(1)「行動改善の理論 Behavioural change theories」(Wikipedia英語版)
https://en.wikipedia.org/wiki/Behavioural_change_theories
「行動改善の基礎になる理論
・自己効力感: 自分が必要な行動をうまく行なえると、自分の能力を認識していること
・学習理論: 模倣と強化により学習が行われる
・社会認知理論: 行動の改善は、個人と社会環境との関係において行われる
・理性的行動の理論と計画された行動の理論: 行動は、本人が意図して行うものである。意図は、本人の態度、社会からの圧力、自己効力感で作られる
・変化の段階モデル: 行動の変化は突然起きるのではなく、いくつかの段階を経て起きる
・Foggの行動モデル: 行動には、動機づけ、能力、引き金が重要である」
 

(2)「行動改善の科学 The Science of Behavior Change」(NIH)
https://commonfund.nih.gov/behaviorchange/
「米国において予防できる死亡のリスクのうち40%は、行動によるものである。しかし、行動の改善は困難なことが多い。そこで、行動改善の科学のプロジェクトが行われている。このプロジェクトは、行動改善がなぜ、どのようにして起きるかを解明しようとするものである」


(3)「行動の改善を支援する Supporting brehaviour change」(王立看護大学)
https://www.rcn.org.uk/clinical-topics/supporting-behaviour-change
「動機づけ面接は、共感的、支持的なカウンセリングにより、行動改善の動機づけを強化するものである。
1.自由回答式の質問を行う
2.回答をオーム返しに繰り返す
3.回答を明瞭にする
4.回答を要約する
5.自らを動機づける回答があれば、それを明確化する」


(4)「習慣の力」(デュヒッグ、渡会訳、2016年、Kindle版)を再度読みました。著者はジャーナリストです。
「習慣的行動は、次の3つの要素からなる。
   ・きっかけ
   ・ルーチン (喫煙や飲酒や間食)
   ・報酬
きっかけと報酬は、分かりにくいことが多い。突き止めるために、実験が必要なことがある。
きっかけや報酬は、無くせないことが多い。
ルーチンを別の行為に置き換える。(A.A.では、アルコールを飲む代わりに仲間と話をする)
再発予防には信じることが必要。


(5)「行動の改善についての教育と訓練 Education and training」(NHS)
https://www.nes.scot.nhs.uk/education-and-training/by-discipline/psychology/multiprofessional-psychology/health-psychology/the-map-of-behaviour-change-training-programme.aspx


(6)「行動に改善についての3つの誤った考え Three Myths of Behavior Change」(youtubeの動画)(コロラド州立大学教授Jeni Cross先生、社会学)
https://www.youtube.com/watch?v=l5d8GW6GdR0&t=792s
「教育は行動を変える。『他の多くの人はどうしているか』の情報が、最も説得力がある。また、失うものをアピールすると良い(このままでは、お金を失う。良い環境を失う)」


(7)「行動改善ハンドブック The Handbook of Behavior Change」(第5版、2018年)
https://www.amazon.co.jp/Handbook-Health-Behavior-Change/dp/0826180132/ref=sr_1_12?__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&keywords=behavior+change&qid=1571174425&s=english-books&sr=1-12#reader_0826180132
「栄養行動の改善には、動機づけ面接のような『患者さんを優先するカウンセリング』が最も有効である。治療者は、患者さんの食行動改善を促進するために、患者さん一人一人の目標を作成し、自己モニタリングを設定し、社会的支援を活用し、食行動とその改善の仕組みを説明し、再発を予防する」(p149)


(8)「一次予防のために健康行動を改善させる多面的介入の効果 A Review of Multiple Health Behavior Change Interventions for Primary Prevention」(Am J Lifestyle Med. 2011 May/June; 5(3): 10)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3865280/
「健康行動を改善させる多面的介入の研究のうち、2004年~2009年に報告された約150の論文を検討した。栄養や運動については、失望する結果であった。タバコやアルコールや違法薬物については、長く続く効果が認められた」


(9)「行動改善はなぜ困難か。なぜ挑戦し続けなければならないか Why behavior change is hard - and why you should keep trying」(ハーバード大学、2012年)
https://www.health.harvard.edu/mind-and-mood/why-behavior-change-is-hard-and-why-you-should-keep-trying
129の行動改善の論文を検討した。長く続く改善は次のようなものであった。
   ・自分で動機づけをするもの
   ・ポジティブな考えに基づいて行うもの (恐怖ではない)
   ・目標の数を少なくするもの (実行可能なわずかな数の改善)
   ・具体的な対策を立てるもの (禁煙中には散歩し、水を飲み、深呼吸し、瞑想し、果物を食べて、映画を見る)
行動の改善は、単発の出来事ではない。一連の過程である。各段階ごとに、治療者にできることがある。
   ・前熟慮期‥‥外から情報提供し、動機づけをする
   ・熟慮期‥‥‥行動改善の利点と欠点を比較する
   ・準備期‥‥‥実行可能な具体的な計画を作る
   ・実行期‥‥‥ストレス対策をする。社会的支援を得る
   ・維持期‥‥‥再発を防止する(ストレス対策)
この各段階を直進することは少ない。たいてい行きつ戻りつする。失敗しても、失敗するきっかけが分かる。その対策を立てる


(10)「生活スタイルをすっかり変えること。それは効き目がある。それは食事や運動以上である。 Intensive lifestyle change: It works, and it’s more than diet and exercise」(ハーバード大学、2017年)
https://www.health.harvard.edu/blog/intensive-lifestyle-change-it-works-and-its-more-than-diet-and-exercise-2017082112287
「悪い習慣は、精神的な痛みに対する自己治療である」
「患者さんに提供したいのは、植物を基盤とした食事、精製されていない炭水化物、トランス脂肪の少ない食事、グループで食べる食事、週に3~5時間の穏やかな運動、週に2、3回の筋力トレーニング、ストレス管理、コミュニケーション技術、リラックス法、支援グループである」


(11)「食事を通しての癒し Healing through diet」(TED)
https://www.ted.com/talks/dean_ornish_on_healing#t-994428
UCSF教授のOrnish先生によるTEDです。(10)の文中で紹介されていました。
Ornish先生が勧める食事は、(10)の文によれば、次のようなものです。
   ・植物を基盤にした食事
   ・砂糖や小麦粉の少ない食事 (特に加工食品に含まれる砂糖や小麦粉)
   ・動物に由来する食品が少ない食事
このTEDの中で、Ornish先生はがん予防の目的で植物を中心とした食事を勧めておられます。植物は我々と同じDNAのシステムを持っています。植物は紫外線から逃れられないので、がんになっても不思議はありません。しかし、植物はがんにはなりません。植物はがんにならないための「抗酸化物質」を自分で作っています。動物は、植物を食べることにより、抗酸化物質を取り込んでいます。しかし、ヒトの体のいたるところが、がんになってからでは、植物の抗酸化物質は効きません。そこまでの力はありません。対がん協会は、がんになってからの食事として、ふつうの健康的な食事を勧めています。野菜や果物をしっかり摂るということです。