次のような文章を読みました。
(1)「人体 600万年史」(下)(リーパーマン、塩原訳、2015年、Kindle版)の10章「過剰の悪循環」を再度読みました。
「加工食品の場合は大量のフルクトースがあっという間に肝臓に押し寄せるので、肝臓は圧倒されて、フルクトースのほとんどを脂肪(トリグリセリドリド)に変換してしまう」(1879)
「上がりっぱなしのインスリンは脳にも影響を及ぼし、脳がもう一つの重要なホルモンであるレプチンに反応しないようにさせる」(1940)
「肥満しているインスリン抵抗性の強い若者が、一定の運動を行うように促されると(1日に30分、1週間に4日の運動を12週間)、インスリン抵抗性はほぼ標準レベルまで低下する」(2079)
「人工トランス脂肪は、腐敗しない(したがって多くの加工食品に使われる)が、肝臓の働きをめちゃくちゃにする。LDLを増やし、HDLを減らし、体内でのオメガ3脂肪酸の利用に干渉する」(2230)
(2)「ダーウィン」(伝記、世界を変えた人々13、スプロウル、乾訳、1993年)を読みました。
「ダーウィンの研究生活は、毎日ほとんど変わりませんでした。朝早く起き、晴れていようと雨が降っていようと、朝食の前に庭をひとまわりします。(中略)。12時が、ダーウィンの1日の研究のおわる時間でした。ダーウィンは満足して、お気に入りの犬の一頭を呼び、また散歩に出かけるのです」(p118)
(3)「昨日までの世界」(下)(ダイアモンド、倉骨訳、2013年)を読みました。
「加工食品の製造業者はなぜ、これほど多くの食塩を食材に添加するのだろうか? ひとつの理由は、それが、安価でまずい素材を、ほとんどコストをかけずに食べられる食材にする方法だからである。また別の理由は、肉の塩分含有量を増やすと、肉の含有水分も増加し、食品の重量を安価に約20%も水増しすることができるからである」(p304)
「飢餓状態に置かれた集団では糖尿病患者数が減少し、その症状は軽減するか、あるいは患者自体が消滅する」(p314)
「無謀なことを数百回もおこなえば、ついには運が尽きることを彼ら(狩猟採集生活をする人々)は理解している」(p359)
(4)「インスリン抵抗性 Insulin resistance」(Wikipedia英語版)を読みました。
https://en.wikipedia.org/wiki/Insulin_resistance
「ラットに脂肪の多い食餌(脂肪59%、炭水化物20%)を3週間与えると、かなり強いインスリン抵抗性を示した」
「飽和脂肪、一価不飽和脂肪、多価不飽和脂肪ω-6を多くラットに与えると、炭水化物を多く与えた場合に比較して、いずれもラットにある程度の害を与えた。特に飽和脂肪が、最も重篤にインスリン抵抗性をラットにもたらした」
「血液中や組織中の中性脂肪が増えると、インスリン感受性は低下する。このことは多くの研究によって示されている」
「最近、『単糖とくに果糖の摂取は、インスリン抵抗性をもたらす』と述べる研究者がいる。果糖は肝臓で代謝されて中性脂肪となり、中性脂肪の血中濃度が上昇する」
「インスリン抵抗性がひとたび生じると、血液中や組織中のインスリン濃度は高くなる。インスリンは、エネルギーを脂肪細胞に蓄えるための主要なホルモンである。肝臓や骨格筋がインスリン抵抗性を示していても、脂肪細胞ではインスリン感受性を保つので、新しい脂肪組織が形成され、体重増加が加速される」
「ビタミンD欠乏症は、インスリン抵抗性と関連がある」
「リン脂質全体に対して多価不飽和脂肪によるリン脂質が占める割合は、インスリン抵抗性と強く逆相関する。『PUFA(多価不飽和脂肪酸)濃度の増加による細胞膜流動性の増加は、インスリン受容体の数の増加をもたらし、インスリンのレセプターに対する親和性を増加させ、インスリン抵抗性を減らす』という仮説がある」
「多くのストレス要因は、血液中のコルチゾールの増加をもたらす。コルチゾールは、インスリンと拮抗し、高血糖をもたらす肝臓糖新生を促進し、末梢におけるブドウ糖の消費を減らし、ついにはインスリン抵抗性をもたらす」
「インスリンが通常のレベルよりも多く存在すると(これは通常はインスリン抵抗性によって生じたものであるが)、(GLUT4が減少し、これが)ある種の正のフィードバックとなり、インスリンをさらに多く必要とする。運動は、筋肉組織において、この過程を逆転させる」
「インスリン抵抗性は、内臓脂肪が蓄積した人にしばしば見られる」
「ω-3脂肪酸は、インスリン抵抗性を改善させる限定的能力があるが、ひとたび2型糖尿病が発症すると、その能力は消失する」
(5)「インスリン抵抗性」(Wikipedia日本語版)を読みました。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%83%AA%E3%83%B3%E6%8A%B5%E6%8A%97%E6%80%A7
「空腹時の血清インスリン値と空腹時血糖からインスリン抵抗性を推定できる」
(6)「糖尿病前症とインスリン抵抗性 Prediabetes & Insulin Resistance」(NIH)を読みました。
https://www.niddk.nih.gov/health-information/diabetes/overview/what-is-diabetes/prediabetes-insulin-resistance
「インスリン抵抗性の原因
インスリン抵抗性の原因は完全には解明されていない。しかし、科学者たちは、体重過剰と身体的な不活発さがインスリン抵抗性の主な原因であると考えている。
