以下のような文書を読みました。
(1)「恐れ Fear」(Wikipedia英語版)
https://en.wikipedia.org/wiki/Fear
https://en.wikipedia.org/wiki/Fear
「恐れの反応は、適切な対策行動を引き起こすので、生存に貢献する。それで、恐れの反応は、進化を通じて保持された」
「傷つくような怖い事故を、体験したり見たりして、恐れを学習することができる」
「高さへの恐れは、おそらく全ての哺乳類が共通して持っており、中生代に成立している」
「ヘビへの恐れは、おそらく類人猿が共通して持っており、新生代に成立している」
「ネズミや昆虫に対する恐れは、おそらく人類だけが持っており、旧石器時代ないし新石器時代に成立している」
(2)「長引く恐れや不安は、子どもの学習や発達に悪影響を及ぼすことがある Persistent Fear and Anxiety Can Affect Young Children's Learning and Development」(Harvard Universuty, Center on hte Developing Child)
https://developingchild.harvard.edu/wp-content/uploads/2010/05/Persistent-Fear-and-Anxiety-Can-Affect-Young-Childrens-Learning-and-Development.pdf
「小さい子どもが、心的外傷を受けるような環境にいると、異なる感情表現を理解したり、それに反応したりすることが困難になり、健全な人間関係を作ることが困難になる」
「小さい子どもが、過度な恐れや不安な状況に長い時間とどまると、幼児期の学習が困難になり、後年の学校での成績を悪化させ職場や地域での活動性を低下させるような強いストレスを、子どもに引き起こす」
「子どもが小さい時に身につけた恐れの反応は、時間が経過しても、ひとりでに消えるわけではない。早期の恐れの学習は、しばしば適応的であるからだ。例えば、小さい子どもが熱いものを触らなくなる学習を考えれば分かる」
(3)「恐怖の出来事への順応 Adjustment to Threatening Events」Taylor
http://66.199.228.237/boundary/Childhood_trauma_and_PTSD/adjustment_to_threating_events.pdf
著者らは、78名の乳がん患者さんとその家族にインタビューを行いました。乳がん患者さんの関心事は3つあったとのことです。第一は、がんの原因は何かということです。なぜがんになったかということです。第二は、治療をどうするかということです。拡大切除か、部分切除か、化学療法か、放射線療法かということです。第三は、自分を高めるにはどうするかということです。単純な娯楽の時間は減り、家族のための時間が増えたとのことです。
(4)「感情の発達における順序が判明した Order Found in Development of Emotions」(The New York Times, 1984 Jun 19)
http://www.nytimes.com/1984/06/19/science/order-found-in-development-of-emotions.html?pagewanted=all
「出生時には、新生児は最も基本的な感情しか示さない。しかし、生後10か月までには、基本的であると考えられている感情の全てを示すようになる。それは、喜び、怒り、悲しみ、嫌悪、驚き、恐れである」
「人生の最初の1、2年の間に、基本的な感情が出現する。それは生物学的な時計により、脳の発達のためにプログラムされているように見える」
「子どもは、生後7、8か月になるまでは、恐れの明瞭な兆候を示さないことがしばしばある。しかし、虐待を受けた子どもは、見知らぬ男が近づくと、生後3か月でも恐れに満ちた表現を行うことがある」
「出生時: 楽しみ、驚き、嫌悪、苦悩
生後6~8週までに: 喜び
生後3~4か月までに: 怒り
生後8~9か月までに: 悲しみ、恐れ
生後12~18か月までに: 愛情
生後18か月までに: 恥
生後2年までに: 誇り
生後3~4年までに: 罪悪感」
生後6~8週までに: 喜び
生後3~4か月までに: 怒り
生後8~9か月までに: 悲しみ、恐れ
生後12~18か月までに: 愛情
生後18か月までに: 恥
生後2年までに: 誇り
生後3~4年までに: 罪悪感」
(5)「恐れの神経生物学 The Neurobiology of Fear」Edmundson
http://serendip.brynmawr.edu/bb/neuro/neuro00/web2/Edmundson.html
「動物が恐れを感じる能力は、生存のために必須である。恐れは、有名な『戦うか逃げるか』の反応の引き金を引く。そしてそれは、危険から逃げ出したり捕食者から自分を守るために、心拍数の増加、呼吸数の増加、筋緊張の亢進を引き起こす」
(6)「他者を観察して恐れを学習する Learning fears by observing others」Olsson
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2555428/
「嫌な出来事を自分で体験するすることなく、他者を通じて間接的に獲得した恐れであっても、恐れの条件付けと同じような神経のメカニズムが引き起こされる。(中略)。我々のこの研究により、間接的に得られた恐れも、直接的に得られた恐れと同様に強力であることが示された」
(この個人のサイトは、パニック映画の効用について、次のような意見を紹介しています)
「架空の恐れは、観客の心に実在する恐れを発散させて軽くする。観客は恐れを与えられることにお金を払うのではない。持っている恐れを悪魔祓いしてもらうことにお金を払うのである。恐れは、安全な形で発散させて軽くするまでは、心に居続ける」
(8)「恐れの社会的学習 Social learning of fear」Olsson
https://www.researchgate.net/profile/Andreas_Olsson/publication/6114806_Social_learning_of_fear/links/0c96052695ad71d3df000000/Social-learning-of-fear.pdf
「トリ、ネズミ、ネコ、ウシ、サルを含む多くの動物は、同種の個体を観察することにより、恐れを獲得することができる。生態学的に正しいある研究によれば、マウスが刺しバエに襲われるところを別のマウスに観察させた後、刺す部分を除去した刺しバエを24時間後に入れて両マウスを襲わせたところ、刺されたマウスも観察したマウスも、同じ程度に回避行動を行った。これは、自分で恐れを獲得するのも、他者から恐れを獲得するのも、同様に効果があることを示している」
(9)「脅しの防災はやめよう」という文書を再度読みました。
http://sk01.ed.shizuoka.ac.jp/koyama/public_html/etc/opinion/jihyo1.html
http://sk01.ed.shizuoka.ac.jp/koyama/public_html/etc/Abstracts/chiiki98.html
http://sk01.ed.shizuoka.ac.jp/koyama/public_html/etc/Abstracts/chiiki98.html
情報の伝え方にも、いろいろ考慮すべきことがあるとのことです。