免疫について次のような文書を書きました。
体内に病原性のウイルスが侵入したとします。我々のマクロファージ(大食細胞)は、そのウイルスを捕獲して消化します。その際に、ウイルスの体の一部の情報をT細胞(胸腺由来のリンパ球)に伝えます。T細胞は、攻撃の司令塔となる細胞です。T細胞が攻撃すべきと判断すると、T細胞は、ウイルスを攻撃する役割の細胞を活性化します。T細胞は、さらに、侵入したウイルスの情報をB細胞(骨髄由来のリンパ球)に伝えます。B細胞は、抗体と呼ばれる蛋白質を作ります。この抗体(免疫グロブリンのIgE)は、ウイルスにくっつきます。多数のウイルスと多数の抗体がくっついて、巨大な反応物が出来上がります。その反応物は、白血球に捕食されて消化されます。こうして、ウイルスは体から取り除かれます。抗体とウイルスは、鍵と鍵穴のような関係になっており、特定の抗体は、特定のウイルスとだけ反応します。
他方、抗体(蛋白質のIgE)は、マスト細胞の表面にも装着されます。その状態で元のウイルスに出会うと、マスト細胞の表面の抗体は、ウイルスとくっつきます。それが刺激となって、マスト細胞は、自分の細胞内にあった顆粒を体外へ放出し破裂させて、顆粒の中のヒスタミンをばらまきます。ヒスタミンは、ウイルスを攻撃します。
この反応が強すぎて、体中にあるマスト細胞が一斉にヒスタミンを放出した状態が、アナフィラキシーの状態です。
石坂公茂先生ご夫妻は、免疫グロブリンのIgEを発見されました。また、坂口志文先生は、抑制性のT細胞を発見されました。石坂先生も坂口先生も、免疫学に非常に大きな貢献をされました。