病になってもおかしくないような生活習慣を続けた結果です。砂糖や中性脂肪や運動不足などの問題です。

生活習慣病を克服するには、生活習慣の改善が必要です。しかしそれは簡単ではありません。タバコを吸う人が禁煙し、お酒をたくさん飲む人が禁酒し、砂糖を減らし、食塩を減らし、悪い油を減らし、毎日運動する必要があります。薬物依存症を克服する必要があります。

極楽マウスは依存症になりませんが、孤立マウスは容易に依存症になります。しかし、一人でいたとしても孤立する必要はありません。一人でも、他の人のために何かをすることは可能です。

そもそも生物は、第一には自分の子孫を増やすために生きています。また夫婦は、第一には生殖のための共同体です。夫婦関係は、極めて重要な人間関係の一つですが、全てではありません。例えば親子関係も極めて重要な人間関係の一つです。子どもの有無は重要です。子どもがいると話が全く変わってきます。親としての行動は、子どものための行動です。数十億年以前からの命を、次の世代に伝えます。また、クライエントや同僚との関係も極めて重要です。

「何が良い人生を作るか。幸福に関する最も長年にわたる研究から学ぶこと What makes a good life? Lessons from the longest study on happiness」(ハーバード大の研究、Youtubeの動画、日本語字幕もあり)
https://www.youtube.com/watch?v=8KkKuTCFvzI&feature=youtu.be
「私達を健康に幸福にするのは良い人間関係(である)」
「(重要なのは)友人の数ではなく、生涯を共にする相手の有無でもない。重要なのは、身近な人たちとの関係の質である」