次のような文章を書きました。



(1)ただし、「依存症」という枠組みは、問題点が個人の弱さであるというような印象を与えます。あくまで依存性食品の側の問題であることを覆い隠してしまいます。

(2)まず、砂糖を減らす動機づけを明確にする必要があります。なぜ砂糖を減らさなければならないのでしょうか。私は、かつて誤って「脳が使うことができる栄養素は、ブドウ糖だけである。ブドウ糖を補給するには、砂糖が良い」という考えを信じていたことがありました。それで、勉強の合間に、紅茶に砂糖をいれてしばしば飲んでいました。この状態では、砂糖に害があるという知識は、なかなか私の目に止まらなかったでしょう。

(3)日本の砂糖産業やお菓子産業は、テレビ局への広告料の支払いを通じて、テレビ局の放送内容をコントロールしています。また、政治のプロセスを通じて、衛生行政をコントロールしています。砂糖の消費を増やすために、そうした活動を行っています。砂糖で利益を得ている人たちは、当然そうした活動を行うでしょう。日本政府は、国民が砂糖を減らすための活動をほとんど行っていません。

(4)「果物は良いが、お菓子はダメ」
果物に含まれる糖の濃度は、10~14%ほどです。お菓子では30~50%ほどです。果物には、食物繊維が多く含まれますが、お菓子にはわずかしか含まれません。果物の糖は、主に細胞内にあって、吸収されるのに時間がかかって血糖値をあまり上げませんが、お菓子は血糖値を上げます。ヒトは700万年以上にわたって果物を食べてきました。ヒトの体は、進化を通じて、果物に含まれる分の糖の処理が可能になっています。しかしお菓子は、ごく最近の出来事です。ただし、果物でも1日に摂ってよいのは、400gまでです。中ぐらいの果物(80g)なら、1日に5個までです。それを超えると弊害の方が大きくなります(佐々木)。

(5)まず第一に薬物依存症を克服するための動機づけが必要になります。例えば、砂糖を止めなければならない理由がわかっていないと砂糖を減らす努力を行う事は困難です。砂糖摂取がある一定量(1日に15グラムから25グラム)を超えると、身体や精神の健康に弊害が生じるからです。薬物依存症の克服は不可能であると諦めている人には、可能であることを示して勇気づけます。反抗する人に対しては、代案を示します。克服のための具体的な方法を示す事は重要です。

(6)休肝日とは週に1日か2日アルコールを飲まないことです。休止の仕方がわかります。私は昔、毎日飲んでいたことがありましたが、週に1日だけ土曜日に飲むようにして、さらに月に1日か2日に減らし、さらに年に1日か2日に減らし、ついに0にしました。

(7)医者は依存性薬物を処方するので、イネーブラーになる危険性があります。例えば睡眠薬、抗不安薬のベンゾジアゼピン、後精神病薬などには依存性があります。マリリン・モンロー、マイケル・ジャクソン、エルビス・プレスリーらは、薬物依存症であった可能性があります。

(8)石器時代にヒトは動物を追いかけて食料にしました。現代でもイヌイットはアザラシを多く食べています。動物の脂肪を食べるとヒトは美味しく感じます。精悍な動物の脂肪は、主に植物に由来する良い油(不飽和脂肪)から構成されています。当時は、悪い油(飽和脂肪)はほとんど無かったので、ヒトはそれらを区別する必要はありませんでした。

現代では、動物性脂肪の多くは悪い油(飽和脂肪)です。ウシは本来は草を食べていますが、肉牛はとうもろこしや大豆を食べています。狭いところでエネルギー過剰で育てられて、悪い油(飽和脂肪)の多いメタボの牛になります。メタボの野生動物はいません。

また加工食品に含まれる脂肪、レストランで使う脂肪、お惣菜を作るときに使う脂肪は、たいてい飽和脂肪です。安くて長持ちするからです。また、お菓子の袋に「植物油」と書いてある場合、多くの場合それはパーム油で飽和脂肪(悪い油)です。

悪い油を多く摂っていると、体の細胞膜は次第に悪い油による細胞膜に置き換わっていきます。でんぷんなどの多糖類は、単糖類にまで分解されてから吸収されます。またタンパク質もアミノ酸にまで分解されてから吸収されます。しかし脂肪は脂肪酸とグリセリンに分かれるだけです。脂肪酸はそのままの形で、体の構成要素として使用されます。

脂肪細胞に脂肪がたまりすぎて破裂すると、免疫細胞はこれを外敵の侵入と見なして炎症反応をスタートさせます。悪い油が多いと、免疫細胞は炎症を引き起こしやすくなります。

ウシやブタなどの家畜の油は、悪い油が多く含まれます。家畜の油はお勧めではなく、植物に含まれる油、野生の動物の油がお勧めです。野生の動物の肉は手に入りませんが、青魚(サンマ、アジ、サバ、イワシなど)は、たいてい野生です。

(9)ヒトがチンパンジーとの共通の祖先から枝分かれしてからだけでも、700万年の時間が経過しています。この間、ヒトは厳しい生存競争を生き抜いてきました。ヒトの身体と行動は、進化的に適応したものです。最もうまく行くように進化しています。旧石器時代の生活習慣を正しい習慣として取り入れれば、生活習慣病の予防と治療に役立つ可能性があります。旧石器時代の祖先の生活については、不明な部分も多くありますが、現代の未開の人々の生活から推定できる部分もあります。また熱帯や砂漠などの極限的な環境で現代人がサバイバルを行う際の行動も参考になります。



本日は、部分日食がありました。厚く曇っていましたが、ほんの短時間だけ日が差しました。双眼鏡の太陽像を白い紙に投影してそれを写しました。
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