不足しています。
私の勤務先の施設に新しく入所された方など20名に対して、ビタミンDの血中濃度を測定したところ、うち13人では、ビタミンD欠乏症の状態にありました。
また、アメリカ政府が平均的なアメリカ人について栄養摂取状況を調べたところ、平均的な人ではビタミンDの摂取量が不足していました。
現代では、多くの人が骨粗鬆症になります。脊椎の圧迫骨折や、大腿骨の頸部骨折が、多く発生しています。しかしながら、骨粗鬆症が増えたのは、最近100年ほどです。未開の地には骨粗鬆症はありません。化石人類の骨にも骨粗しょう症はありません。現代社会が異常であるのです。昔ほどは日光に当たらないので、ビタミンDが欠乏して骨粗鬆症がおきています。
いったんスカスカになった骨は容易には元に戻りません。後からビタミンDを補っても、せいぜい現状が維持されるだけです。多くの生活習慣病と同様に予防が重要です。一生を通じてビタミンDを必要量だけ摂取することがお勧めです。
ガラスは紫外線Bを通しません。だからガラス越しに日光浴を行っても、ビタミンDはできません。
1日分のビタミンDを皮膚で作るには、冬場には昼に22分くらいの日光浴が必要です(つくば)。毎日行うのは、なかなか困難です(私は、真冬でも週に1回、1時間だけ日光浴をしています)。
ビタミンDを多く含む食品は魚です。1回魚を食べると10μgくらいのビタミンDを摂取することができます。しかし、1日に30μgのビタミンDを摂取しようとすると、1日に3回魚を食べる必要があります。その実施は、なかなか困難です(私は、厳重に遮光していた時には、1日に3回魚を食べていました)。
現実には、日光浴も、食事治療もなかなか困難です。
経口薬でビタミンDを補うのが現実的な対応かもしれません。経口薬なら1日分8円くらいです。
天然型ビタミンDは、OTC(一般薬)です。アマゾンで売っています。なお、ビタミンDには過剰症もあります。1日に100μgを超えて摂取すると過剰症になります。お年寄りの場合、ビタミンDの必要量は、これまで1日5.5μgでしたが、この1月から7.5μgに変更になっています。施設に入所しているお年寄りでは10~20μgの摂取が勧められています(厚生労働省の国民栄養摂取基準)。アマゾンで売っているサプリメントは1日1錠で25μg入っています。病院で手に入るのは、主に活性型ビタミンDです。
スカスカになった骨はなかなか元には戻りませんが、ビタミンDは骨を丈夫にする働きがあるだけでなく、他にも多くの作用があります。ビタミンDが欠乏すると、例えば、体の抵抗力が低下して、感染症にかかりやすくなります。また精神機能も低下します。ビタミンDを十分に摂取すると、ビタミンD欠乏症のいろいろな症状を改善させることができます。

