次の文書を読みました。

(1)「食塩と健康、世界における最近の減塩プログラム実施の経験についての包括的な総説 A comprehensive review on salt and health and current experience of worldwide salt reduction programmes」(Journal of Human Hypertension volume 23, pages 363?384 (2009))
http://www.nature.com/articles/jhh2008144

「(英国の)多くのスーパーマーケットでは、食品の包装にラベリングが行われており、食塩、砂糖、脂肪、カロリーの含有量により、緑色、琥珀色、赤色で示されている」

「英国の食塩と血圧に関する専門家22人は、CASH(Consensus Action on Salt and Health)というグループを作り、食塩を減らすように、大手スーパー、いくつかの食品会社、英国厚生省に働きかけて説得した。彼らは『食品の塩分濃度を10%から15%減らしても、人間の味覚には減らしたことが分からない』と主張した」

(2)「なぜ、我々の食塩依存は、打破するのが困難か Why our salt addiction is hard to kick」(CNN、May 15, 2010)
http://edition.cnn.com/2010/HEALTH/05/15/america.salt.addiction/index.html

「食塩を多く摂る習慣を打破するには、食塩をゆっくり減らすしかない。(中略)。食塩を突然に絶つのは、うまくいかない」

(3)「食塩の習慣を払い落とせ Shake the salt habit」(W.H.O.、2016年、summary)
http://apps.who.int/iris/bitstream/handle/10665/250134/WHO-NMH-PND-16.4-eng.pdf

WHOは、この文書の中で、次のような施策を勧めています。
・サーベイランス‥‥1人当たりの1日食塩摂取量を調べて公表する
・食品産業の利用‥‥食塩の少ない食品を食品産業に提供してもらう
・ラベリング‥‥食塩の含有量を食品に表示する
・知識の提供‥‥食塩の量を減らすように個人に情報提供する
・環境の整備‥‥健康的な食生活を送れるような環境設定を行う
(英国の減塩プログラムが成功した理由は、食品産業と密接に協力したことであるとのことです)

(4)「高血圧の蔓延についての進化的な見方 The Hypertension Pandemic: An Evolutionary Perspective」(Physiology 32(2), March 2017, 112-125)
https://www.physiology.org/doi/pdf/10.1152/physiol.00026.2016

「肺魚以後の生物にはレニン・アンギオテンシン・アルドステロン系が機能している(図3より)」

「高血圧は、生殖時期が終了してから顕著になる。高血圧は、生殖にはあまり悪影響を及ぼさないようなので、淘汰の圧力は最小限であるように思われる」

(5)「食塩と高血圧についての進化的な見方 Salt and Hypertension: An Evolutionary Perspective」(J Hypertens 1:e106. 2012)
https://www.omicsonline.org/open-access/salt-and-hypertension-an-evolutionary-perspective-2167-1095.1000e106.php?aid=9305

「高血圧の薬のなかった1940年代に、Walter Kempner医師は、1日塩分量0.25gの食事療法により、患者さんの高血圧を顕著に改善させた」