アレルギーについて、次の文書を読みました。
(1)「間違い警報仮説:食餌中に含まれる最終糖化産物や、糖化反応を引き起こす起炎因子になる砂糖が多い場合の食物アレルギーThe Fale alarm hypothesis: Food allergies associated with high dietary advanced glycation end-products and proglycating dietary sugars that mimic alarmins」(Smith、2017年)
http://www.jacionline.org/article/S0091-6749(16)30618-2/fulltext
http://www.jacionline.org/article/S0091-6749(16)30618-2/fulltext
「我々は、間違い警報仮説を提案する。食餌中の最終糖化産物や、食餌から作られる最終糖化産物が、食物アレルギーを起こりやすくするという仮説である」
「最終糖化産物AGEsは、マスト細胞の表面にある専用のレセプターRAGEと結合する。それにより、マスト細胞は活性化し、ヒスタミンを放出し、量に依存するメカニズムで酸化ストレス産物を生成する」
(2)「なぜ進化は我々にアレルギーを与えたかWhy did evolution give us allergies?」(Gross、2015年)
http://www.cell.com/current-biology/pdf/S0960-9822(15)00003-2.pdf
「アレルギーを持つ者は、ある種のがんには、かかりにくい」
(3)「アーミッシュの喘息Amish Asthma」(2016年)Evolution Medicine
https://evolutionmedicine.com/2016/08/04/amish-asthma/
(アーミッシュは宗教集団であり、農耕や牧畜により自給自足の生活をしている)
「アーミッシュの子どものうち20人に1人が喘息を持つ。高度に産業化された農場の子どもでは5人に1人が喘息を持つ」
(4)「ジャンクフードは、アレルギーの引き金を引き、漏れやすい腸を作るJunk Food Triggers Allergies And Causes Leaky Gut」Healing Histamine
https://healinghistamine.com/junk-food-triggers-allergies-and-causes-leaky-gut/
「食物を茶色にすることは、マスト細胞を活性化する」
「色々な免疫性疾患や自己免疫疾患は、発展途上地域では既開発地域よりずっと少ない。発展途上地域から既開発地域へ移住すると、移住後の経過時間に比例して免疫性の疾患が増える」
「既開発国では子ども時代の病気の多くは克服されているが、青年の喘息有病率は約10%ほどである。19世紀には、枯草熱(診断が容易なアレルギー疾患)は極めてまれであった」
(6)「アレルギー:炎症性の疾患Allergies: an inflammatory subject」British Society for immunology
https://www.immunology.org/publications/bsi-reports/60-years-immunology-past-present-and-future/allergies-inflammatory-subject
https://www.youtube.com/watch?v=ucDcGHC5TSE
「寄生生物は、宿主の免疫システムを妨害する戦略を持つように進化している。人類の歴史の大半では、寄生虫のような「古い友人」は、ヒトの免疫システムとある種の平衡状態にあり、我々の免疫細胞は彼らがそこに存在することをあてにするまでになった。彼らがいなくなると、こうした免疫システムは、過剰に働くようになった」
(7)「拝啓、進化様。アレルギーを有難うDear Evolution, Thanks for the Allergies」(Maron、2013年)Scientific American
https://www.scientificamerican.com/article/dear-evolution-thanks-for/
「アレルゲンを完全に抹殺し排除しようとすることは、町の犯罪に対して原子爆弾を投下するようなものである」
(8)「なぜ人々はアレルギーを持つようになるのかWhy do people get allergies?」(Zimmer、2017年)TEDEd
https://blog.ed.ted.com/2017/04/06/why-do-people-get-allergies/
「アメリカ合衆国だけでも、1800万人の人が枯草熱を持っており、何百万人もの子どもが食物アレルギーを持っている」
「赤ん坊のころにアレルゲンに接触しておくと、そのアレルゲンについては後年にアレルギーに進展することは少ない」
