次のような文書を読みました。


(1)「休むために生まれた Born to rest」(Harvard Magazine、9月‐10月)
http://harvardmagazine.com/2016/09/born-to-rest
(この題は、ベストセラー「走るために生まれた Born to Run」のもじりです)

「狩猟採集生活をする人たちの中には、走るためだけの目的でジョギングする人はいない。(中略)。彼らが外出するのは、食料を集めるなどの仕事のためである。食料が限られた環境では、それ以外の目的で運動するのは適応的ではない」

「ハーバードの卒業生のうち運動をする人では、死亡率や病気の罹患率が大きく減っている」

(2)「ハーバード大学教授が、なぜ我々が疲れ果てるまで運動しようとしないかを説明する This Harvard professor explains why we were born to resist working out」(ワシントンポスト紙、2016年9月15日)
https://www.washingtonpost.com/news/inspired-life/wp/2016/09/15/this-harvard-professor-knows-why-you-skipped-the-gym-this-morning-it-is-natural-and-normal-to-be-physically-lazy/?utm_term=.2c0bbb0e4067

「怠惰であるのは、自然であり正常である」

「カラハリやアマゾンで狩猟採集生活をする人々は、21世紀のアメリカ人と同様に本能的に、不必要に体力を消耗することを避ける。今日のごく少数の人々は、医療の目的で処方された量の運動を行っているが、大多数の人々は、先祖と同様に、必要のあるときや楽しみのためだけに運動を行っている」

「我々の本能は、常に体力を温存しようとする」


(3)「なぜ彼らは死んだのか Why did they die」(Science、1992年12月11日)
http://science.sciencemag.org/content/258/5089/1739

「ヨーロッパ人が新世界へ進出した結果、およそ5600万人の人が死亡した」

「ある人は、戦いの中で死んだ。また多くの人は、社会体制が崩壊した結果、死んだ。しかし、ほとんどの人は、ヨーロッパ人が持ち込んだ病気によって死亡したのである」

「新世界の人々は、ある一点でヨーロッパ人とは異なっていた。彼らは遺伝的なばらつきが非常に少なかったのである」


(4)「医学の役割:夢か幻か天罰か The Role of Medicine: Dream, Mirage, or Nemesis?」
http://www.darkpharma.nl/uploads/7/3/2/8/7328594/nemesis.pdf
(これは、同名の本に対する書評です)

「健康状態が持続的に改善していることについて、医学の貢献は過大評価されている」

「数十年あるいは数世紀にわたって寿命が延長しているのは、主に、食物が入手しやすくなったこと、有害な細菌への暴露が減ったことによるのである。後者は、清潔な水源、下水の処理、住環境の改善、食品の取り扱い・包装・輸送の改善など(例えば、低温殺菌、瓶詰め、迅速な輸送など)の公衆衛生的な手段による」
(要するに医学の貢献ではないということです)

(5)「旧石器時代の食事と現代の食事との比較:選ばれた病態生理学的な推定 Paleolithic vs. modern diet - selected pathophysiological implications」(S. B. Eatonら、 Eur J Nutr 39:67-70(2000)
https://evolutionmedicine.files.wordpress.com/2009/11/eaton-2000.pdf

「人類は、遺伝的な意味では、石器時代のままであり、その結果として、我々は農業以前の栄養の状況に適応したままなのである」

「果物や野菜は、がんを予防する能力が、穀物よりも、はるかに大きい」

「旧石器時代の平均的な栄養摂取状況
   動物性蛋白‥‥‥‥非常に多い
   植物性蛋白‥‥‥‥中等度
   総脂肪‥‥‥‥‥‥中等度~多い
   コレステロール‥‥多い
   穀物‥‥‥‥‥‥‥なし~最小限
   野菜と果物‥‥‥‥非常に多い
   牛乳‥‥‥‥‥‥‥母乳が終われば無し
   精製砂糖‥‥‥‥‥なし(ハチミツはある)
   食物繊維‥‥‥‥‥非常に多い
   ファイトケミカル‥‥おそらく多い」

(6)映画「恋はデジャ・ブ Groundhog Day」を見ました。この映画は「病気はなぜあるのか」という本の中で紹介されています(p189)。
https://www.amazon.co.jp/gp/product/B00FB83TRW/ref=dvm_jp_pl_cs_hqp_001_dp_0

主人公のフィルは、ハイムリック法により、喉に食べ物を詰めた人を助けています(1時間24分ごろ)。