(1)「生命はどのようにして死を獲得したか」(クラーク、小浪訳、2003年)を読みました。
「食物中の抗酸化剤が、がんや心臓血管疾患や白内障ならびに、特に神経病理学を含む加齢に関連する多くの病気や機能不全の発生率や苦痛のひどさを軽減させるのに大切な役割を持っている可能性がある」(p238)
「果物と野菜の消費により顕著な保護効果があることを示している。ほとんどのタイプのがんで、野菜や果物の摂取量が非常に少ない人は、沢山摂取している人に比べてがんになる危険性が二倍高い」(p238)
(2)「病気はなぜ、あるのか」(ネシー、ウィリアムズ、長谷川訳、2001年)の第8章「若さの泉としての老化」を読みました。
「その遺伝子によって全員が100歳までに死ぬことになったとしても、もしその遺伝子が若いときにほんの少しの利益でももたらすのなら、その遺伝子は依然として広まるだろう」(p175)
「食物を制限されたラットは長生きするかもしれないが、子どもをもたない。それどころか交尾さえしない!(中略)。繁殖成功度を下げる食物制限は恩恵ではなく、早死にするのとほとんど同じくらい悪いことである」(p181)
(3)「進化医学」(井村、2013年)の8章の5「寿命」と6「加齢に伴う疾患の進化医学」を読みました。
「哺乳類で体重あたりの酸素消費量と最大寿命との間に負の相関が認められる」(p205)
(4)「進化と医学Evolution & Medicine」(Perlman、2013年)の第5章「生活史のトレードオフと加齢の進化生物学」を読みました。
「多くの無脊椎動物は、加齢に伴う死亡率の上昇を示さず、全く老化しないように見える。(中略)。生物は、生活史を獲得することによって老化し始めたように見える」(p54)
「ゾウは、捕食されることはほとんどないが、寿命は例外的に長い。コウモリは飛ぶことにより捕食を免れて安全な場所に移動できるが、同じ大きさの他の哺乳類と比較して寿命が長い。ウミガメは寿命が非常に長いが、甲羅を持っており、捕食による死を大きく減らすことができる」(p56)
「体の組織に大きなダメージを与えるのは、酸素とブドウ糖である」(p58)
「ブドウ糖は、蛋白質のアミノ基と反応する(特にアミノ基のN末端と反応する)。そしてそのタンパク質の糖化を引き起こす。コラーゲンやエラスティンの糖化は、繊維間の架橋結合を作り出し、年長者の皮膚は弾力を失う。目のレンズの蛋白質の糖化は、白内障を引き起こす。これらは、生命活動に重要な他の蛋白質の機能障害と比較して、目で見て明らかであるにすぎない」(p58)
(5)「進化医学の原理Principles of Evolutionary Medicine」(Gluckmanら、2009年)の第5章「生活史の進化」のp105~p108を読みました。
「老化は、有性生殖をする種には普遍的な現象である」(p105)