(9)「子どもや10歳代の若者において、ファスト・フードは、アレルギーや湿疹の重症度としばしば関係するFast food frequently linked to asthma, eczema severity in children, teens」(Jaslow、2013年)CBS ニュース
https://www.cbsnews.com/news/fast-food-frequency-linked-to-asthma-eczema-severity-in-children-teens/
「ある研究によれば、週に3回以上ファスト・フードを食べる子どもや10歳代の若者は、健康的な食生活をする同級生と比較して、喘息や湿疹や枯草熱などによる深刻な症状に直面する割合が多い」
(10)「子どもがファスト・フードを欲しがる時にはよく考えなければならないThink fast when kids want fast food」(Godman、2013年)Harvard Health Publications
https://www.health.harvard.edu/blog/think-fast-when-kids-want-fast-food-201301315846
「ある研究者が、31か国の6-7歳と13-14歳の50万人の子どもを調査したところ、週に3回以上ファスト・フードを食べる子どもでは、重症の喘息を持つリスクが、年長児で39%、年少児で27%大きかった。そして、果物を毎日3単位以上摂取すると、喘息や湿疹や枯草熱の重症度が減ることが示された」
うつ病について次の文書を読みました。
(1)「うつ病の8割に薬は無意味」(井原、2015年、朝日新書)
「世界の製薬市場(p92)
・抗うつ剤とその他の抗精神病薬‥‥6兆円
・コレステロールを下げる薬‥‥‥‥‥3兆4千億円
・胸やけ・逆流性食道炎の薬‥‥‥‥2兆6千億円
・血糖降下薬‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥2兆4千億円」
・抗うつ剤とその他の抗精神病薬‥‥6兆円
・コレステロールを下げる薬‥‥‥‥‥3兆4千億円
・胸やけ・逆流性食道炎の薬‥‥‥‥2兆6千億円
・血糖降下薬‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥2兆4千億円」
「今日の精神科医は、生活習慣をモニターし、適切な療養指導を行いながら薬剤を投与するという習慣がまったくないのです。生活習慣には一切顧みず、いかなる療養指導もせず、ただ黙って薬を出し続けます。そして次回の外来でよくなっていなければ増量、もしくは変更する。これだけなのです」(p162)
「気分障害患者数が見かけ上の増加を始めたのは1999年。それは、冨高(2009)も指摘するように、SSRIの本邦登場と一致する。製薬会社の疾患啓発にそそのかされた精神科医たちがよく考えもしないでSSRIを処方し、それに伴って保険病名「うつ病」を乱発したからであろう」
(4)「メタボリック症候群とうつ病:その関係についての体系的な文献研究Metabolic Syndrome and Depression: A Systematic Review of the Association」Robinson、2013年
「アメリカ合衆国におけるメタボリック症候群の有病率は、35%ほどである」
「アメリカ合衆国において、5人に1人近くが、うつ病のスクリーニングテストで陽性となる」
「メタボリック症候群とうつ病の関係を調べた21の論文のうち、15編の論文は関係があると述べた。6編の論文は関係がないと述べたが、うちのいくつかの論文は、メタボリック症候群のいくつかの構成要素はうつ病と関係があると述べた」
「メタボリック症候群とうつ病は、双方向性の関係がある。重症のうつ病は、メタボリック症候群とより強い関係がある。メタボリック症候群の項目のうち、腹囲増大、中性脂肪高値、HDLコレステロール低値は、うつ病と強く関係する」
「うつ病は、最も深刻な症例であっても、治すことができる。治療を早期に始めるほど、効果は大きい」
(6)「大人のうつ病:診断と管理Depression in Adults: recognition and management」英国病院管理機構によるガイドラインNICE guideline
https://www.nice.org.uk/guidance/cg90
https://www.nice.org.uk/guidance/cg90
「患者さんと治療者の良好なコミュニケーションは不可欠である」
「うつ病の診断基準を満たさない患者さんや、軽症から中等症のうつ病の患者さんに対して、ルーチンで抗うつ剤を処方してはならない。費用対効果が悪いからである。しかし、次のような患者さんには抗うつ剤の投与を考えるべきである。
・うつ病の中等度から重症の既往歴がある患者さん
・うつ病の診断基準を満たさない状態が長期間(通常は少なくとも2年間)続いた
患者さん
・他の治療的介入を行っても、うつ病の診断基準を満たさない程度、あるいは
・うつ病の診断基準を満たさない状態が長期間(通常は少なくとも2年間)続いた
患者さん
・他の治療的介入を行っても、うつ病の診断基準を満たさない程度、あるいは
軽症のうつ病の状態が続く患者さん