「いまや原始時代のままの狩猟採集民の集団など世界のどこにもな(い)。(中略)。これまでに健康状態を調査されてきた狩猟採集民の大半は、タバコも吸っているし、酒も飲んでいるし、農民との交易で食料も得ているし、外部の集団から持ち込まれた感染症と長らく闘ってきてもいる」(5240中 3738)
「この群島(ガラパゴス諸島)の鳥類は、人間がかめやアンブリリンクスよりも、もっと危険な動物であることをまだ知らず、イギリスの原野で、かささぎのような臆病な鳥が、草を食ううしやうまを無視していると同じように、人間を無視しているように思われる」(p47)
「イギリスでは毎年比較的に少数の若い鳥が人間に害される。それでも、ほとんどすべての鳥が、巣鳥にいたるまで、人間をおそれている。一方では、ガラパゴスやフォークランドでは、多くの個体が人間に危害を加えられていながら、大切な人間に対する恐怖を覚えていない」(p49)
(3)「食塩についての政治的な科学 The Political Science of Salt」(Science 14 Aug 1998: Vol. 281, Issue 5379, pp. 898-907) Gary Taubes
http://science.sciencemag.org/content/281/5379/898.full
この文書は、食塩過剰摂取が高血圧をもたらすと述べる論文の科学的正当性を疑っている文書です。例えば、インターソルト研究については、食塩摂取が最も多い中国の被検者の収縮期血圧は110台であるから、食塩は血圧と無関係であると主張しています。また、DASHダイエットは、米国政府がお勧めする高血圧向けの食事法であるが、特に塩分を制限していないと述べています。
血圧に関与する生活習慣は、食塩だけでなく、カリウム(野菜と果物)、コレステロール、肥満、喫煙、飲酒、ストレス、運動など多くあります。遺伝も関係します。食塩以外の要因は、食塩と血圧の関係を弱くする方向に作用します。人間では実験ができないので、弱い相関を、工夫して観察するしかありません。
DASHダイエットは、食塩を無理なく自然に減らすダイエットです。実践すると、加工食品の摂取が減って、食塩量が減ります。
(4)「食塩と食事と健康:海神の毒入りシャリ:高血圧の起源 Salt, Diet & Health: Neptune's poisoned chalice: the origins of high blood pressure」(Family Practice, Volume 16, Issue 3, 1 June 1999, Pages 316)
https://academic.oup.com/fampra/article/16/3/316/485596
この文書は、同名の本に対する書評です。
「後ろの章では、食品に多量に添加された食塩の依存性について論じている」
「最後の章では、食品産業(特に食塩産業)が、加工食品に多く含まれる食塩を減らすことに反対する活動を行っていることについて述べている」
(5)「食塩と高血圧:なぜ今もなお議論が行われるのか Salt and hypertension: why is there still a debate?」(Kidney Int Suppl (2011). 2013 Dec; 3(4): 316-320)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4089608/
この文書は、食塩が高血圧を引き起こすことの根拠を述べています。
「オーストラリアのアボリジ二族、アフリカのブッシュマン、アマゾンのヤノマミ族では、最近まで、彼らの食生活には、食塩は無かった。彼らの食塩摂取量は、典型的な狩猟採集生活者が自然な食物から得られるほどしかなかった。それは、1日にわずか0.25gほどであった。それで、彼らの社会には、高血圧の人は全く存在していない」
「人間の腎臓は、効率よくナトリウムを体内に保持する」
「食塩摂取を少し減らすと、人々の健康は大きく改善し、健康維持のための費用の削減につながる」
(6)「食塩を少なく摂取することの健康影響:系統的総説とメタ分析 Effect of lower sodium intake on health: systematic review and meta-analysis」(BMJ 2013;346:f1326)
http://www.bmj.com/content/346/bmj.f1326
「我々のこの系統的総説とメタ分析は、ナトリウムの摂取を減らせば、急性疾患を持たない大人にも子どもにも明らかな利点があることを示している」
「観察的なコホート研究の結果によれば、ナトリウム摂取量と、全脳卒中、致死的脳卒中、致死的冠状動脈疾患によるトラブル事象とは、有意な関連がある」
「食塩摂取を減らしても、血中脂質、カテコールアミン濃度、腎機能などに悪い影響を全く与えないことを我々は明らかにした」
(7)「食塩が存在しない文化の一つであるヤノマモ族における血圧と食塩摂取と食塩関連ホルモン Blood Pressure, Sodium Intake, and Sodium Related Hormones in the Yanomamo Indians, a "No-salt" Culture」(Circulation. 1975;52:146-151)
http://circ.ahajournals.org/content/52/1/146.full.pdf