過体重
何人かの専門家は、肥満、特に腹部の脂肪過剰がインスリン抵抗性の第一の原因であると考えている。
何人かの専門家は、肥満、特に腹部の脂肪過剰がインスリン抵抗性の第一の原因であると考えている。
かつて科学者たちは脂肪組織の機能はエネルギーの貯蔵だけであると考えていた。しかし、研究により判明したのは、腹部の脂肪組織は、ホルモンやその他の物質を分泌し、それがインスリン抵抗性や高血圧やコレステロール値の異常や心臓病を引き起こしているということである。
腹部の脂肪は、体内の長く続く慢性炎症をもたらす。慢性炎症は、時間が経つと、特別の症状が出ないうちに、体に害を与えるようになる。慢性炎症は、インスリン依存性や2型糖尿病の進展を促す。
身体的な不活発さ
多くの研究が示しているのは、身体的な不活発さは、インスリン抵抗性と関係があり、しばしば2型糖尿病をもたらすことである。体内ではブドウ糖は、他の組織よりも、筋肉で多く消費される。通常、筋肉は活動するために、蓄えてあったブドウ糖を使ってエネルギーを得る。そして再び、血中からブドウ糖を取り込んで、それを筋肉内に蓄える。そのようにして、血中ブドウ糖濃度のバランスをとる。
多くの研究が示しているのは、身体的な不活発さは、インスリン抵抗性と関係があり、しばしば2型糖尿病をもたらすことである。体内ではブドウ糖は、他の組織よりも、筋肉で多く消費される。通常、筋肉は活動するために、蓄えてあったブドウ糖を使ってエネルギーを得る。そして再び、血中からブドウ糖を取り込んで、それを筋肉内に蓄える。そのようにして、血中ブドウ糖濃度のバランスをとる。
研究によれば、運動の後では、筋肉のインスリン感受性は良くなり、インスリン抵抗性が減弱し、血糖値は下がる。運動は、筋肉がインスリン無しにブドウ糖を取り込むのを助ける。体の筋肉量がより増えるほど、血糖値のコントロールのため、ブドウ糖をより多く燃やすことが可能になる。
ダッシュDASHダイエットは、米国国立衛生研究所NIHが作成した食事プランである。ダッシュダイエットに、もし体重減少と身体活動が伴うのであれば、インスリン抵抗性を減らすのに効果があることが示されている」
(7)「2型糖尿病の予防 Preventing Type 2 Diabetes」(NIH)を読みました。
https://www.niddk.nih.gov/health-information/diabetes/overview/preventing-type-2-diabetes
「糖尿病に罹患している時間が長いほど、健康障害を引き起こす確率が高くなる」
「2型糖尿病になる可能性を減らすための方法
・体重を減らしてそれを維持する‥‥最初の体重から5~7%減らすことにより、糖尿病を予防する、ないし発症を遅延させることができる
・身体活動を増やす‥‥1回につき少なくとも30分間、週に5回、体を動かすことが必要である
・身体活動を増やす‥‥1回につき少なくとも30分間、週に5回、体を動かすことが必要である
・大半の場合に健康的な食事をする‥‥カロリーを減らし、脂肪を減らし、甘い飲み物を飲まずに水を飲むのが良い」
(8)「狩猟採集生活者のような(旧石器時代のような)食事が、2型糖尿病患者の代謝や生理に及ぼす影響 Metabolic and physiologic effects from consuming hunter-gatherer (Paleolithic)-type diet in type 2 diabetes」
https://www.researchgate.net/publication/274402551_Metabolic_and_physiologic_effects_from_consuming_a_hunter-gatherer_Paleolithic-type_diet_in_type_2_diabetes
「2型糖尿病の人が、短い期間であっても旧石器時代のような食事をすれば、少なめの食塩・低脂肪乳・全粒穀物・豆などを含む伝統的な食事をするのと比較して、血糖コントロールをより改善し、脂肪の組成をより改善することができる」
(9)「狩猟採集生活者の食事‥‥異なった観点から Hunter-gatherer Diets - a different perspective」
http://ajcn.nutrition.org/content/71/3/665.full?utm_campaign=DonanimHaber&utm_medium=referral&utm_source=DonanimHaber
「大栄養素を摂取する割合がどのようであっても、狩猟採集生活をする人々は、文明病には罹患しない」
(10)「米国の食事における高度加工食品と加えられた砂糖 Ultra-processed foods and added sugars in the US diet」
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4785287/
「(米国では通常)全食品のうち、高度加工食品が、エネルギー比で57.9%を占める」
「ほとんどの食事ガイドラインは、加えられた砂糖の消費を減らすことを勧めている。しかし、この勧めを実行するための方法は必ずしも明らかにはされていない。我々の研究が指し示しているのは、アメリカ合衆国においては、高度加工食品の消費を減らせば、加えられた砂糖を減らすのに極めて効果的であることである」